提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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368話 この島から風になって

「……う…ここは…………ッ!?」

「提督っ!?提督ッ!提督!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『助けてくださいッ!!』

そんな通信が鎮守府に入った。

 

『私は捕らえられ…きゃぁあー…

ポイントの座標系とこのこの場を最後に通信は切れた。

 

 

 

 

 

現場で指揮を執る救。

その隣に古鷹は居た。

 

とある海域での戦闘任務。

艦娘を鹵獲し、資材溜まりを深海棲艦が根城にしているとのことで調査並びに脅威と判断した時には排斥を行うための遠征だった。

 

私は提督の護衛艦として就いていた。

戦闘も指揮も問題なかった。

 

捕らえられた艦娘も保護した。

後は退却しながら無事に帰るだけ…のはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

だが、一瞬で全てを持っていかれた。

 

 

私達の足元で爆発が起こった。

 

私が最後に見た景色は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ダイ……タス…カラ」

 

「メガ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付けば私は大破状態で砂浜に打ち上げられていた。

 

 

ぼうっとする。

次第に意識がハッキリとしてきた。

 

 

 

 

 

 

提督はどこ?!

 

1番に頭に浮かんだのがそれだった。

 

周りを何とか見回した。

まだ視界がぼやける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の姿があった。

 

 

何者かに抱えられて引きずられて行く場面を見た。

 

 

 

「ま、待ちなさい」

 

と言いたかった声は思うように出ず、立ちあがろうとしてもふらふらとしてしまう。

それでも私は護衛艦だ。

何が何でも命懸けで彼を守らなくてはならない。

 

 

フラフラと彼を追いかけて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこの!止まりなさい!!」

なんとか洞窟まで追いかけて声を掛けた。

壊れかけの艤装を構えた。

 

 

「オキタノ?」

 

 

「–––––ッ!?」

 

そこに居たのは重巡棲姫だった。

 

 

「い、今すぐその人を離しなさいッ!!」

「さもなくば…!!」

 

「ウツノ?」

 

「ええ!撃ちます!!」

 

「ツカエナイギソウデ?」

 

「…ッ」

図星だった。彼女の言う通り構えた主砲は撃てない。

彼女が続ける。

 

「ソレニ…イマウテバカレモマキコムワヨ?タイセツナテートクサンナンデショ?」

「ソシテナニヨリ…ワタシニテキイハナイワ」

 

「そんな嘘に「ホントヨ」

 

 

「アナタ…ジブントコノヒトヲヨクミナサイ」

 

 

 

 

 

提督には手当てされた跡があった。

彼の元には、水やら果物が置かれていた。

 

私は左手で自分の体を触った。

確かに包帯やらが巻かれていた。

 

「ミギテノシュホウ…オキナサイ。オレテルンダカラ…ソレニヒダリメモネ…」

「アリキタリナイイカタダケド、テキナラ、テアテセズニコロシテルワ」

 

 

「………本当にその人に危害を加えない?」

 

「エエ」

 

「仲間は?」

「他の艦娘は?!」

 

「ワタシヒトリヨ。アナタタチフタリシカシラナイワ」

 

 

 

 

 

ガシャンと艤装を落としてへたり込んだ。

 

「……ごめんなさい。そして…ありがとう」

 

「イロイロキキタイコトモアルデシヨウケド…マズハヤスミナサイ」

 

私の意識は落ちて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女…重巡棲艦には本当に敵意がないらしい。

私の潰れた左目や右腕を簡易であるが手当てしてくれた。

その医療キットの出どころを聞くと「イロンナモノガナガレツクノ」と教えてくれた。

 

提督は目を覚さない。

鎮守府とも連絡は取れない。

 

海に出れば…と思ったが、足の艤装も壊れていて不可能だった。

ならば…と思い彼女にお願いしたが、それも無理らしい。

 

運良く、艤装が流れてくるか…仲間が通りかかるのを待つしか無いらしい。

 

