提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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387話 決別

 

「えへへ…救君とデートだなんて、嬉しいな」

 

目の前にいるのは迅鯨…もとい秋姉さん。

「1日夫婦だなんて…幸せだなぁ」

 

 

「色々行きたいな。今までできなかった事…あなたとしたい」

 

「そうだねぇ。行きたいトコとか、したいことはある?」

 

「えとね…今日は一緒に寝ていい?」

 

「可愛いねえ、いいよ」

 

「ホント?やった!」

「ならまずは、夜食一緒に食べよう?」

 

 

今日の夜から…かつ明日から迅鯨と1日夫婦の日である。

桜ビスマルク達とのやり取りを見ていた迅鯨が若干妬いていたが、スルーする。

 

 

「今日は私の手料理でーす」

 

若干、キャラがおかしい気もするが…それだけテンションが上がってるのだろうと思えば本当に可愛いものだ。

 

「全部俺の好きなものじゃないか」

 

「当たり前だよ!何でも知ってるんだからね?」

この言葉に恐怖を感じたが気のせいだろう…。

ニコリと笑う迅鯨に勧められてお夜食を頂く。

 

 

「ふふっ…昔はこーやって一緒にご飯とか、お風呂とか寝たりとかしてたのにね」

 

「はえ!?や、やめてくれよぅ」

 

「恥ずかしい?」

 

「そりゃもちろん…」

 

「ふふっ可愛いね」

「一緒に寝よ?」

「他の子とも一緒に寝てたでしょ…?私の事好きって言ってくれてたのに……」

 

迅鯨の目からハイライトが消えた。

やめてくれ!元に戻ってえええ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おはようございますなのです!今日もメイド修行よろ………」

 

「あれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督さん!!大変!起きて!!」

乱暴にノックされ、外から誰かが俺を呼んでいた。

 

 

「…うん……北上…どうした?」

 

私が出ますよ、と迅鯨がドアを開けた。

 

 

「血相変えて…何かありました?」

 

 

 

 

「アズールレーンの皆が…居ないの!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その異変はすぐに鎮守府中に駆け巡った。

 

メイドの桜ベルファストや桜シリアスもシェフィールドすらいない。

いつもなら「指揮官様あ!」と飛びついてくるヤベーヤツすらも。

 

 

島のどこを探しても彼女達を見つける事は叶わなかった。

 

 

 

 

 

緊急招集をかけて、全メンバーが集まった。

やはり、艦娘と戦姫しかいなかった。

 

「…」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

「奈々…ちゃん……駿河は!?」

 

奈々は人間でありながKAN-SENの力を借りている。

彼女なら何かしらの事情を知ってるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

「……居ません…」

 

 

「アズールレーンは誰1人として…居ません」

 

 

 

 

 

 

 

 

「TBちゃん!!」

ダメもとで呼んでみる。

 

「はい…」

救の問いかけに答えたのはTBちゃん。

アズールレーンの世界ではセイレーン作戦を支えてくれるインターフェイスだ。

 

「皆が居ないのは何故だ!?」

 

「………」

 

「何とか言ってくれ!!」

 

「プログラムを預かっていますが……」

 

「ならそれを開いてくれ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

彼女の口から出た言葉に耳を疑った。

 

「何!?」

 

「あなたはこの世界の提督です」

「故に、あちらの世界(アズレンの世界)での権限がありません」

 

「何を言っているんだッ!!アイツらは俺の艦隊…」

 

「権限がありません…。それしか言えません」

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「ダーリン…」

 

「どうにもならない…のか…?」

 

「………」

TBちゃんは黙ったままだ。

 

 

 

 

 

その時、麗が口を開いた。

 

「…諦めないで!!」

 

「でも!権限がないって言われたら…」

 

「うん、そうだね、何もできないね」

「でも…私の本当に大好きな提督は」

「私の大好きな救君は」

 

「絶対に仲間を諦めない!」

 

 

 

「……ッ!」

確かにそうだ。

 

 

「行こうよ!」

 

 

「私達の仲間を…助けに!!」

「そんな提督は見たくないよ!!」

 

 

 

麗は本当に立派な提督になった。

か弱そうな彼女はもう居ない。目の前に居るのは…安心して背中を預けられる強い提督だ。そんな彼女の言葉が俺達の頭を更に回転させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もしかしてですが…」

「提督が提督である事が問題じゃないのでは?」

 

「神州丸?どういうことだ?」

 

