提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
今回の登場人物も全てアズレンキャラです。
まず…私達は母港を追いやられた後は離れた島を拠点にしてたんだ。
もちろん、泊地修理にも限界があった。
明石達が居ない以上仕方のない事だが…現状、戦闘を重ねる度に消耗するしか無いのだから。
「…損傷状態は?」
「酷くて中破かな…」
ニュージャージーが答える。
「…フッドの事を考えると何とも言えないが…大破者が居ないだけマシ…と考えなくてはな…」
「まさか…ビスマルク達が裏切るとは…ね。いや、最初からそれが狙いだったのかな」
「しかし、何で奴は私を殺さなかったのか」
エンタープライズは考えた、確かにそうなのだ。
1番邪魔になる戦力は削ぐに限る。なら、当然エンタープライズは真っ先に倒すべきであるが…
「…エンプラちゃんを殺す事で躍起になった私らと戦えば彼女達も無事では済まないだろうからねえ…」
ニュージャージーは言う。
「そんな事になるより、私らの回復や戦力の増強手段である母港を封鎖して心を折る方が良いって考えたんだろうかな」
「まあ…
「そうだな…指揮官が居ない事が幸い…なのか」
「あーあ!こっちでも
「ふふっ…まだ会えてないもんな、彼の事だ、どうにかこっちに来たら来たで彼は喜ぶと思う…………」
ここで私達は気付いたんだ。
彼女達の狙いが私達を追って何も知らずにやってくる
「…マズいッ!!」
「指揮官がもし!こちらに来たら」
「母港にやってきてしまう!!」
「まさか…ビスマルクはそれを狙って母港を占領したの?」
「あり得ない話ではないッ」
「今の奴は指揮官を取り込むか殺すかするだろう」
「泊地修理は…やはり満足にはいかないが…」
「しかし、奴の狙いが絞られた今、悠長に過ごす暇はないッ!何としてでもビスマルク達から母港を奪還しなければ」
「……目前!12時の方向…ビスマルク艦隊です!」
「なっ…くそっ!追い討ちか!!」
「いえ…私達と会敵した時より…損傷があるような…」
「なに?」
「とりあえず…戦闘陣形の態勢ッ!!」
「あら?ビスマルク…数日ぶりね。母港は棄てたの?」
「………あなた達に言う必要は無いわね」
「あら?加賀背負ってるのは…赤城……やられたの?」
「貴様らには関係ないッ」
「……その泣き腫らした感じを見ると……
「………」
レッドアクシズのメンバーは黙っている。
「あなた達が母港から出て行くなら…丁度いい。私達は母港に帰ろう」
ビスマルクの横を抜けて行こうとするエンタープライズ達をビスマルクは手を広げて止める。
「何の真似だ?ビスマルク」
ピリッとした空気が流れる。
ビスマルクは言う。
「…言ったはずよ……」
「次は絶対にどちらかが沈むって!!」
「お前も傷が深いだろう?やめておこう」
エンタープライズが落ち着け…と諭すが…
「戦争はそんなの待ってくれないッ!!」
雨が降り始めた。
激しい殴り合いが両者で行われた……無言のまま。
ゴッ ガッ
と、鈍い音と雨音だけが鳴り響いた。
ドスッ…とエンタープライズの拳がビスマルクの腹に突き刺さる。
「ガハッ…」
ビスマルクは起き上がりざまにエンタープライズの顎を拳で打ち抜く。
「うっ…」
よろめいたエンタープライズの髪を掴んで海に顔面を叩きつける。
グイッと顔を持ち上げて何度も何度も殴った。
「………どう…した?ビスマルク……そんな悲しそうな顔で…全然効かないぞ…」
「……〜ッ!!」
「うるさいッ!!!」
ビスマルクは髪を掴む手を離して思い切り顔面を殴り抜いた。
「ぶっ…」
エンタープライズは仰け反りながらも、体勢はそのままに思い切りビスマルクの顔面に拳を浴びせた。
「ぐぅ!!!」
ボタボタとお互いに血を流す。
「うわぁぉあ!!」
ビスマルクは艤装を展開させてエンタープライズを狙……
うよりも早くエンタープライズは弓を引き、その照準をビスマルクに合わせていた。
「……トドメを刺しなさい」
ビスマルクはエンタープライズを見上げて言う。
雨が強まった。
反撃する気力も残ってない…なら、残された道は殺される事だけ。
彼女にはその資格がある。
フッドの仇である私を討つ資格が…
「…行け」
エンタープライズの口から出た言葉は意外なものだった。
私を逃がそうと言うのだ。
「何故!!何でだッ!?」
