提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
「おはよう御座います、旦那様♡」
「ぱぱー!おはようございます」
「おぉ…ベル、※※!おはよう」
目の前には愛する妻のベルファストと2人の愛の結晶である愛娘。
小さなベルちゃんを何となく彷彿させる。
可愛い可愛い愛娘………
「こら?※※?ぱぱではなくて…?」
ベルが優しく諭す。
「あ、そうでした、おとおしゃま!」
ごくごく普通の家庭の一幕、娘が居て、嫁が居て…
「おとおさま!今日はあそんでくれますか?」
「おお!※※!どこに行きたい?何して遊びたい?」
「おままごと!おかーしゃまがこどもね!」
「あらあら…ふふ、いいですよ?」
「ふぃー。ただいま」
「お帰りなさい、あなた♡ご飯にする?おふろにする?それとも…わ、た、し?」
驚愕のセリフを言う※※。凍りつく夫婦。
思わずベルを見ると、ブンブンと顔を横に振るベル。
あなた!?と見てくるベルにブンブンと顔を横に振る。
「おい、※※?そんなのどこで覚えた?」
「同じ保育園の…ながとちゃんが………」
「……やっぱりあなたの子じゃ無いですか……」
そうだった…その子は俺と長門の……子供…だわ。
「ベル……」
「はい」
「長門にお仕置き90分コースで」
「かしこまりました」
「えう?おとーしゃま…?※※としては…わたしを選「てか何の話いいいいいいい!?!?」
救うは飛び起きた。
目の前にあった…もとい、装着されていた装置を取り外して叫んだ。
「あら…気付かれましたか……」
ポイ!とそれを取り上げる。
「ああ!このW明石と蒼朝日とその他の中に塗れた者達が作り上げた、仮想現実体験のギアが!?欲望に塗れた…『ドキッ!愛するあの人との未来予想図ver.11.03』が!?」
「説明乙」
「てか…アレだな…こんなの作ってからに……よし、工廠組の予算配分減らすか…」
「それはいけません!!!」
「いいですか?!旦那さ…いえ、ご主人様!?僭越ながら申し上げます!男1人に対してこちらは数十人という人数比でございます!ご主人様の事をお慕いしております者は全員でございます!その中でこうやってご主人様との時間を過ごすことができる時間は少なくです」
「そういった者のために作られたのがこの機械でございます!!これがあればご主人様との蜜月がいつでも……体験できるそれはそれはすんばらしい発明でございますよ!?これがあれば…いつでもあなた様との将来を見ることができます!見ましたか!?私とご主人様の愛の結晶を…。目を覚ましたら会えないのは残念で残念で仕方ないですが…。しかし、その将来も夢では無いのですよ?ご主人様さえ…ご主人様さえよければ私はいつでも…準備できております。その機械はまだ量産体制におりません!どうか!どうか!後生でございます!それをお返しください!!」
と、かなり、力説されるので…
「秘書官とメイドと大淀達も交代制にするか」
なんて言うと…
「…………」
本気で絶望した顔をしてる。
恐らく大淀は泣くだろうな…この話したら
「ご…ご主人様ぁ…メイド職を奪われたら…私は…私はぁぁあ!!」
と、散々泣き縋られたのでとりあえず保留にしておく…。
取り乱しました…。と、笑いながら言うベル。
「私は…メイドもお嫁さんも失格ですね」
「何故?」
「…主に…忠を尽くすべき主に恋心を…いえ………」
「止めどなく溢れる愛を抱いてしまいましたから」
あなた様のために戦える事も
あなた様のために生きる事も
お茶する事も
意地悪する事も
何もかも全てが私の一部となりました。
「ええ、勿論分かっております。その2つが両立できない…すべきでないことくらい…」
「メイドと言う立場である以上、お嫁さんでは居られません。お嫁さんである以上、メイドとして在る事はできません」
「これがその2つが本当の私なのです」
「ご主人様のメイドで在り続ける事が…そしてあなたのお嫁さんで居る事が…私にとって何よりも輝かしく、尊い喜びなのです」
「なあ?ベル?」
「はい?」
「指輪を貸してもらえないか?」
「……ご命令でしょうか?」
「…お願いではある」
「指揮官として……1人の男として」
「…では、私は…ご主人様のKAN-SENとして…1人の女としてお応えします」
どうぞ…と指輪を差し出すベル。
表情にこそ出さないが、内心は穏やかではない。
もし、それを取り上げられたら…?
私に何か不備が…?
