提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
「……まずいわッ!!」
大和は戦慄していた。
今私が直面してるのは、恐らく…この艦生…人生で一番のピンチッ!!
ワタシノヘヤニ
テイトクガ
ムカッテル
今までの夫婦生活を聞く限りでは…こっちから提督の部屋に行くのがセオリーのはずなのに!?
なんで来るの!?なんで!?どうしよう!?
武蔵から知らせを受けて約3秒…私の停止した思考がフル回転し始めた。
待て…大和落ち着きなさい。
冷静に…。そう、冷静に。
無理ね。
でも!この状況を打破しなくては–––ッ
提督の位置が廊下の先…階段を登って…ここまで約2分ッ!!
その間にどこまで片付けと言う名の押し込みができるか?!
できるか?…ではないッ!!
私は誰だ!?
私こそ最強の戦艦の……大和!!!
その名を世界に轟かせた…かつての最近の戦艦大和!
退く訳には……!
やってみせるわ!やってみせる!大和型一番艦、大和!推して参りまs「おーい!大和ー居るかー?」
馬鹿なッ!?
い、今の間に2分経ってたと言うの!?何これスタンド攻撃かしら!?
武蔵はうたた寝をしている!?くっ…ピンチね…。
「かくなる上はぁ……
「…御意」
ガチャリ…
「相棒…何をしてるんだ?」
「お?武蔵大和は居るか?」
「あ〜〜〜〜〜今は用事中だ。少し時間が掛かるらしいから…多分…5分くr…え?!じゅ!?………10分程時間を貰いたいらしいんだ」
「だから私と「なら出直してくるよ」
くるりと回る提督の肩をグッと掴む武蔵。
「待て…まぁ…待て」
「相棒……いや、最愛の提督よ…。目の前の私を放置して戻るとは…傷つくぞ?」
「そうだな…少し時間を一緒に過ごそうか」
「うん、それでこそだ」
「大和……その…」
「何!?今修羅場なの!佳境なの」
「まだ序盤に見えるんだが……」
「作戦は!?失敗!?」
元から作戦として成り立ってない…と思いながら面白そうなので黙っておこうと思った武蔵だった。
「いや……まあ…やるだけやろうか」
「さすが武蔵!」
「にしても…大和は極端だな。普段は真面目なのにな」
そう、普段の大和は真面目そのものなのだ。
品行方正、成績優秀、料理もできて所謂大和撫子である。
だが、その大和がダメになる時がある。
救に何かあった時だ。
彼に何かあった時、彼女はその優秀さを発揮する。
真壁との戦いの時もそうであるが、味方をも欺く程のものである。
なら大丈夫じゃないか!と思っただろう?
違うんだ。
その後なんだ。
提督の無事の帰還を迎えた後は一気に腑抜ける。
反動が来たと言えば聞こえが良いが…かなりだらける。
普段着もジャージになって、冬ならこたつから、夏ならクーラーか扇風機の前から動かない。
そんなポンコツになってしまうのがこの大和だ、
「………」
目の前で電みたいにはわはわ言ってるのは可愛らしいんだろうけどさあ…。
「…………ジャージなんだよなぁ……」
しかも頭にタオル巻いてるし…日曜大工すんの?
「とりあえず…提督と少し出かけてくる。購買でも覗いてくるよ」
「え?何?デート?ずるくない?」
「時間を稼げと言ったのは大和だろう!?」
「さて…お片付けッ!大和推して参ります!」(2度目)
「へー…大和の部屋って…何か…シンプルだね」
「ブフッ…」
大和の片付けられた?部屋を見て感想を述べる救と吹き出しかける武蔵。
『ちょっと武蔵?やめなさい?吹いたら…ダメよ』
『すまん。でも何だ?あの押し入れは?ギチギチ言ってないか?決壊寸前じゃないか?』
念話で話す2人。
『とりあえず押し込んだ!ってのは片付けじゃないぞ?』
『わかってます!次から気をつけます』
「で?今日は何をご馳走してくれるんだ?」
そう言いながら押し入れに近付く救。
…そのまま取っ手に手を掛け………
「提督?乙女の部屋を漁るのは…めっ…ですよ?」
またもや吹き出す武蔵。
「す、すまんな…何か気になってな」
そりゃそうだろうな?
