提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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396話 その剣は折れない

 

 

 

 

『…へぇ……あの指揮官クンが来たんだ…』

『面白くて面白くないね』

 

 

 

その悪意は歩を進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵襲ッ!!敵襲ぅ!」

 

つんざくような音と共に悪夢のような奴がやってきた。

 

『あれれれれー?』

 

『なぁーんで指揮官…神崎クンが居るのかなぁ?』

ニタニタと笑いながら彼女は言う。

 

『さすがのビスッちも殺さなかったかあ…』

 

 

 

 

 

「ピュリっち!!」

 

 

『だぁかぁら〜馴れ馴れしいゾ?』

『何で皆そう呼ぶかなあ…』

 

ピュリファイヤーはヤレヤレと言う。皆は癖でピュリっちと呼ぶが彼女は向こうの世界にイレギュラーの自分がいる事には感付いてないらしい。

 

 

 

 

『まぁいいや。取り敢えず全員死のうか』

『KAN-SEN達は死にかけだけど…艦娘達が居るからね、君はね…僕達の邪魔になりそうだからね』

 

 

ピュリファイヤーはセイレーン艦隊を展開させる

 

 

 

 

 

 

「…ってええぇえええいッ!!」

 

『うおっ!?』

飛びかかり、鉄拳を見舞おうとする金剛。

間一髪のところで避けるピュリファイヤー。

 

 

 

 

「チッ!!シィット!!はずしたッ」

 

『いきなり殴りかかるのはどうなんだい!?』

避ける体勢から金剛に蹴りを食らわせる!金剛は両腕でガードする。

 

「…ッ!?」

 

『おや?』

『弱くなったかい?』

 

 

「そこだッ!!」

飛び込んできた長門蹴りですらヒラリと躱される。

 

 

 

 

 

 

 

『でも…ほーんとに予想外ばかりだね!まさかお前達まで居るなんてさあ!ほーんとに……』

 

 

『でもまだ……うん。今の内に芽を刈っておこうか』

 

 

ピュリファイヤーの号令で一斉掃射が行われる。

以前なら何のことはない筈……だが、なぜかまともにダメージを受けてしまう。

 

 

「何で……本調子じゃ…」

 

『おや?おやおやおやおや?弱くなったねぇ〜』

 

 

 

 

 

 

「…ッこの!!」

桜ウォースパイトが攻撃に出るが…

 

『おそい』

ドゴッ!!

 

ヒラリと避けられて顔面に拳を叩き込まれる。

 

「ぐっ……」

 

『そらそらそらァ!』

尚もピュリファイヤーとセイレーン艦隊の攻撃は続く、何とか立ち上がろうとする艦娘もKAN-SENもその猛攻に立ち上がる事ができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穿たれる母港、倒れる仲間を背に彼女の膝は折れなかった。

 

 

 

 

 

「…負けるものか…」

桜ウォースパイトは立ち上がる。

 

「私は剣だ。陛下と……指揮官を守る剣だッ」

 

『だから何だよ鈍が…。折れちまえよ』

 

ゴッ…と鈍い音がする、ピュリファイヤーが桜ウォースパイトを殴り続けている。

桜ウォースパイトの後ろには救が居る。

彼女は一歩も引かずその全てを受けていた。

 

 

 

「折れるもんか」

彼女には折れない…いや、折られる訳にはいかない理由がある。

友の戦死、離反…。

こんな世界の為にやって来てくれた皆を…

 

 

彼女は夢見ていた。

今は離反した彼女達とまた笑い合える日を…

共に歩んだ道は再度枝分かれしたけれども、またきっと手を取り合えると!!

