提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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339話 指揮官と……② 桜天城と夫婦と家族と…

「で?」

 

 

迫り来るバーサーカーからなんとか逃げ切ったので彼女達に尋ねてみた。

 

 

 

 

 

 

「私達はメンタルキューブから生まれるのですよ?指揮官様が生み出してくれたのなら…それは指揮官との子…と言うことですよ?」

 

「その理論なら君達は全員俺の子と言うことになるぞ?」

 

「…………」

 

「おい、その『あ…それもアリかも…』みたいな目をするな」

 

 

 

 

「まあ…酔った指揮官様と建造を致しましたから…」

「2人で建造したのならそう言ってもいいのでは?」

 

 

「え?建造って建造だよね?建造(意味深)じゃないよね?」

 

「うふふ」

 

「ああん!話が通じないッ!」

 

 

「おとおさま?どうしましたか?」

「どこか怪我しましたか?大丈夫ですか?」

 

ウルウルした目で見上げてくる彼女に「…………いや、大丈夫だよ。ありがとう」と、彼はフッと笑うと天城ちゃんの頭を撫でた。

 

「……えへへ」

「立派になっておとおさまもあかぎちゃんもみんな守ります!」

 

 

 

その言葉に俺は一瞬目を見開いた。

 

 

 

 

 

 

彼女は純粋なのだ。

いや…気付いていても…それを止められないのだ。止めたくないのだ。

 

何故なら彼女は小さくとも…桜天城だから。

 

桜天城は祈り願ったのだろう。

俺の武運長久を…。

 

どれほどの思いが篭れば…というのは分からないが、彼女の思いはリトル天城ちゃんとして現界した。

 

だから天城ちゃんはわかっている。

自分が指揮官を愛している事も、皆が同じな事も…

俺が皆を愛している事も…。

 

 

桜天城はその意外な結果に驚き、喜んだのだろう。

まるで…2人の………我が子ができたのではないか?と。

 

 

だから2人は自然と親子という体裁をとったのだろう。

 

いや…それがいいと純粋に思ったのだろう。

 

 

 

 

 

 

この子を見つめながら頭を撫でる。

今迄、想像なんかした事なかったけど、子供が居たらこんな感じなのかなあ…と思った。

 

 

 

前の世界でも何度も考えた将来。

 

結婚して…子供を授かって…家建てて…

普通に、ただ普通に働いて暮らして子供を見守って……歳食って死んで行くと思ってた。

 

子供の名前をどうしようとか、男の子ならキャッチボールをしたいとか、色々考えていた。

今の生活は…本当に幸せな非現実で……

 

仮想現実だとか、夢の中だとかじゃなくて…

この世界でもいつか現実にできそうな夢が目の前にあって……。

 

 

 

「おとぉさま?」

あまぎちゃんが少し不安そうに彼を見上げました。

 

 

 

彼は慈しむような表情でその子を見つめていました。

ええ、えぇ、分かっています。

お遊び…だってことは。

通じ合う2人が決めた…ほんの少しの悪戯…。

 

 

 

 

なのに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指揮官様はその子を抱き上げて抱き締めたのです。

 

「ふぇ?お、おとおさま?」

 

 

「……ッ!」

桜天城は思わず息を呑んだ。

 

ただ、抱き締めただけだ。

なのに、なのに、この光景を見るだけでどうしてこんなに…心が喜んで涙が溢れそうになるのか?

 

 

桜天城にはそれがわからなかった。

 

 

 

 

 

「おとおさま?えへへ…」

幸せそうなあまぎちゃん。

 

 

 

 

そして……呆気にとられる私の側に来て…

 

 

その子と一緒に私をも抱き締めたのです。

 

 

 

 

 

「おとおさま?」

 

「あなた様…?」

 

 

 

 

 

 

 

彼は何も言わずに…ただ、ただ…優しく愛おしそうに私達を抱き締めてくれたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…桜天城?」

 

「はい」

 

彼はポツリと言いました。

「……こういうのもアリかもな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お優しいのですね?」

「ええ、ええ、確かにこの子は…キューブ建造で生まれた子です」

 

「酔い潰れた指揮官様と一緒に建造して…来てくれた子…。でも私には運命のように感じました。運命であると同時に…未来を感じたのです」

 

「未来?」

 

「指揮官様はいつか…きっとこの海の平和を取り戻すでしょう。私達が戦場に必要なくなる時です。…今は戦う事に存在意義を感じるところがありますが…その先でもきっと…そうやってあなたは私達にその意味をくれるのだろう……って」

 

 

彼女は笑って言う。

いつものお淑やかな彼女のようでなく…1人のただの女の子のように…。

 

「だから少し…ほんの少しだけからかってみたかったの…………嘘。かまって欲しかったのよ。桜天城として…1人の女として…ね」

 

「はい、そうなんです」

 

 

 

 

 

 

 

「いいよ」

 

「「え?」」

 

