提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
「……」
『誇らしきご主人様あー!!桜シリアス…朝ご飯を作りましたあ♡』
『ちょっと!小娘!何抜けがけしてるの!?……指揮官様?桜赤城、朝ご飯のご用意が出来ております』
『ちょ!先輩!醜い争いはやめましょうよ…』
取っ組み合いをする2人に桜瑞鶴が止めに入る。
『桜瑞鶴…。えぇ、そうよね…みっともなかったわね』
さすがは桜赤城、ちゃんと自分を律することが出来るようだ、故に重桜の一航戦として後輩を引っ張って行けるんだな…。
桜瑞鶴も桜赤城の後輩として…しっかり背中を見て育ってるんだな…。
『そうですよ?重桜の幹部なんですからしっかりして下さいね?………そんなことより、指揮官?私の部屋で朝食でもとりながら…『『お前もじゃん!!』』
うん、見てたわ。しっかり背中見て育ってたわ後輩。
「ふふっ」
「どうかしましたか?」
「ん?不知火、いや、色々と思い出して…な」
「アズールレーンの皆の事ですね」
「あぁ…」
「未だに色々と受け入れられないところがある」
「桜ビスマルクさんのことですね」
「あぁ、一度会って話をしたい。ロイヤル達は彼女を許さないと言うだろうが…それでも……俺は…アイツらを信じたい」
「提督らしいです」
「そんな提督が私達は大好きですよ」
ありがとう…と、慣れた手で紅茶を淹れて飲む。
桜ベルやシリアスのに比べたらまだまだ…だな。
一息入れてから思考を巡らせる。
「………」
アズールレーンの離脱、これは母港の強襲に際してのものだから仕方がない。
だが、どうして声をかけてくれなかった?
① 俺達が頼りない。
② 俺達が世界を超えられない。
③ 俺達の事を考慮して。
どちらにせよ…寂しい事には変わりない。
そして…ビスマルク。
鉄血と重桜の離反…。
これは相当に深刻な問題だ。
元々、確かに彼女達はアズールレーンから離反した。
セイレーンの技術を取り入れるだとか、カミとして扱うだとか…陣営の思想や方向性の違いによるものではあるが…。
少なくとも…あのビスマルクは再度アズールレーンとしてこの世界に来たはずだ。あの時の戦い以降には。
「…TBちゃん」
「はい、何でしょうか?指揮官様」
「……あの映像を見せるように仕向けたのは誰だ?」
「………桜フッド様です」
「桜フッドが?」
「はい、『勝手な事をしてごめんなさい。こうするしかなかったの。この問題は私達で解決するわ…。だから……だからあなたはこっちへは来ちゃダメ』と」
「…………そうか」
「向こうとは連絡は取れないのか?」
「俺達の力も必要なら…「不可能です」
TBちゃんはキッパリと言い切った。
「何で?」
「………」
「言えないのか?」
「………」
いや、考えろ考えろ!
アイツらは来られたんだ。何故だ?何故来られた?
いや…違う。
なんで帰ることが出来た?
俺…か?
彼女達は言っていた。
「俺の為に来た…」と。
「………まさかねえー!」
俺が鍵だなんてはあり得ないだろう。
「ど、どうしましたか!?」
大淀と不知火がびっくりして声をかけて来た、申し訳ない…。
「いや、あり得ない事を考えていただけだよ」
と、笑いながら答えた。
すると…
「あり得ないなんて事はあり得ませんよ」
「え?」
その言葉にびっくりして2人の方を見ると…
2人は真っ直ぐに、真剣にこちらを見ていた。
「そうですよ?提督」
「あり得ないなんて事はあり得ないんですよ?だって何故なら既にあり得ない事は起こっているから…」
「あなたがこの世界に来た事、皆があなたを追いかけてこの世界に来た事ですよ」
そうだ…
もうそれは起こっていた。
何かが晴れた気がした。
「……」
「TBちゃん」
「はい」
「あるんだろ?方法が」
「
「…ッ!!」
「指揮官様…フッド様からは…」
「俺は行くぞ」
「行かなくて何が指揮官か!側にいなくて何がケッコンか!!」
「アイツらは俺を支えてくれた!なら俺が皆を支えなくてどうする!!」
「絶対に見つけて見せる」
「俺は…アイツらの指揮官だッ!」
「他の誰でもない!俺が……俺だけがアイツらの指揮官なんだ」
熱く語る救に声をかける者が居た。
「行くにしても、鎮守府とかはどうするつもりなの?」
麗だった。横に
「麗ちゃん……それは…」
確かにそうだ。
俺にも立場や、やらなければならない事は沢山ある。
それらを放っぽり出して…結果としてこの世界が危なくなったら本末転倒だ…。
「俺1人で行くよ…………………なんて事は言わせないからね」
金剛が居た。
いや、他にも部屋の中にも廊下にも皆が居た。
「ダーリン?これで置いて行かれる気持ちは分かったでしょ?」
「そうやで、1人で行くなんて言ったらあかんで」
「私達だってどんな時でも…提督と一緒ですからね?ね?」
「でも、お前達…鎮守府は………」
「行って来なよ」
「え?」
「…ここも、救君の大切な街もみーんな…」
「私達に任せてよ」
「……でもッ そr「私は…そんなに頼りない?」
彼女は寂しく笑いながら言った。
「任せるって言ってよ…」
「私ね?これでも結構頑張ったんだよ?」
「大好きなあなたの背中を預かれるように…って」
「あなたの帰りを待つ事だって出来るようにって!」
「安心してあなたが行って…あなたの帰る場所を…大切なものを一緒に守ることが出来るようにって!!」
「だからさ…だからさあ」
彼女はきっとこの将来もこの世界を背負って立つ娘だろう。
その子がそんな事を言ってくれる俺はきっと幸せ者なんだろう。
ずっと守りたいと思っていた、でも…彼女も俺をずっと守って支えて来てくれたんだ。
本当は海ちゃんもついて行きたいと言いたいはずだ。
それをグッと…グッと押さえて今の言葉を俺にかけてくれてるんだ。
「私は…ッわt「任せる」
「ここも…この街も…何もかも大切なものだ。勿論、君もその中で………言い表せないくらいに大切な人」
「だからこそ頼んだ。何があっても皆で絶対に帰ってくるから」
ドキッとした。
私の肩を持って…彼の顔が近いからではない。
私の好きな人はこんなに真剣に私を見て任せてくれたから、その真剣な眼差しがこんなにかっこよかったんだ…って。
「うん」
「よし、準備だ!」
「……その前に行く方法見つけないとね」
暗い話が続いてます。
メンタルの方はまだ耐えられますでしょうか?
鬱展開やキッツイ話も出てきます…
少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです。
感想などお待ちしてます!