提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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うおお…400話…






400話 我等が道を征く ②

 

 

 

本来、本体の在る場所は誰にも秘匿されてある。

例え奴等がゲートを使えたとしても…その場所を知らない限りは到達し得ない。

 

 

だが、スペアから本体へと戻るその瞬間にソレをねじ込まれたら?

 

 

 

 

ぐにゅり…とゲートが開いて行く。

 

 

待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て

 

 

 

 

 

バックリと開かれた裂け目は…ピュリファイヤー本体の存在する場所へと通じているのだから。

本体へと戻ったピュリファイヤーが見たのは…裂け目からのぞく憎き天敵(西波島艦隊)だったのだ。

 

 

 

 

 

驚いた…いや、驚かされた。

気づけた筈なのに気付かなかった。

 

いや

奴等はそういうもの(指揮官大好き)だという事を失念していた。

 

 

 

『何ぃぃいいい!?ビスマルクッ!!貴様ッ裏切るのかぁあ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら…これは予想外かしら?」

 

彼女は輝く目で笑う。

きっと誰もが見たこともない表情で笑う。

 

 

 

「あなたの1番嫌な予想外をプレゼントするわ!」

 

 

 

 

 

 

『何ぃいいいいい!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたが掻き消したくて掻き消したくて仕方ない…神崎 救(予想外)の艦隊の存在を私の指揮官を…ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が…彼女達が俺を…俺達を信じ続けていた結果だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てはレッドアクシズ達の壮大な計画だった。

 

 

元々はセイレーンを叩く為に立てた作戦だった。

しかしその進路は大きく変わることになった。

 

 

そう、大和田という人物が指揮官として陣営に加わったと情報が入って来たことだ。

 

 

 

異世界からやって来たと聞いたからだ。

それだけならまだ良い、しかし指揮官としてやって来たと聞いたからだ。

 

この男は艦これの世界からこの世界に来たのではないだろうか?

と言う疑念があった。

 

 

フリードリヒの情報からも事前に得ていたが…レッドアクシズの施設にあった入渠施設を見て決定打となった。

疑念は確証に変わった。

 

大和田は艦これの世界から来た…と。

 

 

 

いずれは2つの世界に仇なす存在になると考えた彼女達はここで2つを叩く事を決めたのだ。

 

 

 

 

セイレーンの本体を叩く。

つまり、喉元に刃を突き立てる事!

私達の手はいつでもお前に届くんだと言う意思表示!

 

 

 

 

 

 

 

「このおおおお!!!』

ピュリファイヤーは本体を守るべくコピーを展開する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一気に叩けぇええええ!!」

 

 

待ってました…とばかりに桜ビスマルクの周りに鉄血、重桜組が集まってくる。

その攻撃の矛先は…アズールレーンじゃない。

 

セイレーンの本体達(過去と未来へのしがらみ)へと向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全レッドアクシズに告ぐ!!我々の目論みは達成された!!……一気にセイレーンを叩くッ!!」

 

 

「…理解不能」

「理解不能なんだけどッ!!!」

 

「あなたには分からないでしょうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜エンタープライズ達は遅れて理解をした、させられた。

 

 

「行こう!!指揮官ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲートの裂け目から覗くのは禍々しい世界だった。

 

「な…な!」

そこに奴の本体が居た。

 

 

それに向かうレッドアクシズ達を見て…

彼は熱いものが込み上げて来た。

 

 

やっぱり桜ビスマルク達は……この為に…

 

 

 

 

 

 

今まで叩けども叩けどもヒラリと躱されたスペア。

だが本体を叩くことができれば!!!

 

 

『来たかぁあ!!神崎ィィ!!』

 

 

『殲滅!!』

 

救達に向けて一気に火力が集中される。

 

 

 

 

 

 

「マズい!!まだ…皆がゲートを……対空ッ!くそ!間に合わないッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眩い光が辺りを覆った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「させませんわ」

 

 

 

その光は彼のキューブから発された光。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び主人を守らんとする光。

 

 

 

 

 

 

 

 

迫り来る弾幕を一気に掻き消す流星の如き炎。

しなやかな尻尾に和装の佇まいのその後姿に彼は息を呑んだ。

 

 

 

男は知っている。

その背中を知っている。

 

 

その声を愛を優しさをー

 

 

だから

名前を呼ばずには居られなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…桜赤城……?」

 

 

 

 

 

 

「はい、指揮官様」

 

何日も泣き暮れた。

フッドの死も…悲しかったが…桜赤城を目の前で喪った悲しみは言い表せなかった。

もう触れることも…あの声を聞くことも出来ない…と。

絶対に信じると誓った桜ビスマルクを恨みそうになる自分を許せなかった。

 

 

 

どんな奇跡よりも……こんなに嬉しい事はない。

 

 

 

 

「本物だな?」

 

「はい」

 