「情けか!?情けをかけるのか!?仲間を殺した私に…」
「…それでも……お前は仲間だったんだ」
「最初の戦闘で私を見逃してくれた借りを返す」
「だから次は無いッ」
「次は……どちらかが倒れる迄戦う」
エンタープライズは振り返り、ヨロヨロと歩いて行った。
雨が鬱陶しい。
私だけが雨に打たれるように…
見上げた先は…雲の切間から太陽が覗いているのに…
エンタープライズはそちらへ行くのに…
「………行くわよ」
ビスマルクは重い体を引きずって海を行く。
雨は尚も降り続けた。
遥か彼方の空に光が差すだけ…、振り返れば晴れているのに…。
その後にな、赤城の弔いを終えた2人が私達がに追いついたんだ。
やはり私達も無事ではなかった。
特にエンタープライズの傷は酷かって…休み休み動いていたから追いつかれたんだ。
今思えばそれが敵部隊でなくてよかったよ。
「待ってくれ!」
「お前達は…加賀にプリンツ・オイゲン」
「…私達も同行させてもらえないか?」
「何を勝手な…!!」
「アンタ達のせいでフッドも………「エリザベス様…」
ベルファストに嗜められ黙るエリザベス。
「…私達に同行する理由は?」
「……母港に行くんだろう?指揮官に会いに…」
「やっぱり指揮官が来てるのね…」
「ならあなた達の傷は……」
「あぁ、指揮官の部隊との戦闘でなったものだ」
「その中で赤城さんは……」
「……赤城姉様はビスマルクから指揮官を庇ったんだ」
その言葉に一同は驚愕する。
「天城姉様も居た、もちろん私や後輩達も居た。大切な仲間だ」
「でも…赤城姉様はやはり自分を偽れなかった。最後の最後に1番大切な者を守ったんだ」
「その意志は私が継ぎたい」
「……だからって…アンタ達ねえ…」
「わかった」
渋るエリザベスを遮るようにエンタープライズが了承する。
もちろん皆は騒ついた。
「…しかし、母港に着く迄は手錠を掛けさせてもらう」
「もちろん、艤装の展開も禁止する。海域での戦闘は我々に任せて欲しい…その君の意思は指揮官に会うまで私達も守る」
「だから例え、私達がピンチでも艤装を展開しないと約束して欲しい。展開すると言うことはどんな状況下でも敵対行動とみなす」
これはあくまでもエンタープライズなりの配慮である。
口には出してないが、捕虜の立場とするしかないのだ。
仲間だが…いや、仲間だったからこそ…怒りを覚える者も居ない訳では無いから…。その矛先を彼女達に向かないようにありとあらゆる戦闘行動を封じるしか無いのだ。
「「…了解」」
2人は了承する。
「と言う訳だ」
「……なるほど」
「にしても2人はよく抜けられたね」
「あぁ…そこまで私達は重要視されてないのだろう」
「そうね、私達2人くらい居なくたって…セイレーンの勝利は揺るがないんでしょうよ…」
「………まあ…なんだ、今はみんな傷を癒して休んでくれ…」
加賀達の離反。
悩ましい事が続くな。
本当に彼女達は離反したのか?
赤城が理由なのは頷けるが…………オイゲンもまあ……うん。
「…ご主人様」
ベルファストが急ぎめに部屋に来た。
「ん?どうした?」
「……上層部の方から通信が…」
「…出た方が良いよね」
「はい、それと……」
ベルファストは小声で俺に伝えた。
「艦娘の方や戦姫の方の存在は伏せておきましょう…」
『君が神崎君かね?』
ぶっきらぼうな声が画面越しに聞こえた。
「ええ、はい」
『母港の指揮官が……永く椅子を空けていたそうじゃないか』
「……」
『黙りかね…。まあいい、君はセイレーン作戦に非常に前向きと聞いた』
『率直に言う。セイレーンへの反攻作戦はやめておけ』
「何故です!?」
『…それ以上は君に言っても仕方のない事だ』
『君の成すべき事は…レッドアクシズの殲滅と攻め入って来たセイレーンの脅威から母港と人を守る事だ』
「…し、しか『これは命令である』
その言葉と共にブツリと通信は切れた。
「………」
「レッドアクシズの…殲滅?」
ごちゃごちゃになる救のもとに訪ねてくる者が居た。
「入るわね」
「…オイゲン…」
「……レッドアクシズの殲滅?私達が居ることがバレるとまずいかもね…て言うか笑えないわね」
「………引っ掛かることがたくさんあるけどな」
「……指揮官?」
「なんだ?」
オイゲンがずいっと寄ってくる。
「……指揮官。今、レッドアクシズ…いえ、セイレーンのところには人間の指揮官が居るわ…それもあなたと同じような立場の人間がね」