提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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全体的に胸糞な話も多いです











350話 正義の名の下に ③ 溶け落ちる

「……はぁ」

 

西波島で熊野は思い詰めたように溜息を吐く。

「熊野?大丈夫?」

 

「え?あ、ああ…うん、大丈夫…ですわ…」

 

「影熊野…生きてた…良かった…」

 

「…でも…敵なんだよね?」

 

「…うん」

寄り添う鈴谷は振り返る。

 

 

 

 

 

ある提督は私に命じた。

絶対に…資材と戦果を持ち帰れと。

 

 

 

 

 

戦いに明け暮れる毎日。

疲労も不満も高まる中で…それでも仲間達は人々の為に戦った。

 

 

 

提督は優しかったらしい。

でも…今となっては俗に言うブラックと変わらない…いや、それ以上だろう。

 

『あの…提督?せめて補給と入渠を……』

 

『ならん!お前らなど代わりはいくらでもいる!お前なんか…貴様なんか電の一部にも満たない程の価値もない!貴様らは黙って俺の言う事を聞けばいいッ!!』

 

 

 

 

 

文字通り、この西波島にはスペアと呼ばれる同型艦娘が何名か居た。

熊野、鈴谷、神州丸、霧島……数名の艦娘の…もう1人の存在。

 

 

 

 

 

 

 

熊野達の言葉…だけでなく、他の子の言葉すら耳に入れてもらえない毎日。

 

 

逃げ出そうとして、解体処分される仲間。

 

敵を前に『ここで死んだ方が…楽かな』と言う仲間。

 

『死んだ事にして!お願い!帰りたく無い』と、死にかけで懇願する仲間。

 

 

 

そうやって…文字通り身を削って私達は毎日を過ごす。

 

 

 

 

「…忘れていた訳ではない……あの子達のこと…」

 

「あぁ……でも…生きていた…のか」

長門達も思い詰める。

 

 

そう、犠牲になった彼女達の事を忘れた日はない。

でも…死んだと思っていた。

何日も泣いた。目を盗んで探した。

 

でも…目の前にあるのが現実だと…前を向いた。

彼女達が私達を憎むなら…私達はどうすれば?

 

提督が居ない不安も、仲間が敵となることも…全てが私達を不安の底に突き落とした。

 

 

「とにかく…提督の奪還が最優先だ」

「影熊野達は、艦娘の解放と言っているが……やはり仲間に変わりない。平和的に解決したい」

 

「ええ…でも……」

 

「あぁ…彼女達の辿ってきた道を考えればそれは甘ったるい理想だ。でも…それでも私達の提督ならきっと同じ事を言うだろうさ」

 

「そうだね」

 

「まずは情報収集からあたるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達は信じていた。

何を信じていたかはもう思い出せないけども…。

 

それが○○○○○○てひたすらに戦った。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも現実は違った。

とある戦いで私は****♪*♪庇った。

 

左腕が○*****

戦いには何とか勝って…

泣きじゃくる○○○○○られて息も絶え絶えに***へ帰る。

 

***泣くのは私が怪我をしたからではない。

 

 

 

 

 

 

 

怪我をした艦娘の行く末を知っているから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・……行*』

提督と**が話し合って決めたらしい。

 

たった一言で決まる私達の未来。

 

その出撃の前日だけは少しだけささやかに良い**が貰える。

 

死に行く者への手向だろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*♪上で必要な敵の**–––

 

 

 

それが戦力として役に立たない私達に与えられる最後の任務。

当然、生きて帰る事を想定していないこの作戦は……

何も持たない最低限の装備で敵陣に突っ込んで行く。

 

 

出発前に**私も一緒に行く!と泣いて言うので**引っ叩いて止めた。

そして…もう1人の**全てを託して私は……

 

 

敵の前に立つと震えが止まらない。

 

死ぬ…

そう分かっていて…死ねと言われる。

辛い。

 

 

 

涙も止まらない。

 

敵が怖い。

 

 

 

 

 

 

『………アハハハハハハ!次生まれ変わるときは…幸せになりたいなぁあ!!』

泣きながら突っ込んで行く。

 

死出への片道切符–––

悔いしかない…

悲しみしかない…

 

 

それでも…疲れたのだろうか?

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

でも…

 

「……死にたく…ないよぉ……」

膝をついてしまう。

でも…残した****事を思えば…立ち上がるしかない。

 

 

 

 

うゎぁああああ!!と声を上げて吶喊して行く。

 

 

なのに…

 

 

 

「…アナタも**ラレタの?」

 

 

 

 

 

優しい声だった。

その声の主は…深海棲艦の姿をした…##だった–––

 

 

 

 

ハッとした。

いつの間に…こんなにぼーっとしてたんだろうか。

 

 

 

 

…そんなに昔のことじゃないのに……所々思い出せない。

なんだろう……?

 

ううん

悩む必要は無い。

人は悪。

 

あんな事を私に命じる悪。

命を軽んじる悪。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

救は考えた。

 

身体中が重い。

もう何日目かもわからない。

そんな中で…俺は………何とか生きていた。

暴力も受けるし犯されるし…正直キツい。

 

だが…

彼女達の言う「艦娘達による理想郷の実現」は、阻止したい…。

いや、本来否定するべきではないのだが…このやり方じゃいけない。

 

なんて考えていると…

 

 

「……ね?あなたは…何で?」

上に跨る影熊野が俺に聞く。

 

 

「…どう言う意味だ?」

 

「毎日こうやってやられて…助けも来なくて絶望しないの?」

 

「えーと…影熊野は…心配してくれるのか?ありがとう」

 

「ん……違いますわ」

 

「…辛そうな表情…だな……」

 

「……ッ」

人間は悪なのに…悪のはずなのに…なんでコイツは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女はとある者に会いに行く。

それは……彼女達廃棄組を束ねる長たるモノ。

それとの出会いが彼女達の進む道を変え、示した。

 

 

 

 

「あの…人間は全て悪なのですか?」

 

 

「ソウよ…。奴等ハ…悪」

 

「いい人も居たりしませんか?」

 

「…………どうしタノ?奴ニ何か言わレタ?」

 

「いえ…」

 

「騙されナイデ…混乱シテルのね」

 

「全テの艦娘を解放シテ……我等ト共に世界ヲ変えるノヨ…私達ガ導く…新しイ…私達ニトッテの理想郷…」

「ダカラ…あなたも力ヲ貸して頂戴ネ?」

 

その人物は影熊野に手を当てる。

 

この人に触られると思考がぼんやりとして、落ち着く…………。

 

全て……忘れて……溶けるように。

 

 

 

 

「分かっタ?熊野…?」

彼女は影熊野に優しい表情を向ける。

が、その目の奥は…暗く…暗く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はい………()()()

 

 

 

 

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