そんだけギチギチしてたら気になるよな…わかるぞ?相棒。
「洗濯した下着とか入ってます…見たいんですか?」
お前の下着は暴れるのか?
「ん?じゃあ見てみたいな」
ブフッ…
つ、強いな!相棒ぉ……さすがだwwww
「ええ!?!?」
くっ……くくっ…大和…!
そんな素っ頓狂な声を…上げるなんて…!!
いや、いいぞ!?もっと攻めろ!相棒ッ!!
「…相棒?何が目的だ?」
「ん?好きな人の全てを知りたいだろう?」
「………なるほど」
ヨォシ!!この提督は馬鹿だッ!
行け!行け突き進めッ!こりゃ面白い…くそぅ!腹痛ぇ
「なっ…まっ……えっ」
大和も嬉しさの戸惑いとで…なんて表情だ!
クソァ!がまんだ!我慢するんだ武蔵!まだ笑うな!!
(武蔵ッ!助けてよ!!)
(無駄だな…奴が退くと思うか?)
(いいえ…でもッ!バレるわけにはいかないのよ!私にも意地があります!大和型としての意地が!!)
(くっだらない意地だな…)
(言わないで)
「…ねえ?大和?武蔵?この襖…震えてない?」
「ナンノコトカシラ」
「え?何?猛獣でも飼ってんの?」
「ソンナワケナイデスヨ」
ある意味猛獣かな?なんて武蔵は思う。
そして、救が襖に手を掛けた瞬間…
襖は雪崩を起こしたように中身と共に救に襲いかかった。
「んぎゅ!?…!…!」
素っ頓狂な言葉と共に諸々の下敷きになる救。
救いを求める声は微かにしか聞こえない。
「提督!?!?」
青ざめる大和、
「ブッ…ブハッ…クハハハハハハハ!!」
笑いで赤くなる武蔵。
「提督っ!?提督ううう!!」
やっとのことで救出…もとい掘り出すことに成功した大和。
「これは…いったい…」
呆然とする救。
「あ、相棒…ぷっ……そ、その左手を見てみろ…」
「「あ」」
左手に握られていたのは…大和の下着(上)だった。
「………」
「洗濯してますからね?」
「……」
ブラと大和を交互に見る救。
「本当に洗濯してますから!嗅いでみてください!柔軟剤のいい匂いがしますから!ほら!ほらあ!!」
「いや、それは不味いかなと…思います」
「いいですから!脱ぎっぱなしのを部屋に放置されてると思われるくらいなら!いいですからぁあ!!」
「い、いや…」
「さあ!!」
おぉ…なぜか形勢逆転だな…
さあ!どーなる?腹筋が痛いぞぅ!!
「…わかったよ!大和!うん!洗濯済みだ!うん」
「何もやってないですよね!?」
「さぁ!どうぞ!怒りませんから!ちくりませんから!!」
「い、いやぁ……なんというか…」
「いいじゃないですか!!その内にそれよりも恥ずかしい事をするんですから!」
「なんなら脱ぎましょうか!?いっそのこと!ここで!!」
「はーい!大和!そろそろ暴走やめような?相棒が困ってる…クヒヒ」
「笑ってんじゃん…」
「で?大和は…あれなのね?色々と押しつぶされそうでこうなるのね?」
「………はい」
「一気に緊張の糸が切れるとこうなるのね?」
「はい」
「すみません…」
「…まぁ、私からも補足すると…。相棒、お前に何かあった時は金剛や三笠さん達と同じくらいに色々と大和も走り回るんだ」
「それは…"大和"としてのプライドや責任感というのもあるだろうが…何があってもお前が帰ってくると信じてるから…その帰る場所を守ろうとするんだ」
「だからお前が無事だと…ここに帰って来たんだと分かれば…安心してしまうんだ」
武蔵は優しい表情で…大和の肩に手を置いて言う。
そうか…と、彼は言う。
すまなかった…と。そして、続けて…
「その分たっぷり甘えてくれ」
「え?」
「明日は…その分な…甘えてくれ」
彼は言った。
「…いいんですか?」
「わ、わたし…こんなに大きな…お姉さんなのに…」
「?いいじゃないか。たくさん甘えるといいよ」
「はい!」
「いいセリフなんだがな……ブラを片手に持ってなければ…」
「言わないで…それ…」