提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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392話 邂逅と戦闘

目の前がサアッと暗くなる。

変な感覚が身体中を駆け巡る。

 

 

 

 

まるで何かが塗り変わるような…そんな感覚…。

 

 

 

 

 

 

 

そんな事はどうでもよかった。

心にあるのは…皆の事。

 

ただそれだけだった。

何かの間違いであってほしい、勘違いだとか作戦だとか…皆で笑える明日を迎えたいだとか…そう言う気持ちでいっぱいだった。

 

 

 

 

 

 

目の前が明るくなる。

 

 

「……ん…んぅ…」

 

ボヤけた視界がハッキリとした。

 

 

 

 

 

ゲートの画面で見た…記憶はあまりないが、ここは母港か?

大きな…広い所に出たな…。

「皆居るか?」と声をかける。

 

「はい!皆いますよ!」

 

「……てーとくさん!ここはどこ?」

 

「恐らくは…こっちの世界の母港じゃないかな…」

「と言うのも…あまり見た事が無くて…なあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……指揮官」

 

 

コツコツと歩みながらそう声をかけてきたのは桜ビスマルク。

 

 

救は思考を加速させた。

母港襲撃に加わったのはレッドアクシズとセイレーン…。

 

つまり、この場に桜エンプラ達が居ないと言う事は…母港は乗っ取られたと見ていいだろう。

 

 

 

 

 

 

「おう!来たぞ!ビスマルク!ひどいじゃないか…黙って行くなんて」

 

「ごめんなさい…数日会わないだけだったけど、元気そうでよかったわ…。会えなくて寂しかったわよ」

 

「俺も寂しかったさ……本当に…いきなり居なくなるなんてさ」

 

「……ごめんなさい」

 

 

 

「……で?皆は?」

 

()()()()()()()()()()()

やけに穏やかな顔の桜ビスマルク達。

 

「そうか………」

 

「で?ビスマルク…お前た––––––」

さらなる再会を喜ぶ前に主砲がコチラを向く。

 

「ー…何のつもりだ?皆」

「冗談でも笑えないぞ?」

 

 

 

 

「あなたの言おうとした事は…こうじゃない?」

 

 

 

 

「何で仲間を裏切ったか…?でしょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「話が早いな…」

「なら答えてくれ!何でだ?」

「…何かの間違いだとか、作戦だと俺は信じている」

 

中には複雑そうな顔をした者も居る。

ほんの数日前までは笑い合っていた仲なのだから…。

 

 

「………本当にあなたは……馬鹿ね」

 

「だから来ただろう?」

 

「……まさか来るなんてね…そうよ…知ってるなら話が早いわ。それにしても…やっぱり誰かが余計なことをしたみたいね…」

 

「悪いけど…大人しか帰ってくれない?これは私達の世界の問題なの」

 

「そうはいかない。お前達の問題は俺の問題でもある」

 

「……そう言うと思ったわ」

 

 

 

「…もし……」

桜ビスマルクはポツリと言い始めた。

「もし、あなたが最初に来た世界がここなら…こんな事にはならなかったでしょうね」

 

「あなたがいない世界は…どれも偽物なの」

「モブは頑張っても主役にはなれない」

 

 

「レッドアクシズは…仲間の為に戦うわ!」

 

「その中に俺達は居ないのか?i」

 

「……ッ。ええ!この世界での仲間は私達レッドアクシズだけよ!!」

「だからこの母港を乗っ取ったのよ!!あなたが来るならここだろうと思ってね!!」

 

「エンプラ達は…?」

 

「あの敗残兵達ならそこら辺を彷徨ってるんじゃないかしら?その内私達かセイレーン艦隊にやられるのが関の山でしょうけどね」

 

 

 

「桜ビスマルク…俺はお前達を信じt「まだ生ぬるい事を言ってるの!?あなたが邪魔なのよ!!……いいわ……あなた達も桜フッドのように海の藻屑にしてあげるわ!!」

 

「なっ…お前!?まさかフッドを!?」

 

「ええそうよ!あの邪魔な奴は私が沈めた!私が殺したわ!」

 

「……桜ビスマルク……なあ、冗談にしては…良くないぞ?」

 

「………」

桜ビスマルクは小銃を発砲した。

その弾が救の頬を掠ってゆく。

 

「これでも?冗談かしら?」

 

もはや俺達の声も届かない。

彼女達は………

 

 

 

 

「……お前達はそれでいいんだな?」

 

桜赤城や桜三笠達がずいっと前に出てくる。

 

「……指揮官様…」

「いいえ!神崎 救!!」

「私達の未来の為あなたを…ここから排除します!」

 

 

 

 