「君達が…それを望むなら…幸せと言ってくれるなら」

「俺は今のままでも…幸せかな」

 

「愛の形にも色々あるから…。あまぎちゃんにしろ、桜天城にしろ…愛する事には…そこに差はないんだ」

 

 

 

 

あの…とあまぎちゃんが震えたように言う。

 

 

「おとおさまって呼んでもいいんですか?」

 

「あなた様……どうか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2人の愛の結晶なんだろう?」

 

 

 

 

冗談とか、からかいとか……ほんの些細な悪戯心からの始まりだった。

でも…蓋を開ければのめり込んでいたのは私達だった。

伴侶としての愛、家族としての愛…。

慈しむように向けられたその全てが…何より嬉しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なら…コレを君に贈らなきゃなあ」

 

 

 

差し出されたのは小さな小箱。

 

その10cm四方も無さそうな小箱の中に私の全てとも言える愛が入っている。

開かれた隙間から覗いたそれは…今まで見たどんな景色よりも綺麗で……

 

 

 

 

「受け取ってくれるかな?」

 

わぁあ…キレー…とあまぎちゃんは目をキラキラさせている。

 

 

 

 

「はい!喜んで…この桜天城、お受け致します」

 

 

 

「あの!?あ、あなた様!?」

 

「ん?」

近付いてくる救を彼女は赤くなりながら止める。

 

「あ、あ、あのあの…その…う、嬉しいのですが…この子が見てるので…その…は、恥ずかしい…んですが…」

 

 

そのあまぎちゃんは顔を手で覆い、指の隙間からガン見してるけどね?

 

 

「……」

(´・ω・`)みたいな顔をする救。

 

「も、もう…ずるいですよ」

 

 

 

 

 

「でも…ひとつだけ確認させてください」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

「同情だとか…義務感だとか…流されて…ではないんですよね?」

 

 

私が…私達が1番恐れているのはそれだ。

もし…そんな気もないのに…そうさせていたなら……

 

 

 

彼は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の全てを賭けて…愛してる事を誓う」

「何があっても君を離さない。何があっても君達を離さない」

 

 

その言葉と共に…指にリングが通った。

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

唇が触れた。

 

 

 

 

今度は私から飛びついた。

桜赤城に見られたらはしたないって言われるかな?

でもいいの。

好きな人の…愛する人の前でくらい…ね?

 

 

 

「わたしもー!」

と、あまぎちゃんも飛びついた。

 

あぁ…幸せ…だなあ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「出にくい雰囲気ですね」

 

「……リトル赤城ちゃんも居るので呼べば…家族に……」

 

「リトルベルちゃんも!!」

 

「桜赤城さん?桜ベルファストさん!?」

 

「え!えぇ!聞いてますとも」

「あなたこそ…正気は取り戻しまして?」

 

「榛名はいつでも正気です」

 

 

金剛型四姉妹(バーサーカー)のが何か言ってるぞ」

 

 

「はい?」

 

「お?」

 

「私のどこがバーサーカーですか?」

 

「愛する人を襲うところ」

 

「アレはダーリンさんから…やってきたんですよ?」

 

「そのダーリンさんの姿をしたお前がな!」

「凄かったぞ!?榛名から『おい!榛名やめろ!マジで洒落になんねえ!』…って。そんで『ダーリンさん?優しくしますから!ね?ね?』って指揮官から聞こえてきたらさあ……」

 

「……でも私はやっぱり…ダーリンさんからして欲しいです」

 

「襲った後で言うなよ……」

「貴様はただでさえ…相当に愛されてるんだからな…?」

 

「え?」

 

「貴様が都度都度持って行く夜食も…奴はどれだけ腹がいっぱいだろうと食べる。幸せそうな顔をして…な」

「前に…榛名の奴は行き過ぎてないか?と聞いても…愛されてるし、愛してるから…って……思わずため息が出たぞ」

 

苦い顔で桜加賀が言う。

 

「ま、微笑んで祝ってやるのも…愛…かもな」

 

「……ダーリンさん…」

「…なら榛名は待ちます!はい!榛名は大丈夫です!」

 

「いい会話なのですが…前半が物騒すぎて……」

 

 

そして…

 

「ふふ…桜天城姉様……。良かった」

 

この場の誰よりも、温かな眼差しを向けるのは桜赤城。

彼女のことを思えば…自ずとそう言った言葉が溢れてくる。

 

 

 

 

 

 

 

「まあ…1番はこの桜赤城ですけどね」

 

 

本音も溢れてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなメンバーを「うわあ…」的な感じで大淀は見ていながら、執務を放り投げて逃げた提督に鉄槌を下すべく歩みを進めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ごめんなさい…」

 

「私……大淀といちゃいちゃ2時間コースですね」

 

「え?…そ、それh「あー…提督が戻らない間の執務つかれましたー…職務放棄のパワハラの……なのにご褒美もないのですか?」

 

「あ…はい…かしこまりました」

 

 

 

 

 




少し甘めな…感じで…


少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!

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