提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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359話 鎮守府の日常 提督とお見舞いと

ここは病室…ではなく救の私室(仮)

未だに療養期間の続く彼はベッドで寝ている。

 

 

その隣でシャリシャリ…と音が聞こえる。

長い髪の和装のその娘は…とても穏やかな表情でりんごを剥いていた。

 

 

 

「はい、提督。リンゴ…ウサギちゃんですよ?」

あーーんという言葉とともに目の前に可愛らしいリンゴが持って来られるのでパクリと食べる。

 

「ん?美味しいなこれ…もう一つくれるか?」

 

 

「あ…すみません…一つしかなくて……」

 

「そうか……」

 

 

「桃ならありますよ?」

 

「ん、貰うよ」

 

「はい、あーんです」

 

「……おいひいな…」

「もう一切れもらえるか?」

 

 

「すみません…もう無くて……」

 

 

 

「そうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前がそんだけ食べてたらなッ」

 

「えっ」モグ…ゴクン

 

「え?じゃねえよ。片っ端から俺へのお見舞い品食い尽くしやがって…」

 

「美味しそうだったので…つい」

 

「ついじゃねえよ」

と、圧をかける。

 

 

「わ、わかりました…」

 

そう言うと、ぷるぷる震える手で桃のついたフォークを涙目で差し出す赤城。

「どうぞ!!「食えるかぁ!!」

 

その言葉にパァッと顔を明るくする赤城。

「いや!違うからな!?」

 

最初は甲斐甲斐しくお見舞いに来てくれる優しい奴だと思ったがそれは大きな間違いというか誤解というかなんというか…

 

 

 

 

 

 

 

 

『提督?具合はどーです?』

 

『お、金剛…ありがとうな』

 

『……ごめんね。本当に…。早く良くなってね』

 

『おう!大丈夫だからかにするな』

 

『うん…あ、これ…クッキー作ったから食べてね。私は出撃してくるから…』

お願いね、赤城…と、赤城に託して金剛は部屋を後にした。

 

『はい!任せてください!一航戦の誇りにかけて!…もぐもぐ』

 

誇りはクッキーよりも砕けやすかったらしい。

 

 

 

 

 

『しれぇ…。早く元気になってね?これ…』

 

『私達で買ってきたの』

 

雪風や夕張達がメロンを差し出してくれた。

 

 

赤城は既に包丁とまな板をスタンバっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで支えれられる見舞い品は大方7-8割は赤城の胃袋の中に収まっている。

え?2-3割食えるだろ?て?

 

 

『…美味しい……美味しい……』

加賀が…

 

『わー!おいしそうなメロンなのー!』

イクが…

 

『でちッ!でちぃぃ!!』

でち公が…

 

『はらしょ!』

響…が…

 

『あら?指揮官?…おいしそうね?貰ってもいいかしら?』

桜オイゲンが…

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?皆の目当てはお見舞い…品?

 

 

 

 

 

 

「ご、ごめんなさい…ごくん」

 

「謝るか食べるかどちらかにしようなー…てか食いやがったな…」

 

「美味しかった……です…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「指揮官くぅん〜?指揮官クンの大好きなプリンを…買ってきたわ……よ?……ってどしたの〜?そんな泣き腫らして…」

 

「いや…久しぶりにまともなお見舞い客が…」

 

「……なんとなく察するわ」

「…ベッド起こすわね〜?ほらプリン食べさせてあげるからね」

 

あーんと食べさせてもらうプリンは美味しかった。

 

「言っとくけど…本当に指揮官クンの好きなプリンをご馳走に来ただけだからね」

 

「蒼朝日は優しいな」

 

「ふふ…もっと褒めてもいいのよ?」

 

「いや…本当色々と支えてもらってるよ」

 

「……こんなおばあちゃんなのに?」

 

「そんなことないよ。可愛いよ」

 

「愛してる〜?」

 

「もちろん愛してるよ」

 

「本当?嬉しい!」

ガバって抱き付く蒼朝日。

 

「アッ–––––骨がッ」

 

「あ"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね…指揮官クン…」

 

「イインダヨ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダーリンさん!お見舞いに来ました!榛名です」