 

 

 

 

 

「どんな中でも私達を信用してくれる指揮官を…私は守るんだ」

 

 

『アーーナカヨシゴッコうぜー!もう死んどけよぉ♡』

ピュリファイヤーは飛び退いて助走をつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜ウォースパイトは振り返って言った。

「指揮官…私はあなたを信じる、この先何があっても待っていても!」

「だから私に…あなたの剣に…あなたの命を預けて!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私に力を貸してッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ!!」

彼は彼女の肩に手を置いて応えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ギギッ…と音がした気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光を放ち振り返る桜ウォースパイト。

眩い閃光がピュリファイヤーの目に入った、いや、皆の目には見えた筈だ。

 

 

『え…』

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付いたらそうなっていた。

 

 

 

 

 

ピュリファイヤーは真っ二つに斬られていた。

いや、ピュリファイヤーだけでない、後ろの艦隊もぶった斬られていた!

 

 

『はぁぁぁ!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウォースパイト 改

 

 

大きな剣を地面に刺し、彼女は立っていた。

その剣は指揮官を守り、仇なす敵を斬り伏せる。

 

「…桜ウォースパイト…ナイス!」

 

「ふふっ…通じ合ったみたいね」

 

 

 

『くそっ!なんだよ!覚醒しやがって!クソッ!次は殺してやるッ殺して–––––

 

 

 

「黙りなさい」

その剣はそれ以上の会話を許さなかった。

ピュリファイヤーの体は更に分割され、スペアとしての機能を停止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何とか乗り切れた…な」

 

「桜ウォースパイト!よくやったわ!」

 

「ありがとうございます、陛下…」

 

「……」

 

全く歯が立たなかった悔しさ、不甲斐なさを感じた。

勝てた筈の戦いに勝てなかった。

 

 

だがそれが何故か分からない。

 

奇跡にも近い勝利だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……へぇ…あなたが指揮官…ね?」

 

 

それは気配も音もなくやって来た。

 

長い髪に2本のツノ…

この人数に対しても落ち着きを通り越して余裕の表情で立って居られるその佇まい。

誰のよりも大きな艤装…デカいなんてもんじゃない…

 

肌で感じるその強さ、圧倒的なプレッシャー。

 

 

誰もが声を出せなかった。

まるで首に鎌を突き付けられてるような冷たい感覚。

カチカチと震える者も居た。

何とか立ち上がろうとする皆。

 

 

 

「お前は…?会った事ない奴だな」

口を開いたのは救だった。

 

彼女は意外そうな顔をした。

しかしすぐに冷ややかな表情に戻る。

「ええそうね」

「初めまして…私はフリードリヒ・デア・クローセ…鉄血の指揮を執らせて貰ってるわ」

 

「何…?桜ビスマルクがトップの筈だろう」

 

「…そのトップが居ない間のね………」

 

「……なら、何の用だ?言っておくが…」

 

 

 

 

「言っておくが…?」

 

 

「桜オイゲンも桜加賀達も渡さないぞ」

 

 

 

「………へぇ……折れかけの仲間も多い中で…戦えないヒトが…私の強さを前にして…そんな余裕があるの?」

 

 

 

 

 

その言葉に救は一歩前へ出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ッ…フフ…アハハハハハハ」

フリードリヒは突然笑い出した。

 

「聞いてた通りのおバカさんね!お姉さんお腹痛いわ」

 

 

ずいっと桜ウォースパイトが前へと出る。

「あら?………そうね、この中ならあなたが1番私の足元には届きそう…ね」

 

 

 

 

「へぇ…あの娘だけなのね?まあいいわ…とりあえず…でも、ダメね。えぇ、全然ダメ」

 

「全く足りないわ」

 

 

 

 

 

 

 

「暫く再起不能になってもらいましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……皆…無事か?」

 

「………何とかね…」

「……あんなので本当に手を取り合えるのかしら」

 

「………心が折れそうだ」

 

「奇遇ね、私もよ…庶民…」

 

 

 

 

 

 

 

奇跡的に轟沈は無かった。

皆大破で……母港はほぼ壊滅だけど…

 

こっちの妖精さん…………饅頭ひよこさんは無事なようで、オイ…マジかよ的な表情で瓦礫の山を見つめていた。

 

 

 

「……さま……」

その声はスマホ的なものから聞こえて来た。

「…きか……さま」

 

 

「指揮官様」

 

 

 

「TBちゃん!?」

 

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