提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
灯台の窓から見える海は…暗い中に伸びる一筋の光だけだった。。
こんにちは!
そしてこんばんは!!
私の名前は宗谷です!南極の氷をバキバキ…の宗谷です!
最近、赴任…というか…何というか…とりあえず、所属は西波島艦隊です!
え?登場して無かった……?ははっ…何のことかな?
私は…主にですが、灯台からの近海観察…まあ、所謂灯台守です。
鎮守府から離れた街の…小々波市。
鎮守府とも交流があり、提督がよくデートに使う街は…度々深海棲艦が来ますので、夜警だけでなく灯台からも防衛ラインとして着任することになりました。
と言うのも、
観測船として…これは私にしかできない事だから…と言うより………いいえ、何でもないです!
基本的には妖精さんが灯台には常駐してますが…人には見えないので実質的には無人の灯台…ってのが街の人の認識なんですよね。
なので私は基本的に仕事は夜に…ここに居ます。
夜警班と連携を取る…ですね。
寂しくないか…?ですか?
大丈夫ですよ?慣れてますから!
姉妹もこの世界には居ませんが…これも私の大切な使命ですから!
それに…復役しても、私はもう戦えませんから…。
卑怯なのは分かってる…。
ある日の事だった。
「よーっす!!」
「あ!川内さん!お疲れ様です!」
いつものように灯台から海や街を見る私に声が掛けられた。
近海夜警にあたっていた川内さんだった。
「ふぃーー!寒いねえ!すこしきゅーけー!いい!?」
巡回ルートを回る途中で冷える体を摩りながら暖をとりにきたようだ。
なので、私のいつものを差し出した。
「はい!どうぞ!…少し待ってくださいね?ホットチョコミルクをお出しします」
「あはは、ありがとうね!バレンタインの友チョコ貰っちゃった♪」
友チョコ…と言う言葉に少しズキンと心が痛んだ。
「…あ、そういえば…今月はバレンタインだったんですね」
そうだ、世間も少し賑わうバレンタイン。
私は提督にチョコ…渡してないなあ…。ううん、渡す資格も私にはないや…。
「んー?辛気臭い顔しちゃダメだよー?」
川内が笑いながら声を掛けてくれた。
「え…」
「っても…基本1人だもんねえ……もしかして…寂しい?」
「そ、そんなことは…。この役割は観測船の私にしかできない事ですから!」
「…そんな事ないと思うなあ…もっと他にもあると思うよ?」
「私は夜戦大好き!どう?宗谷も一緒に!夜警!闇のに紛れて敵をボッコボコにするんだ!」
「…私は……」
思わず詰まってしまう。
戦うのが怖い
それは戦う兵士として、艦娘として恥ずべき事だ。
ましてや、自分から復役したのにも関わらず…だ。
川内は何かを察したのか、フッ…とチョコを飲んだ後に一息ついて言う。
「まっ…提督にチョコあげてない…とか深く考えちゃだめさー!あの人はそんな事で…ヘコま……怒ったりしないよ!それに……きっと良いことあるって!」
ホットチョコありがとう!と彼女は足早に夜警に戻って行った。
彼女のようにここに寄ってくれる人は少ないから嬉しかった。
そして………
「良いことあるって………はぁ」
ごめんなさい…川内さん。
違うんです…。
私は戦うのが嫌だった。
傷つく仲間が見たく無かった。
死んだ仲間の笑顔が頭から離れなくて…。
だから私は退役した……逃げたんだ。
そうしてこの街にやってきて…流れ着いたのがこの灯台だった。
ここはそれなりに平和だった。
平和を目指した海も、人の営みも全てが見えた。
ここから見る景色が好きになった。
来ない誰かを待つあの人も
守りたいお店を守ろうとする人も
それを守ろうとするあの子も
やっと出会えたあの2人も…
そうして…見て行く内に…
私の中に守りたいんだと言う気持ちがまた少しだけ戻ってきた。
それを守りたいと思ったからもう一度この海に戻ってきた。
でもだからといって全てが良くなるわけじゃない。
根本的には戦いは苦手なのは変わらず…役に立てそうにない。
だからこの役を自ら引き受ける事で、その弱い心に言い聞かせてたのだ。
私にも役割がある…と。
1人なのは慣れている。
この世界に1人だけの……姉妹も居ない私…だからこそ孤独に耐えて出来るんだ。
そうして自分に言い聞かせてるだけだ。
「………行っちゃったなあ」
ポツリと漏れた本音。
自分にしかできないから
違う
寂しい…と言う言葉を言えないだけなんだ。
島風ちゃんだって同じ筈なのに…
私は…日が浅いから皆とワイワイできないから
いや、その勇気が無いから…
そうやって自分に言い訳をして居場所を作って痩せた正義感と自尊心に水をやってるだけ…
『あの!』
『わ、私は元々、宗谷として艦娘でした!』
『もう一度私を艦娘にして貰えませんか?』
『この灯台から…平和を守るお手伝いをさせてください!!』
『灯台…から?』
彼は不思議そうに彼女に問いかけた。
『はい、あまり闘うのが得意ではなくて…。でも、私はここから見る景色が好きなんです…。だから…』
快く引き受けてくれた提督さん。
その提督さんに…着任から何度顔を合わせられたかな…?
何度言葉を交わせたかな…?
日々、積もるのは自責の念。
「寂しい…のかなあ」
ポツリと漏れた自分勝手な本音。
いや、そんなこと言う資格は無い。
でも…もし、私に…いや、やめておこう。
「ううん…私にはこれが似合ってる。戦えない卑怯な艦娘には……そんな奴と一緒に居ようって人なんて…」
「トランプでもする?」