提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
「………」
「…………」
鎮守府の昼下がり。
そこには頭を抱えた艦娘達の姿があった。
「どうしたの?」
声をかけたのは桜赤城と蒼オークランド。
「おー…」
「実は…もうすぐダーリンが着任しての記念日になるんだけど…何年目だったか…わからなくなって……」
「えぇ…わからないって…」
「10年だったか…でもこの世界に来て…何年だったか………」
「せっていぶそくー」
通りすがりの妖精さんが怖いことを呟いた。
「………ま、まあ…確かに重要な話題よね」
「1周年でいいんじゃない?」
蒼オークランドが言う。
「クリスマスは少なくとも2回以上はやったのよ?」
「ナンノコトカワカラナイナァ」
「わ、私達が!3陣営が揃ってから1周年てことにならない?!」
「1年経ってたっけ?」
「蒼オークランドが来てからは経ってないね」
「「「「細かい事はいいか!」」」」
「……ベル?紅茶ほしいな」
「申し訳ございません。私はとても忙しいので…」
救の目の前に置かれたのはティーカップとソーサーとティーパック
「お湯は?」
「セルフでお願いします」
じょぼぼぼ…
ポットのお湯をカップに注ぐ…。透明色のお湯は瞬く間に紅茶色に変わって行く。
俺何かしたかなあ?
って…アレか、いつもいつも小間使いみたいにお願いしてたらダメだよな、うん…反省しよう。
1人の執務室は広く…少し寂しく感じる。
「……やっぱり皆の淹れてくれる紅茶の方が美味しいな」
「間宮?夜食をお願いしたいんだが…」
「ごめんなさい…!仕込みが忙しくて…」
「鳳翔は…鎮守府の夜警だよなあ…」
「ん?龍田?おーい」
「あらあ?どうしたのー?……夜食を?」
「ごめんなさい。先約が入ってるの〜」
「………」
「そうだな、たまには自分で作らないとな…」
「…自分の為に作るとなると、途端に面倒に感じるよな…」
「誰かの為にいつも当たり前のように作ってくれたり、声を掛けてくれる皆には感謝しないとな…」
「…とりあえず、たまご丼ができた…」
「…鳳翔や間宮達には敵わないなあ」
「ご、ご主人様ぁ…」
「誇らしきご主人様…ッ」
メイド隊は涙目で震えていた。
「申し訳ございませんッ!しかし…しかし!ベルファストは…耐えねばなりません!ご主人様に今すぐ紅茶とクッキーとかその他諸々をして差し上げたい!」
「でも…色々と準備がありますので……くううう」
「誇らしきご主人様…きっと悲しんでます…。うう…このダメイドをお許しください…」
彼女達は重症だった。
しかしながら耐えねばならない!
来るべきその日に……思い切り…お祝いをするのだから!
いつもとは違う執務室。
その理由は……
「………」
「大淀もベルも…非番かあ。超久しぶりだな、1人の執務は」
しかし!この男は割と気にして無かった。
むしろ、逆に効率良く仕事ができていた!
ここ数日、艦娘達を含めてほぼほぼ会話がない。
普通の人なら『避けられてる!?』となるが、彼はそうならない。
めちゃくちゃ忙しいから!!
普段の仕事だけでもそれなりに多いが…彼は皆との時間も大切にする為に一気に仕事を終わらせているのだ。
そうでもしないと皆との夫婦時間も取れないから。
しかもそれを1人でやる訳なので忙殺されるんだけれども…
まあ!書類の減らないこと減らないこと!
こんなのに一々ハンコ要る!?要らねえだろ!?
何だよ!鎮守府のトイレを新調したいって!!!
すればいいだろぉ!?
ダメったら壊れたので我慢するの?!近所のコンビニとかまで走るの!?
鎮守府に外から調理師を雇いたい?
勝手にせえや!!
お前ンとこでやりくりできるなら勝手にしろ!!
ウチは呼ばねえぞ!?
なになに?
福利厚生で旅行に行きたい?
だから勝手に行けやって!!
他の鎮守府と哨戒の折り合い付けて行けや!!
「ん〜〜〜〜〜ッ!!!よく働いた!!ーって!?まだこんな時間!?」
時計を見たが、まだ9:49分…。
「マジか…全然経ってねえ…」
普段なら誰かと話すから時間が過ぎるのが早いのだが、今日は違う。
1人なのだ。
取り敢えずブレイクタイムを入れよう…とベルを呼ぼうとするが居ないので仕方なく私室に戻ってインスタントのコーヒーを作りに行く。
無人の執務室に入ってきたのは不知火と鬼怒。
「あら?提督はいないんですね」
「む……本当ね」
「あ…でも隣に居るのかな?」
「6日は…ささやかな会食をするって伝えないとね」
「提督の記念日ってのは内緒ですよ?」
こそこそと計画を立案してきたメンバー達。
あとは予定を空けておいてもらうだけ…!
ガチャリとドアが開き、コーヒーを持った救が出てきた。
「ん?おお!不知火に鬼怒。お疲れ様!」
「あ…提督」
「お疲れ様!あのね?6日なんだけど…」
そう、非番なのは知ってる。
だから…この日にしたんだ。
あなたがあなたでいてくれてありがとう…と皆で伝えたいから。
「6日?6日は予定がはいったよ」
「「え…」」
予想外の返答に固まる2人。
「よ、予定が?どんな?」
ほんの少しだけの予定なら調節ができる。
でも……
「巌のじーさんに言われてねね。何でも国のお偉いさんに呼ばれたらしいんだ」
その予想外の事態に皆は困惑した。
「えぇ!?ダーリンが来られない!?」
「内緒で進めてたから仕方ないけど…」
「この時期に…お偉いさんからの呼び出し?」
「あの人が褒められるなら良いんだけど…うーん……」
なんだか胸騒ぎがする。
早いものでこのお話を書き始めてもうすぐ1年になります。
少しは楽しいお話になってますでしょうか?
楽しい時間になってますでしょうか?
ほのぼの…とは少し違うかもしれませんが
お楽しみ頂ければ幸いと思います。
感想などお待ちしています!
メッセージ等もありがとうございます!
とても嬉しく読ませ頂いてます!
ぜひせひ……!お待ちしています!