彼は周りの目も気にせずに飛びついた。

「よかった!!良かったぁぁああ!!!」

その声は彼女が驚く程に子供のように泣きじゃくりながらだった。

 

 

「ウフフ…指揮官様が私に……うへへ」

 

「素が出てるぞ?姉様」

 

 

 

 

「え?知ってたの?桜加賀」

素っ頓狂な顔をする救

 

「面白い顔だな…指揮官。……もちろんな…作戦だったからな」

 

救は桜ビスマルクを見る。

 

「ごめんなさい、指揮官」

合流した桜ビスマルクが頭を下げる。

 

「全く……本気で殴り合ったんだからな、言ってくれれば良いものを…悪役なんか選んで……」

桜エンタープライズ達が言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

ビスマルクは元からそのつもりだった。

自らが悪者になる事で、周りからの目を逸らさせる。

セイレーンの内側に入り込む事で内部からの崩壊を画策したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『しかし、指揮官が来なければお前達は死ぬだけだったんだぞ!?』

 

 

 

ビスマルクは微笑んで言う。

「来てくれると信じていたから」

 

「誰1人として信じてくれなくても…指揮官だけは私を信じてくれてると…信じてたから」

 

「…ッ!ッ!!」

 

『その為にッ!その為に仲間(フッド)すら殺せるのか!?』

 

 

 

 

 

 

 

「あんなことでロイヤルネイビーの栄光は消えたりしませんよ?」

 

「「「「ええええ!?!?」」」」

 

 

「死体が見つからない時点で…疑わないと…ね?」

 

「なら…桜赤城は!?」

 

「……生きてたから、キューブに戻ってもらった。葬式したことにして」

 

 

「うひゃー…まんまと騙されたわけかー!」

桜クリーブランド達が笑いながら言う。

 

 

 

 

「言ったでしょう?仲間の為に…より良い未来の為にむて」

 

「その仲間のより良い未来の中には私達も居たのね」

 

「誰もセイレーンが仲間なんて言ってないわ?」

 

 

 

ビスマルクは言った。

仲間の未来を少しでも良くしたいとー…。

それはアズールレーンの仲間を指していた。

 

セイレーンは運命を再現する。

運命とは、そうなっているもの…と。

 

しかし、その運命を打ち破る者が居る。

 

それは人であり、指揮官である。

そして…その渦中の指揮官とは、神崎 救である。

 

彼はいくつもの困難を打ち破って来た。

セイレーンが予期せぬほどに。

 

彼女はこの世界を去る前に彼女に準備させた。

フリードリヒ・デア・グローセに終わりを始まらせる事を。

 

 

 

無論、敵の手の内であろう母校に桜エンタープライズ達を置くのも問題なかった。

しかし、指揮官が来るのなら話は別だった。

 

だから彼女達は艦隊から離れる事を選んだ。

 

指揮官が居なければ力を発揮できない。

つまり、共倒れになる可能性もあったのだ。

だからセイレーン側には指揮官が居るとの事でそちらに移ったのだ。

 

 

 

可能性…神崎 救

ビスマルクはそれに賭けていた。

彼女は…いや、彼女達は知っている、彼がきっと世界を超えて助けに来てくれると…。

だからこそ、保険として自らが悪役になる事にした。

 

TBにあの映像を、そしてこの世界への切符を用意したのも実は彼女なのだ。

あまつさえ、セイレーンの情報をTBに流してサポートしていた。

だが、彼女も敵の目を欺く為にこの世界での自らの行為の再現としてフッドを沈め、回収させた。

 

 

桜赤城をキューブに戻し、機会を窺わせる為に救達に負けて母校を譲る為に…。

 

桜加賀達に裏切りとして神崎サイドに行く動機付けと情報を持たせる…。

そして、フリードリヒが母校を破壊する事で盗聴等を無くさせる為。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからあの日、桜ビスマルクは街で救に会った。

声が聞きたかった。

姿が見たかった。

何時間も待ち続けたのだ。

「俺はそれでも信じている」

 

1番欲しかった言葉を彼はくれた。

だから…

彼女は折れそうな心を何とか奮い立たせて踏ん張った。

 

 

 

 

 

指揮官が母港を取り戻し、皆を集め…力を蓄えるこっちから離反する者が情報を持って行く。

そして最終には私達が内側から崩す。

 

その為なら私も沈んでも良いと思っていた

全ては…仲間の為に

 

–––仲間がより良い未来へと行ける為に–––

 

 

 

そう

それはこの今の瞬間の為に。

 

 

 

予備機なんかじゃなく…

本体を叩く為に!!