 

 

「……ガハッ」

数日して提督は目覚めた。

 

「提督!良かった…良かったぁ…」

 

「……古鷹…お前…眼と腕が……」

 

「…すみません…」

 

「早く入渠しなきゃ!!」

 

「………」

 

私は提督に事情を説明した。

ここはどこかもわからない島である事。

通信も取れず、私の艤装も使い物にならない事…

重巡棲姫が助けてくれている事を…

 

さすが提督と言うべきか…?割とすんなりと聞き入れてくれたのはありがたかった。

 

「君が…古鷹の言う重巡棲姫だね?」

「本当にありがとう」

 

そう言って彼は頭を下げた。

 

「………イイノヨ」

「ソレヨリ…コンゴヲカンガエナイトネ」

 

「カエッテモ…イバショガアレバイイケドネ」

 

意味深に呟く棲姫。

 

「どう言う意味ですか?」

 

「………」

 

 

 

 

 

「…提督?何であの時…私達は攻撃を受けたのでしょうか」

 

「………いや、思い出せない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ヘイワナモノネ」

「ナカマニウラギラレタトイウノニ…」

 

 

 

「「え!?」」

「な、何を言って…」

 

狼狽える救達。

無理もない。今の状況は仲間の裏切りによって引き起こされたと言うのだから。

 

 

「ウチのメンバーにそんな事をする娘なんて…いません!」

 

「………モウヒトリイナカッタ?」

 

「あの戦闘時には深海棲艦と私達以外……………まさか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや…居た。

 

 

私達が助け出した…利根が居た。

 

「いや…でも、私達は彼女から救援要請を受け取ったんですよ!?」

 

「…テキニトラエラレタカラッテ?」

 

「……ッ」

 

「何でそれを……」

 

「いえ……確かに私が最後に見た景色は……確かに利根が…」

 

 

「まさか救援を求めたはぐれの利根が裏切りを…?だったら皆が危ない…!!」

 

「レンラクヲトルシュダンハナイケドネ」

 

 

「にしても……今は分からない事だらけだ」

 

 

 

 

「ゲンキダシテ…」

 

「…優しいんだな」

 

「……シンジテモラエナイカモシレナイケド…シンカイセイカンモ…ゼンインガアクデハナイノヨ」

 

「知ってる…ウチにも居るからさ」

 

「イルノ!?」

 

「ん…あぁ…」

 

「ヘェ…ゼヒアッテミタイワ」

 

 

 

「来たらいいじゃないですか」

 

「エ…」

 

「おお!古鷹…!いい事言うな」

「うん!姫ちゃんと鬼ちゃんも喜ぶだろう!来て欲しい」

 

「……フフ…カンガエテオクワ」

 

「ワタシハネ……コノシマカラデタコトガナイノ」

「ウマレテカラズット……」

「ウマクウミニタテナイノ」

 

塞ぎ込むようにポツリと呟く彼女の手を優しく取る2人。

 

 

「大丈夫」

「俺達と…見に行こう」

 

 

 

 

「ソレモワルクナイワネ…」

 

 

「「「ふふっ」」」

 

 

 

 

 

 

 

物は流れ着いた物しか無い故に出来ることは限られたが、魚や果実が取れたので取り敢えずは困らなかった。

 

「……とりあえず魚と芋を焼いてみた」

 

「…ナニコレ、オイシイ…」

「アナタタチハコンナオイシイモノヲイツモ!?」

 

「え、ああ…まあ」

 

「コレハカナラズイカナイトネ」

「デモ…ワタシハ…アナタタチノ……」

 

 

 

「もう友達だよ?」

 

 

 

「エ……」

 

 

 

 

 

 

「命も救ってもらって…こうやってしてもらって…本当感謝しかない」

「俺とも友達でいて欲しい」

 

 

「…ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

友達…

あなた達は…

 

 

 

 

 

 

 

 

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