 

「おお、榛名か」

 

「あれ?何か昨日より酷くなってませんか?」

 

「…人生色々さ」

 

「榛名にできる事はありますか?」

 

「なら………」

 

 

「はい!わかりました!では後ほど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコンとドアがノックされた。

ぶっちゃけ今なら怖いものはない。

 

「あの…提督……」

遠慮気味に入ってきたのは風呂敷包みを引っ提げた赤城だった。

 

「ん?赤城?どした?」

 

「…ごめんなさい…その…提督のお見舞いのモノを食べてしまって…」

 

「あー…うん、いいよ」

「君が幸せなら……いいんだ」

 

「あの…これを」

彼女は風呂敷を開ける。

中には…よく見えないが、鍋?みたいなのが見えた。

 

「ケーキを焼いてきたんです。あなたに食べて欲しくて」

「紅茶も教えてもらって…淹れますね」

 

 

ぎこちなく準備する彼女。

シフォンケーキと紅茶を用意してくれたらしい。

 

ありがとう…と、言いながら食べる。

「ん……美味しい」

 

その言葉にホッとした表情となる赤城。

きっと彼女は怒ってると思ったのだろう。

 

「一緒に食べよう」なんて声を掛けると、彼女は顔をブンブンと横に振る。

それでも…とフォークを彼女の前に差し出すと、彼女はニコリと笑いながらシフォンケーキをパクリと食べた。

「おぃひぃ…………提督は……怒ってないですか?」

彼女は不安気な表情で俺に尋ねた。

 

「赤城の美味しそうに食べる姿が好きだぞ」

と言っておいた。

 

赤城は赤くなって…でも…小さくありがとうございますと言った。

 

「でも…ちゃんと俺の分も残してくれよ?」

 

「はい」

と、赤城とも楽しいティータイムを過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

やっぱりプリンは半分食われた。おのれ赤城……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダーリンさん♡お待たせ致しました!」

夜に榛名がやって来た。

 

「えへへ…久しぶりにダーリンさんからお夜食のオーダーがあって榛名は嬉しいです」

そう言って彼女はおにぎりと卵焼きと味噌汁を出してくれた。

「今日は特別にウィンナーもつけます!」との事だ。

 

鳳翔の居酒屋や那智のバーだけでなく、色々と充実しつつある鎮守府。

施設だけでなく、メンバーも増えたと言うことは…榛名のように夜食を差し入れてくれる者も少なくない。だが、その差し入れを全部が全部食べられる訳ではない。

つまりは…榛名も以前のようなペースでは俺に夜食を作れなくなったのだ。

 

 

「ん!やっぱり榛名の夜食は美味しいな」

 

「本当ですか?嬉しいです」

俺の食べる姿をジーっと見つめる榛名。

「ん?榛名も食べる?」

 

「あ、いえ、そういうつもりでは無いんです。ただ…」

 

「ただ?」

 

「ダーリンさんが居るなぁ〜♡って…私の作ったお夜食を幸せそうに食べてくれてるな〜♡って思うと嬉しくて」

 

ニコリと笑う彼女が堪らなく愛しく思えた。

 

「よしよし……ありがとうな」

と、榛名の頭を撫でる。

 

「………榛名は幸せです」

そして彼女を抱き寄せて…珍しく彼女にキスをしてみた。

 

 

 

 

珍しくってのは…アレだ。特別嫌いだとか苦手だからって訳では無い。

むしろかなり愛してるッ!

 

でも…

 

 

榛名に捕食される率のが高いからだね

 

 

 

 

 

 

「ダーリン…さん♡」

 

夜食を食べながら2人で取り止めもない話題で過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イモートが朝帰り!?まさかダーリンを………って…榛名…」

帰らない榛名を心ぱ……警戒して金剛が救の部屋にやってきた。

 

「………榛名…ふふっ」

 

 

目の前にはスヤスヤと眠るダーリンと、そのダーリンの胸で眠る榛名が居たとか…。

でも榛名の頭に彼の左手が乗ってたのがなんか癪だったので榛名を寄せて自分も潜り込んだ。




少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!


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