 

 

 

 

 

 

 

「……もう一度…もう一度私と一緒に戦ってくれない?」

 

 

「何を言っているんだ」

 

ビスマルクの問いに桜エンタープライズや桜エリザベス、桜長門は…

 

 

 

 

 

 

 

「当たり前でしょう?」

桜フッドが笑って言う。

 

「私達は…アズールレーンよ?」

桜赤城が言う。

 

「驚いたけど…これが狙いだったのよね?」

 

「あんな事で私達の絆は砕けないから」

 

 

 

 

「なら何で私達は喧嘩してたの?」

桜ビスマルクが笑いながら問いかける。

 

 

 

「指揮官に勧めるのはたんさんこーらか紅茶かで揉めてたんじゃない?」

 

 

「…指揮官…」

 

「TBちゃんへの伝言も全て君だろう?」

 

「何故そう思うの?」

 

「喋り方がフッドとは違う事と……来ないで…って言葉に来て欲しいって何となく感じたんだ」

 

「……ッ」

 

「苦しかったろう?辛かったろう?」

「ずっと信じてるぞ…だなんて言ってもっと他にできることがあったんじゃないかって思う。もっと君を…「いいのよ…指揮官」

 

「その言葉だけで…私は救われるわ」

「いいえ…私について来てくれたレッドアクシズの皆が救われる…」

 

 

 

 

「……行けるか?」

 

「レッドアクシズ…いえ、鉄血…行けるわ!!」

桜ビスマルク達が構える。

 

「重桜…いつでも指揮官様と共に!」

桜赤城や桜長門の声に皆が構える。

 

「ロイヤル…既に準備は出来てるわ!」

桜エリザベスの声に皆が構える。

 

「ユニオン…いつでも言ってくれ!」

桜エンタープライズの声に皆が構える。

 

 

 

 

 

 

桜ビスマルクは叫んだ。

「さあ!!指揮官ッ!!アズールレーンは指揮官と共にあるッ」

 

西波島(母港)の艦隊は…我々は誰1人欠ける事なく…あなたの指揮に従うッ!

 

 

 

 

「私達も忘れないでネー」

 

「そーだよ!私達も一員よー?」

 

金剛や蒼オークランド達も構える。

 

 

 

 

「よし……今をもって…セイレーン作戦の次弾作戦を開始するッ!!!!」

 

「西波島艦隊…全員抜錨ォ!!!」

 

 

 

 

 

 

わらわらと出てくるスペア。

相手もなりふり構ってられないようだ。

 

 

「道を切り開くわッ!!進みなさい!!」

蒼エリザベスやオークランドがそれらを相手取る。

 

 

「…行くぞ」

 

 

 

 

 

『ビスマルクッ!ビスマルクゥゥゥウウアアア!!』

彼女は桜ビスマルクへと向かって行く。

 

「させるものか」

作戦エンタープライズが矢を放つ。

 

「はい!ダメですよ」

桜フッドが同じく邪魔をする、

 

 

『守れ!マモレ!守れ!!!』

本体へと近付くごとに強くなる守り…。

 

 

 

 

 

「勝負だッ」

 

「お前の守りと私達の絆…どちらが上か勝負だぁッ」

 

 

セイレーン艦隊も上位個体も下位個体も出している。

 

なのに止まらないッ!

 

 

奴らの歩みを止められないッ!!

 

出しても出しても奴等は…あの女とあの男(桜ビスマルクと指揮官)を前へと歩ませようと動いてくるッ!!

 

 

 

 

「止まれぇ!神崎ィィ!!」

「意味が分かっているのか!?貴様は全てを…敵に回すと言うのか!?」

 

 

「誰だか知らねえが…知るかぁぁ!!」

「これが俺達の行く道じゃぁぁあ!!」

 

 

 

 

「行くぞぉお!!桜ビスマルクぅ!!!」

 

「ええ!行くわよ…指揮官ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

『クソッ!止まれ…止まれええええ!!』

 

 

 

 

 

 

「ダメね…ダメよ?」

桜ビスマルク達の行手を阻むセイレーンを阻むのは…

 

「…桜オイゲン、桜ティルピッツ…!」

 

「ふふっ…いいところは譲ってあげる」

 

「姉さん…行って!指揮官……頼んだわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桜ビスマルク…行けそうか?」

駆ける桜ビスマルクに救は問いかける。

「ええ…でも少し不安…かも」

ほんの少し厳しい顔をする彼女。

 

 

「なら…コレを」

彼が差し出したのは銀色の指輪だった。

 

「…今?」

 

 

「おう、いま、君を後押しする最強の指輪」

 

 

「受け取るわ…あなたの気持ちと一緒に」

と言って右手を差し出す彼女に彼は言う。

 

「左手」と。

 

「……はい」

 

彼女は駆けながら左手を彼に差し出す。

彼はその左手の薬指にその証を入れる。

 

「いつまでも…君と共に」

 

 

 

 

 

 

 

グン!と速力が上がる。

この気持ち…流れ込んでくる彼の優しさ。

 

 

泣くのは後…終わらせてから!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『来るな!来るなぁあ!!』

 

 

 

 

絶望が…

目の前に立っていた…




てな訳で400話…
早え…
まさかここまで来るとは思ってなくて…
皆様のおかげです!ありがとうございます!


といっても続きます!


少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!

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