 

間違いであって欲しかった。

そして……慣れ親しんだ指揮官の言葉よりも名前で呼ばれるのが悲しい日が来るとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「行きなさいッ!!この世界の為…不穏分子は排除よ!!」

 

「迎撃ッ!!絶対に殺すな!!お前達も死ぬな!!」

 

 

「無茶言うよねぇ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘーイ!センパーイ!そろそろ目を覚ました方が…って!きゃぁあ!?」

 

殴りかかってきた桜三笠をいなそうとした金剛は掴まれて壁へと投げつけられる。

「ぎゃん!!……いったいなあ!!」

 

金剛も負けじと桜三笠を掴んで投げ返した。

 

 

「ぐっ!!やるなあ!」

壁へと投げつけられた桜三笠はニヤリと笑った。

 

「それでこそだッ!!」

拳と拳と、脚と脚がぶつかり合う。

 

「「はぁぁぁぁああッ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桜赤城さん!何故ですか!!」

 

赤城は桜赤城と対峙していた。奥には加賀達が対峙しているようだ。

 

「…私達には私達の目的があります。仲良しごっこは終わりなんです」

 

「目的って…何ですか!!」

「そんなに悲しそうな目で…達成される目的って何ですか!」

 

 

「答える訳ないだろう!!」

戦いたくない…その気持ちが前へと出る。

理由があるなら力になりたい…。

しかし、その赤城の問いに桜加賀達がバッサリと切り捨てる。

 

「貴様らのような…本物にはわからんのだ!!」

 

「本物とか偽物って何よ!」

 

 

 

「第二次攻撃隊……発艦ッ!!」

 

「第二次迎撃隊…発艦!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で…何で!!」

 

「………」

 

「答えなさいッ!桜ビスマルクッ!!」

 

アークロイヤルが桜ビスマルクに詰め寄る。

「私達…皆…ずっとうまくやって来たじゃない!!」

 

「えぇ。何度も言うけど……向こうの世界だからよ!」

 

「でも!でもっ!!」

 

桜ビスマルクがアークロイヤルを躱して組み伏せる。

ダァン!と言う床の音と共に…桜ビスマルクが上へと乗る。

ポロポロとアークロイヤルが悔し涙を流しながら語りかける。

 

「何で…何で!!!あなたとも…私は…夢のようだったのに」

 

「そう…夢は夢のままでいて欲しかったわ」

 

「私は…ッ!あなたの方が戦友としても大s…

その言葉が言い終わる前に彼女は壁へと投げつけられた。

 

「………やめて頂戴」

 

桜ビスマルクは母港に集った皆を見渡す。

 

 

長門は桜長門と砲撃戦を繰り広げながら叫び、まだ間に合う!と伝える。

 

桜オイゲン達は武蔵達と無言で肉弾戦を繰り広げている。

 

 

「止めよう!!なあ!皆ッ!!何かあるんだろ!?なあ!桜ヒッパー!」

 

「……言う事はないわ」

 

 

「……ッ!!桜信濃ォ!!」

 

「……別世界のお姉様…。これは夢ではないわ」

 

 

 

 

「なあ……俺は信じてる。皆が…こんな…こんな」

 

「……ッ!!受け入れなさい!!神崎 救!!」

彼女は叫んだ。

 

「桜赤城…」

 

「あなたは…あなたは!!ええ!沢山の事を成して来たお方です!でも!それはあの世界だからなのです!!この世界では…それは通用しないのです!」

 

 

 

 

 

 

 

「そう…でもあなたは…神崎 救は予想外をきっと起こしてしまう」

桜ビスマルクが歩みをこちらに進める。

 

「誰も予想しない…彼女達が求めない進化を……」

 

 

 

 

 

 

「だから…あなたの存在はセイレーンにとって…引いては私達にとって脅威となるの……だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから…()()()…ごめんなさい……!!」

 

 

 

 

桜ビスマルクが手刀でガラ空きの救を狙う。

 

 

 

「ダーリン!!逃げて!」

 

「桜ビスマルクさん!やめて!!」

 

 

「ごめんなさい…。これしかないの」

 

 

 

 

 

彼は彼女を見つめるのをやめなかった。

「……信じてる」

 

 

「………指揮官。愛してるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドシュ……

と嫌な音がした。

ピッ…と顔に温かい何か…血が飛んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅く染まる手が見えるはずのない…桜赤城から見えた。

 

 

 

「ごめんなさい」

 

その言葉は俺に向けられたものか、桜ビスマルクに向けられたものかはわからないが……とにかく彼女はごめんなさいと口にした。

 

 

「なっ……桜赤城!?お前……お前ッ」

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