提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
まだ寒い風の吹く日の少し温かな木漏れ日の中で……
私は…あなたと…歩む。
まさかこんな日が来ようとは…。
『あなた様?明日は…この子も良いですか?』
明日というのは彼女との1日夫婦の日である。
だが、あまぎちゃんを放っておくという選択肢は無い。俺はもちろん!と返事を返す。
「おとぉぉさまあ!!おきてくださぁい!」
あまぎちゃんが寝ている俺に飛び乗って来た。
あらあら…と、桜天城が遅れて入って来た。
彼女曰く、あまぎちゃんはかなり楽しみにしていたらしい。
「今日はどこにいきますか!?」
私の作った朝ごはんを食べながらそんな会話に入ります。
「んー…家族の団欒的な……そうさなあ…街で買い物とかファミレスとか行って…夕飯は俺が作るよ」
「いいのですか?私が作りますよ?」
「いいのいいの、俺に作らせてよ!父ちゃんの良いとこみせちゃる!」
なんて指揮官様は言ってました。
皆に見送られて鎮守府を出発する。
「あら、あまぎちゃん。おはよう〜。今日はどこかに行くの?」
「はい!おとおさまと…おかあさまとお出かけして来ます!」
「あら…良かったわねえ〜。楽しんでいらっしゃい」
桜赤城とあまぎちゃんがニコニコと会話をしている。
「あら?珍しいですね。もっとドロドロするかと思ってたのですが」
なんて大淀が桜赤城に声を掛ける。
「…そ、そりゃあ…羨ましいですけど…ぐぬぬ…お姉様やあまぎちゃんのあんな幸せそうな顔を見たら…素直に応援するわ」
「いってきまぁあす」
「「「「いってらっしゃい」」」」
目の前には海。
でも、今日の景色はいつもより高い眺め。
ゆっくり進む船の上は初めてで…
はしゃぐあまぎちゃんはキラキラと目を輝かせながら私達の手を引っ張ります。
「いただきます」
やって来たのはファミレス。
文字通りファミリーでやって来た初めてのお店。
お子様ランチの国旗を嬉しげに眺めながらオムライスを頬張るあまぎちゃんを見ながら注文したお料理を待ちます。
「あまぎちゃん?お口についてますよ?………ほら」
「んむ……えへへ、おかあさまありがとうございます」
口の周りについていたケチャップを拭ってあげました。
そうする内に指揮官様のお料理も運ばれて来ました…。冷めてしまいますから先にお召し上がりくださいと言っても、君のも待つよだなんて優しく言ってくれるあなた様が私は大好きです。
数分して、私のお料理もやってきました。
何気に初めてのファミレス…?ですが、その初めてが愛する指揮官様と一緒と言うのが何より嬉しい。
「ん?一口いる?」
「あ、いや…そんなつもりじゃ……でも…はい、頂きます」
あーん…と口を開くとそこにパスタを食べさせてくれるあなた様…。
きっといつものパスタよりも何倍も美味しいのです。
「おかあさま!このおむらいすもどうぞ!」
「うふふ、ありがとうね」
「あまぎちゃんは優しいなあ。よし、あまぎちゃんにもパスタをあげよう」
「ありがとうございますですー!」
ランチの後はショッピング。
あまぎちゃんにとってはこちらも初めての光景。
…実は私も………なんですが…。
「……ぁ」
ゲームセンターでクマのぬいぐるみを見つめる桜天城。
ふわふわで大きなぬいぐるみがケースの中に座っていた。
「コレ欲しいの?」
「え、あ、あの…」
思わず顔を赤くする私。
「あ…ほ、欲しいです…」
待ってて!という彼は……1000円くらいで取ってくれました。
必死に取ってくれる姿は…思わず見惚れてしまいます。
「おとおさますごい!」
「取れて良かった……」
「……えへへ」と、私はそのぬいぐるみを抱き締めました。
「おとおさま!私も…あのぬいぐるみ取ってください!」
あまぎちゃんの指差す先には小さめのクマのぬいぐるみが…。
「まかせろ!!」
ドツボにハマる指揮官様。