「はい、神州丸です。えとですね?」

「提督は指揮官ですけど…この世界では提督な訳で…」

 

「ん?ん!?ん!?どう言う事だ!?」

神州丸の言葉の意味が理解できない救。

 

 

「ですから…あの世界でも指揮官である事を宣言すれば良いのでは?と」

 

 

「そうなのか?TBちゃん」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひとつ言えるのは、覚悟無しには前に進めないという事です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「TBちゃん。俺は…アイツらの指揮官だ」

「それはずっと変わらない。だから…開いてくれ」

 

「…………承認します」

 

 

 

 

 

画面に映像が映し出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※この先の名前の表記はそのままです。

赤城や加賀名前もアズールレーンのものと思ってください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「集まったな」

 

「皆…向こうの世界の母港から通信が入った。通信というより伝言なんだが…」

 

『ね、姉さん!大変!!セイレーンが!セイレーンが母港に攻めて…』

 

映像に映ったのはホーネットだった。

その後ろには島風やニュージャージーと言った面々が見えた。

 

『上層部も軒並み壊滅…!このままじゃこの世界は…!!鉄血達への連絡は!?くそぉ』

 

 

どうやら、セイレーン艦隊が母港に攻め入っているようで、戦況は切迫しているようだった。

 

 

 

「早く行かないといけない状況なんだ!!」

エンタープライズ達が言う。

 

 

 

「だが…指揮官を巻き込むわけにはいかない」

 

 

「そうね…」

 

「指揮官が最初に来たのが私達の世界じゃなかった事を悔やむな…」

 

 

「お願いしたら来てくれるのではないのか?」

 

「きっとそうだと言うだろう。でも彼にも立場もある」

「この世界を守ると言う使命もある…」

 

「……怒るだろうな」

 

「うん」

 

「でも…仕方ない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、各自準備は済んだな?」

「戦況が戦況だ。もう一度皆で帰って来られるかはわからない」

 

「でも…次は皆で…揃ってこの世界にお世話になりに来よう」

ニコッと笑ってエンタープライズは言う。

 

 

 

 

「行くぞ!!アズールレーン、セイレーン作戦開始だッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆が裂け目から世界を跨いで行った後のモニターにはまだホーネット達が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『待って…何で()()()()()()()()()()()()()()()!?』

 

 

 

 

 

ブツリ…と一旦、映像は切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホーネット!!ホーネット!」

ゲートを潜って出た先にホーネット達は居た。

 

「姉さん!来てくれたんだ。でも…アレ!アレ!」

 

 

 

ホーネット達の指差す先には……

 

 

 

 

 

 

 

「…あれ…ビスマルク…?」

 

「オイゲン!?重桜艦隊まで!?」

 

 

 

「動かないで」

「ここから先は…レッドアクシズとして行動させてもらうわ」

 

信じ難い光景だった。

セイレーンと共に行動しているのは、レッドアクシズ…つまり、鉄血と重桜だった。

ビスマルクもティルピッツもオイゲンも赤城も加賀も皆が私達と相対するようにこちらに艤装を向けて立っていた。

 

 

 

 

 

 

「何でだ!?」

「向こうでは皆で戦ったじゃないか!!」

 

 

「それは指揮官の居る世界だったからよ」

「この世界には…問題が多すぎる。だから…私は知りたい。何故私達がここに居るのか、その本当の意味を」

 

「だからって…セイレーン側につくなんて!!」

 

「あの人の来なかったこの世界は紛い物…。紛い物は朽ちるのが運命なの。なら、私は仲間の未来をせめて少しでも本物に近づけたいだけなの」

 

「その仲間ってのは私達は含まれていないんだな」

 

「………」

ビスマルクは黙り込んだ。

そして…

 

「あなた方もこちらに来れば良い」

と言い放つ。

 

「それはできない」

エンタープライズ達は毅然と返す。

 

「そう…。運命は変えられない。なら…抗うのは無駄ってわかるでしょう?」

 

 

 

「戦うしか…ないのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プツリと映像が消えて以上です…とTBちゃんが言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ビスマルク…!?」

 

「ビスマルクさん達がエンタープライズさん達を裏切ってセイレーン側についたって事!?」

 

「映像を見る限り、彼女達が戻る前からレッドアクシズはセイレーン側についていたと言うことになる」

 

「ってことは…いつからビスマルク達は!?」

 

「最初から…?」

 

 

 

 

 

「分からない…情報が多すぎて少なすぎる…」

 

 

 

 

 

 

突然の事に何も言えなくなる救だった。

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