提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
④から見てくださいね!
探す。
あの日の奈々は彼女達の頭から、眼から消えなかった。
金剛達姉妹は毎日毎日来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日ももう1人の妹を探し回った。
たとえ周りに止められようとも探すのを辞めなかった。
その3日後彼女は見つかった…
「金剛お姉様ァ!!こっち!こっちです!!」
青ざめた比叡の叫び声で金剛が走ってくる。
比叡の腕の中には……冷たい彼女の姿が在った。
浜辺に打ち上げられた彼女は2度目の死を迎えていくら触れようとも温めようとも…ぴくりとも動かなかった。
「奈々!?奈々!!」
何度も何度も呼びかけた。
それが無駄だとしても、彼女はそれを止めることも出来なかった。
金剛達は泣いた。
たとえ誰が側に居てもそのいつもの明るい表情を取り戻すことなく影がさしたように…。
「帰ろう……」
と、彼女の亡骸を抱えて鎮守府へ帰ろうとした時…
奈々はガラガラと崩れ落ち、光となって消えた。
それは金剛達にとって今後も引き摺るであろう光景となった。
可愛いイモートは…
新しい家族はこの世に何一つ残す事なく、私達を2度も守って消えた…
「奈々ッ!?なな!?ドコ!?ねえ!どこ!?」
「奈々ァァアアア!!」
浜辺で濡れるとも厭わず膝から崩れ落ちて泣いた、哭き叫んだ。
その肩を抱く妹達も同じよう砂を握りしめて涙を流した。
そして…
彼女の中には底知れぬ怒りと憎しみが渦巻いていた。
「ぶっ殺してやる……」
金剛達の眼は黒く…暗く染まっていた。
金剛達は鬼のように深海棲艦を狩に行き、血眼であの戦艦棲姫を探した。
誰もその4人を止める事すら出来ずにいた。
補給も入渠もそこそこに気力だけで彼女達はひたすらに戦い続けた。
「おい!金剛!其方は…止めぬか!」
桜三笠が金剛を掴んで問い詰める。
その間はさらに暗く…クマや傷も相まって、より鬼気迫る表情のように見えた。
「大丈夫」
「もうずっと休んでないでしょ!?無茶な事はしないでよ」
瑞鶴達も涙目で語りかける…が、金剛は聞く耳を持たない。
「大丈夫って言ってるデショ!?早く奴を見つけて仕留めないとッ」
「ヒッ…。でも!これ以上無茶したら…金剛さん達が「沈むって言うデース?」
「そ、それは…」
「刺し違えてでも奴を仕留めマース」
金剛が絶対に言わないであろう言葉を放つ。
パァン…
翔鶴が泣きながら金剛を叩いた。
「お説教ですカ…」
「そうですよ!そんな結末ッ!あの子が望むんですか!?あなたのダーリンさんが望むんですか!?」
「……ッ」
「あなた達が死んでしまったら何も意味がないじゃないですか!!」
「あなた達まで失ったら…わたし…たち…はぁ!」
翔鶴はそのまま泣き崩れた。
「榛名さん達は…これでいいの?」
「…止めたい気持ちもありますが…やはり、大切なもう1人の妹が死んだ傷は大きいです」
「…私は…お姉様の行く道を進みます」
その時、大淀から通信が入った。
戦艦棲姫が見つかった…との事だった。
「金剛ッ!せめて少し休め!補給もしろ!その間は我等が奴等を引き留めるから!」
だが、金剛達はこんな声すらも無視して出撃して行く。
「見つけたァァアアア!!」
目に入るやいなや、彼女達は全力で戦艦棲姫の命を狙う。
生かしておかない、必ず殺す、そう心に決めて。
確かに、今のこの状況が正しくないのは分かっている。
ダーリンさんや他の仲間の声を無視するのも、お姉様を止めないのもダメだってことも…このままだと私達も……下手すれば死ぬことも。
でも止められない。
止められるはずがない。
この怒りも…憎しみも止まらないから!!