あまぎちゃんも「おとおさま?もういいですよぉ」と言っていたが、「大丈夫!任せて!」と必死になる指揮官様…。
何度も位置を直してもらって…見かねた店員さんがかなり取りやすい位置に調整してくれてやっとゲット。
「わぁあ…ありがとうございます!おとおさま!!」
彼女も私と同じようにぬいぐるみを抱き締めていました。
その後は…服を買ったり、アイス食べたり…本当の家族のように過ごせました。
3人で手を繋いで歩きます。
真ん中に指揮官様。その両端に私達。2人で指揮官様を感じます。
サーッと少し冷たい風が吹いた。
思わず脳裏に蘇った光景。
この子を出迎えたあの日…確かに私の脳裡によぎった確かな未来。
とある日の…暖かな木漏れ日の中で…
子供に手を引かれたあなたと私が…歩いて…
そこには…病弱は私に無理をさせないように労わりながら一緒に歩んでくれるあなたが居て………
街並みがどうとか…風に揺れる寂しげな街路樹がどうとか…
あのお店がオープンした…だとか、お昼は何にしようだとか…。
ありふれた会話の中に幸せを感じて…。
少しでも咳き込んだら、何年一緒に居ても相変わらず慌てふためくあなたと子供が………。
だから私は思う。
きっとここで死んだら、この人達は立ち直れないくらいに落ち込むんだろうな…とか
だから頑張って体を治したり…長生きしなくちゃいけないなあ…って。
アズールレーンの天城の宿命…とも言えるバグ…病弱…という状態。
素体はそれにより既に………
まあ…
私は
といってもキャラ作りは大切。
病弱キャラは私オンリーなんて思ってた時期が私にもありました…。
なぜかって?
「ふふ…」
「どうした?」
「いえ?ただ…思い描いていた景色に似ていて…。それがとても嬉しくて……嬉しくて」
「おかあさま…幸せそう」
「ええ、とても幸せよ?」
本心からの言葉だ。
この上ない幸せは…なにものにも替え難くて…
この1秒が、瞬間が私の心を満たしてくれます。
「おとおさまの料理もおいしいーです!」
「ん…とても美味しいです」
目の前には、昨日から仕込んであったであろう唐揚げやらご飯やらが並んでました。
それがどれも美味しくて……
寝る時は3人で川の字です。
「えへへ…おとおさま…今日ほありがとうございました!あまぎはとても幸せです」
「このクマさんも…えへへ」
「おとおさま…だーいすき」
と、愛しのお父様の頬にチュッとキスをした彼女はコテンと寝落ちしました。
「寝るの早いな」
「はしゃぎまりましたから…」
「なら…俺達は……どう?」
楽しかったですと言いながら2人で笑う。
うん…とあまぎちゃんが寝返りをうってあわててやめた。
指揮官様に誘われて軽く晩酌をします。
隣に座ってコテリと頭を彼の肩に預けながらお酌をして……唇を交わして…。
「これが家族を持つってことなんかね。うん、悪くない。とても楽しかった。これからも…こうしていたいな…」
その言葉にまたうるっときてしまう。
「ありがとうございます…あなた様」
「私…もう一生分の幸せを頂いた気がします」
「ですから…きっとあなた様達を守り抜きます。私は…あなた様も…愛する私達の…子供も…きっと…!」
「なら俺は俺で出来ることを精一杯やるよ」
「…指揮官様…」
「愛しています」
「俺も愛してる…」
もう一度少し長い口づけを交わして…また親子3人で寝ます。
…幸せを……ありがとう…。
次の日はぬいぐるみと一緒に皆に自慢して回るあまぎちゃんを部屋から眺めています。
…リトルの子達が増えそうだな…なんて思いながら…私は大きなクマのぬいぐるみをぎゅっと抱き締めました。
ほんの少しぬいぐるみから指揮官様の匂いがして…思わず笑みが溢れた。
「…えへへ……愛してます…」
こんなのもたまにはどうでしょう?
少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです。
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