提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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345話 幸とのデート ①

 

ぽっかりと穴の空いた人生。

その穴を埋めるためにひたすら頑張って来た。

世界を超えたって…あの空の向こうに行ったって…その穴は埋まらないけど……

あなたと一緒なら……きっと…少しずつ埋められる気がするの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある朝の話。

 

「…え!?まも君居ないんですか!?」

 

「はい、ご主人様は本日はオフでして…。夕方には帰られると思いますが…」

とある人物が鎮守府を訪ねて来た。

だが、彼女の会いたい人物はどうやら留守らしい。

 

 

 

 

「……待つのもアレだよねえ…あ!鎮守府の案内とかお願いできない?」 

 

「鎮守府の案内は私共より、ご主人様にして頂く方が幸様も嬉しいのでは…と」

 

「あーー…うん、そうだねぇ…。アポ無しできた私が悪いもん、ごめんね?」

 

「いえ、幸様のご訪問…いつでも歓迎致しますよ?」

「宜しければ一杯…紅茶をお出ししますのでご一緒にいかがですか?」

 

「え?良いの?」

 

「はい、ご主人様も好きな紅茶とお菓子でございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファン待望のオータムリーフ先生による新刊…予約受付中…?」

街中の本屋の前のポスターに彼は視線を止めた。

 

「…迫り来る危機!魔の手から愛するあの人を守ることが出来るのか!?全6巻予定……だと?!」

 

オータムリーフ…秋雲と青葉の合同ペンネームの作品は大淀や桜明石達の外商の結果、街でも販売されるようになり、今や結構な人気を博している。

 

と言っても…ほぼ、自分達の暴露話でもある訳で…恥ずかしい……ほんと。

 

 

 

軽く笑いながら視線をポスターから戻すと……見覚えのある後ろ姿が………

 

あれは……

 

 

 

 

「あれ?幸ちゃん?」

 

 

 

「え?」

その声と共に振り向いた女の子。

御蔵 幸であった。

 

 

 

「まもくぅううん!こんな所で会うなんて…偶然!いや!運命ダネ!僕嬉しいよー!」

そのセリフと共にひゃほーー!と、飛びついて来ると思ってたが…。

 

 

「あ、まも君、今日はお休みなんだよね?」

 

「え、あ、うん」

思いもよらない彼女の言葉につい、返答に詰まってしまう。

 

「あはは、どうしたの?僕がまもくぅん!て飛びつくと思った?」

 

「ん…まあ…ね」

 

「その方が良いならそうするけど…」

「好きだけど…一方通行じゃなくて、やっぱりちゃんと好きになってもらいたいなあ…って思ってるから…ある程度は弁えないといけない…でしょ?」

 

どっちかというとハッピートリガー的な天真爛漫さはナリを潜め、大人しめの僕っ娘が目の前に立っていた。

 

「幸ちゃんは休み?買い物?」

 

「うん、そうだよ。まも君の顔を見に鎮守府に寄ったらオフで不在って聞いたから…。ベルファストさんに紅茶をご馳走になって…それで…買い物でもして帰ろうかな…なんて思ったら出会えちゃった」

少し顔を赤らめてえへへ…と笑う彼女に少しドキッとした。

 

「そうなの?来てくれたんだ…ごめんね?」

 

「ううん!ベルファストさんのお菓子と紅茶で幸せになれたよ」

 

「ベルが紅茶を……」

 

「うん!とても美味しかったよ」

 

「なら…ベルは君を歓迎してるんだな」

基本的にはベルは心を許す人にしか紅茶や菓子を出さない。

まあ…この人なら…くらいの人には紅茶のフツー茶葉

この人にはOKの人には良い茶葉での紅茶。

気に入った人には紅茶にお菓子もついてくる。

そんな感じだ。

 

「本当?不安だったから…良かった…」

 

 

「でもごめんね?居なくて」

 

「ううん、アポ無しだった僕が悪いよ」

 

「てか、なんか…だいぶキャラが落ち着いたよね」

 

「まあね…悔しいけど麗のお陰…かな。あの時の事はまも君には本当にごめんねって思ってる。何もかもを期待して1人で勝手に思ってたから…」

「でもね?今は1人の男の人として好きなんだ」

 

「まも君の周りには魅力的な…麗とか…艦娘とか多くて……ぼ、僕は胸とか…麗みたいには無いけど…料理も……うう。…だけど…少しでも私を見てもらえたらなあ…って思うよ」

 

「でもね?きっとまも君の気持ちとか…置かれた状況とか…他の人よりは…色々と解ることができる所はあると思うよ。躓いたら…言って?そうでなくてもだけど…力になるよ」

 

 

 

 

 

「そこまで言ってくれるのは…嬉しいな。…色々と考えてくれて…ありがとう」

きっとこの先色々と頼ることはあるだろう。

何より、彼女の中で何かが変われたのなら…良かったと思う。

 

 

 

「ううん、あ!、オフなんだよね?ごめんね?用があるから出てるんだよね!時間取らせてごめんね?私はそろそろ行くよ」

「次はアポとって行くね。少しでも会えて良かった!えへへ」

 

 

 

名残惜しそうにバイバイと行こうとする彼女の手を思わず掴んだ。

無意識だった。

この手を離しちゃいけないって思った。

 

「え?」

 

「あ、ごめん」

 

「ううん?どうしたの?」

 

「あー……。お昼食べた?」

 

「ううん?まだだよ?ここらはあまり詳しく無いから…何があるか分からなくて…。でも、雑誌とかで探すよ!」

 

「なら…俺と今日は出掛けない?」

 

「…………え!?う、嬉しいケド!よ、用があるんじゃないの?」

 

「特には…街をふらついてただけだし…良かったら色々案内させてよ」

「君のことも、もっと良く知りたいし…俺の事も知って欲しい」

 

 

「えと…」

「それって…デートのお誘い…ってことでもいい??」

 

「そうだね。俺とデート…しない?」

 

 

 

 

 

 

「うん!する!まも君とデート!やったぁあ!嬉しいなあ!嬉しいなぁ」

素が出る彼女。余程嬉しかったのだろうか…いや、好きと言う人に誘われてうれしくないはずがない。

だが、お互いの事を知りたいと言うのは本音だし…そこまで考えてくれる人を大切にしたいと思う。

 

「………ハッ…コホン…喜んで♡」

キャラが保たれ無かった事を少し恥ずかしがりつつ、陰で小さくガッツポーズをする彼女が微笑ましかった。

 

 

「漫画の中だけだと思ってたよぉ〜。嬉しいなあ」

 

「そんな大袈裟なあ…」

 

「だってそれしか知らないもん」

 

「そー?」

「まあ……行こうか!デート」

 

「うん!」

 

 

こうして幸とのデートが始まった。

 





御蔵 幸の掘り下げ回。
続くよ!(๑╹ω╹๑ )
麗とは違った魅力を…出せたら…いいなあ…

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