ガッ!
ドゴッ!
金剛と戦艦棲姫が殴り合う。
だが、棲姫は何枚も上手か…然程ダメージを与えられた様子もなく、金剛へのダメージが増えて行くのみだ。
「……っく!霧島ッ!!そっち!」
「はい!お姉様ッ!」
霧島が飛びついて蹴りを繰り出すが、それを躱して肘打ちで迎撃すると、そのまま比叡に蹴りを繰り出す。
「グッ…」
「きゃあ!!」
その比叡の影から榛名は飛び出した。
「これなら…どうですか!!」
榛名の渾身の蹴りが棲姫の顔面を捉えた。
「ダメ押しだッ!!」
金剛も棲姫の後頭部へと蹴りを打ち込む。
『…アハ…きいてないよ?』
「何でッ」
傷一つ…と言うわけではないが、ダメージは無いに等しい。
ケラケラと笑う棲姫。
『あらぁ…本当に復讐?』
「当たり前だッ!!お前は消すッ!!」
『怖い顔よお?あなた達の方が悪役よ?』
『それにあの子は死ぬべきだったわ?私に牙を剥いたのよ?2度も…弱いから死ぬの』
『戦争なのよ?あなた達もそれはわかってるでしょ?それとも何?謝ればいいの?』
『弱い虫を2度も捻り潰してごめんなさい…ってぇ??』
金剛の意識はそこで途切れた。
どれだけ時間が経っただろうか?
震えながら榛名が海を見つめた。
霧島も傷つき…震えている。
金剛と比叡は
金剛は戦艦棲姫と渡り合っていた。
髪は真っ白に染まりかけ、眼は紅く、黒く染まってバチバチと音を立てながら……そう
まるで…まるで…
『アハ!あなたの方が深海棲姫みたいよ?』
「五月蝿いッ!!コロス!殺す殺す殺す殺すコロス!」
「消してやるッ!!この手でッ一つ残らず!消してやる」
「金剛お姉様!!ダメですっ!」
榛名が金剛に飛びついた。
泣きながら止まってくれと懇願する。
「それ以上行ったら戻れなくなりますッ!!」
「例えそうでも!奴は…奴は消すッ!!」
比叡と金剛は榛名を押し退けて更に髪を白く染めて立ち向かって行く。
「いやあ…お願い…お願い」
『あはは!!!お前達も同じように利用して殺してやるよおお』
ー起きなさい、小さきものよ
え?
わ、わたし?
ーそうです、小さきものよ
ち、小さいですか…?
ーええ、その小さな体に似合わない大きな思い…
えと…どういう?
ーあなたの思いを私の存在にのせなさい
あの…あなたは?
ーはじめまして、私は…ってもあなたは知らないかもね
存在にのせるって…?
あなたは大丈夫なんですか?
私よくわからなくて…
その声はふうっと溜息を吐いて言う。
ーあぁっ!もう!!私の体をあげるって事!!
あんた…見てらんないわよ!
なんでそこまで?
会ったこともないんですよね?なのに…
ーアンタの生き方がカッコよかったからよ…。
ホント…何言ってんだろ…私は…あの猪突猛進のが移ったのかしら…
???
彼女は首をかしげる。
ーこっちの話よ…
さあ!どう?私の手を取る気はある?
あなたの意識は無くなるかも知れない、誰もあなた誰かもわからないかも知れない。更なる死を味わうことになるかも知れない。
ーそれでも…あなたが手を取ると言うのなら、私はあなたの最強の力となりましょう。
彼女は間髪入れずに答える。お願いします…と。
そして、教えてください…と言う。
あなたは…?と。
ー私は……生まれ得なかった
ううん
あなたが私を紡いでくれるから
しかとその耳に頭に刻みなさい!
私は…紀伊型戦艦 3番艦!
暗いお話ですが…ね
感想などお待ちしています!!