「ご…ご主人様…?」
指輪をまじまじと見る彼にそう声をかけるしか出来なかった。
「…なあ?ベル?」
「はい」
例えどんな言葉が私にかけられようとも…
私は…ずっとあなた様の側で……
「改めて…これを受け取って欲しい」
それは桜赤城が貰ったものと同じもの…。
2つの指輪を合わせた指輪。
「………ッ」
目の前の箱の中に入って輝いているのは…その幸せの形。
「…はい、喜んで…お受けいたします」
と…彼女は右手を差し出した。
「違うぞ…ベル」
その言葉に戸惑うベル。
「え、あ、ご、ご主人様…?」
今まで見たことがない顔でこちらを見るベル。
その彼女に彼はこう答えた。
「左手を…」…と。
彼女は言葉が詰まりながら左手を差し出した。
それが何を意味するか…。
右手でない誓いの指輪…。
つまり……彼女達にとっても完全なる愛の絆の誓い。
いや、それ無くとも指揮官の愛を疑う者など居ないだろう。それでも、それでも…求めるのは人も艦娘もKAN-SENも戦姫も…この左手の薬指だろう。
ゆっくりと違和感が左手にやって来た。
「…ッ!」
声にならない喜びは涙となって彼女の頬を伝う。
彼女はその指輪に過去を見る。
その思い出は出会いの日に…。
あなたが…私のご主人様…。
そう感じたから。直感とか…そんな感じ。
画面の向こうのあなたは…あんなにも笑顔で私に…。
最初に…彼が最初に出会ったのは私…。
オイゲン様よりも、ドロップした桜赤城様よりも早く…。
「ご主人様に…貰った指輪も…嬉しかったです」
「画面の向こうのあなた様の声も顔も忘れられません…。あの喜びは…それ以上はきっとこの先の人生で味わうことの出来ないものだと思っておりました」
「でも…それ以上がありました」
「何だい?」
「ご主人様に出会えたことです。突然現れたゲート……あの闇の向こうにあなたがいると魂が告げたんです」
「うん、来てくれて…ありがとう。ビックリしたけど…嬉しかったよ」
「この命…尽きるその時まであなた様と共に…だったのですが」
「この命…尽きてもあなた様と共に…に変わりました」
「いや…違う」
と、彼は言う。
「共に……この先ずっと…2人で…だ。俺は何があってもお前を死なせない、先に逝かせない。俺もお前達をおいて逝かない。だから…この先もずっと一緒に…だ」
「…は、はい…」
「……それ以上の喜びは…ないと思ってましたが…今、あなた様から直接左手に指輪を頂きました。今までのどんな事よりも…この喜びが全てを覆い尽くすほどの幸せに変わりました」
「まだあるよ?」
「え…」
「…左手に指輪してはじめての…キスも……いずれはその先も」
ちゅっと唇が……。
「良いんじゃないか?」
彼は言う。
平然と、私の悩みなどどこ吹く風で言う。
「メイドの君も…お嫁さんの君もどっちも愛する桜ベルファストだから」
と。
はい…と彼女は指で涙を拭って笑顔で答えた。
そして…
「愛してます…」と、力強く…力強く抱き締めてくる。
「もう指輪は返しませんからね?この愛もぜーんぶ受け止めて頂きます。他の方にも負けません!!」
「そして…今はご主人様はベルだけを見てください」
「……今の私は…きっと他の人にも見せないベルですから…どうかどうか…その寵愛を全て私に注いでください」
「愛してるよ」
「はい」
「………いいんだな?」
「はい」
「…この私の全てはご主人様…旦那様のものです」
「そして…私は…それを……ずっと待っていましたから」
画面の向こうにもあなたが居なくなって、声も聞こえなくなって…
その孤独感は、喪失感は言葉では言い表せない程のものでした。
私達は戦うKAN-SEN…なのに
この感情は…思いは何なのでしょうか?
感謝?親近感?親密感?
……恋慕…?
そうだ…これが好き…って事なんだ。愛しいって事なんだ。
手を伸ばしても届かない別世界のあなた。
戦い傷つく事は何一つ怖くありません。
あなたの事を考えるとこんなにも胸が苦しくて…
あなたに会えない…そう思うことが何よりも怖くて…
でも今は…この手を握ってくれるあなたが居るから…。
「ん?どうした?」
もぞもぞと…その温もりの方に身を預けに行く彼女。
「…??」
「今は…この温もりがありますから…どんな痛みも…
「え!?痛かった?!」と慌てる彼に彼女は笑う。
「…ふふ。ご主人様…ありがとうございます」
「幸せな痛みというのも…あるのですね」
彼女はニコリと微笑みながら安心したように眠りについた。
「おはよう御座います♪ご主人様。私としたことが…昼間に寝てしまうとは……」
「いやいや、俺も寝たし…」
「ふふ、おやさしのですね。では、お夕飯に致しましょう」
料理をしながら彼女が言う。
「……子供の名前は何にします?」
「え?」
「そう遠くない未来に…備えませんか?」
「え?え?気が早くないか?」
「…いつでも準備できてますからね?」
と、微笑むベル。
「…おめでとう?桜ベルファスト」
と、声をかける桜赤城。
「!?!?!?何が?!?」
「ズルイです!私を差し置いて…この小娘となんてえ」
「何のことでしょう?」
「隠さなくてもわかります。あなたが女になったことくらい…」
少し赤くなるベル。
そして、その顔を一瞬で元に戻して言う。
「いずれはお二人共そうなる日が来ると思われますが…」
「ええ…早くそうなりたいものね…」
「でも…本当におめでとう」
「で?どうだったの?教えなさい?」
「え?桜赤城様?」
「その…いずれの日の為の予習よ!!」
「ちょ…ま…」
なんかめっちゃ顔が赤い2人が食堂の片隅に居たとか?
あれですよ。
桜赤城もベルもウブなんですよ。
下ネタトークも顔赤くしながらする感じ。
大鳳?普通の顔しながら言う感じ。
少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!
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