提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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404話 炭酸と紅茶と緑茶 重桜編

 

「………美味しいじゃない」

「紅茶もスコーンも美味しいじゃない!!最高の酒とツマミよ!」

 

オイゲンは酔っ払ったまま叫んだいた。

と言うか、ビスマルクも居た、いつの間にか。

 

酔っ払ってな!!

 

「何よこれ……本当に美味しいじゃない…」

 

 

 

 

 

「………ツッコまないからな」

 

「ぐっ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

喚き散らす2人をニコニコと見守るフリードリヒ。

 

「止めないのか?」

 

「あそこまで行ったら手がつけられないのよね…」

 

 

 

 

「ぐっ……グスッ」

 

「こんなに美味しいと…」

 

 

 

 

「「ううううう」」

 

 

 

 

 

 

2人がなんと泣き始めたのだ。

 

「指揮官が盗られるぅう」

ビスマルクが泣き喚く。

 

……盗られるって何に?

 

 

 

「このままじゃ指揮官がロイヤルっちゃうううう」

オイゲンも泣き喚く。

 

……え?ロイヤルって何て意味だっけ?

 

 

「え?ちょ…え?……え?か、閣下!?」

ベルファストがマジで焦っている。

 

 

「ちょっ…こっちに助けを求めないでよ!ええええ」

 

 

 

鉄血のトップとその右腕がガチ泣きする様子は敵陣営に的確に内側へとダメージを与えた。

 

 

 

 

 

ちなみに2人とも次の日に二日酔いと気まずさで部屋から出てこなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うのが2つの陣営らしいぞ」

と、加賀が赤城にパワポで報告していた。

 

「……楽しそ……いえ、難敵ね」

 

「そうだろうか?潰し合いをしているように思えるが…」

 

「私達の陣営にも起こりうることよ?」

 

「まあ……うん……そうですね」

 

 

 

「まずは店の名前からね…。コンセプトが被らないようにしなくちゃね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤城はそれに並々ならぬ思いを馳せて居た。

 

 

 

 

指揮官が私が戻った時に涙を見せたから。

好きなんて気持ちはとうの…とうの昔から持っていた。

 

 

–––誰にも優しい指揮官–––

そんなことはわかっていた。

 

––きっと1番好かれてるのはあの娘––

そんな事もわかっている。

 

 

 

でも、だからと言ってこの想いは止められない。

あの日…生きてて良かったと私に泣きついた姿を…

私が死んだと思った時に落ち込んで泣いていたあの姿を…

 

そうまで私を想ってくれるあなたの姿を知ってしまえば、この想いは更に燃え上がってしまったのだから。

 

 

 

 

此の身も心も全ては指揮官様のもの…

全てを捧げると誓ったのだから

 

だから負けられない。

例え相手が誰だろうと…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「指揮官様来店です!」

想いにふける時間は唐突に終わりを告げた。

現実という名の指揮官が来店した。

 

 

 

和服姿のKAN-SEN達がペコリとお出迎えする。

 

 

 

 

 

 

 

「指揮官様?来ていただいてありがとうございます」

玄関をくぐった先で赤城と天城達がお出迎えする。

 

「うん、すごく楽しみなんだ」

 

和食処…桜

 

日本家屋…純和風テイストなその佇まいは静かさの中に荘厳なものを感じる。

だが、あくまでそれは初めて見る者が得る印象だ。

 

実家のような安心感をコンセプトに作られたそれは…指揮官をあの時に返らせるような…

 

 

「オススメは…重桜和定食です」

 

「なら、それを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新鮮お魚の刺身、駆逐艦農園のお味噌汁、ふっくら炊き立てごはん、軽巡農園のお肉を使った肉じゃが…

どれも指揮官の好み知り尽くした彼女だからこそ出せる献立だ。

 

 

 

「んん〜ッ!美味しい!!」

救はご満悦である。

 

 

天城や信濃が琴やらを奏でる部屋にはほっこりとした空気が漂っていた。

 

 

「指揮官様…どうぞ、お茶です」

 

「ありがとう…んー!おいしい!」

 

「良かった…」

 

ニコリと微笑みかけてくれる笑顔に嬉しくなる。

「指揮官様の笑顔の為に赤城…頑張りました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

素敵な時間が流れる…

今までは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ…指揮官様が楽しそうで何よ…ガフッ…

突然吐血する天城。

 

「大丈夫ですか!?お姉様!?」

駆け寄る2人……の中の指揮官の手を取る天城。

 

「大丈夫ですよ…ふふっ…指揮官様の手…あったかい…」

その手を握り締めて離さない天城。

 

「ん?強くない?力」

「てか…本当に血?」

 

「先ほど飲んだトマトジュースですが?」

 

 

 

赤城は察した。

あ…これダメな流れだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「修行するぞおお〜あたごおおお」

 

高雄に抱えられた愛宕を筆頭に乱入する酔っ払い共…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し前の事だ…

 

 

重桜の和食処…桜家

 

 

––––––の前は厳戒態勢が敷かれていた。

もちろん、それは指揮官には見えないところで

酔っ払い(イレギュラー)の乱入があった為に指揮官がゆっくりと食事ができないなんて言語道断だからだ。

 

 

そのただ一つの門を護るは高雄。

厳粛かつ、武士道精神気高い彼女に任せられた大任である。

 

 

 

「……来たな…」

先日の鉄血達の騒ぎは聞いている。旧知の仲とは言え、陣営の威信を賭けた戦いである以上…本気で挑まなくてはならない…と、高雄は刀に手をかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「酒はあるぅぅ?」

但し、相手が酒乱モンスターでなければ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジか」

高雄は少し後悔した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戻って今現在。

 

オイゲンやビスマルク…エリザベスやエンタープライズまでもが酔っ払いと化していた…。

 

 

 

外は雨が降っている。

 

 

わーきゃー騒ぎになる店内。

思い描いた理想には程遠すぎる現実。

 

涙混じりの溜息が出るが………というか殺意すら湧いてきた。

何お前達一緒に酔ってんの?

てか…高雄…やられたわね…とか。

 

 

「上手くいかないわね…」

 

 

 

「本当に…上手くいかないわね…」

 

 

「いいじゃないか。それに」

 

 

 

「君の気持ちは凄く伝わったよ。ありがとう」

「君達とこう過ごせて幸せだよ」

 

ありがとう

その言葉にハッとした。

 

 

 

 

私は自分の事しか考えてなかったじゃないか。

 

皆もそれぞれ指揮官には思いを寄せている。

その中で私に…私の行動に手助けしてくれているんじゃないか。

 

私はそれを分かっていながら……

 

皆のその優しさを利用していた。

指揮官様の優しさを知っているから…

皆の優しさを知っているから…

 

 

 

バッと姿勢を正す。

三つ指をついて溢れる思いを隠すように頭を下げた。

「私は指揮官様に尽くすと言いながら…自分の事しか考えていませんでした…」

 

「こちらこそありがとうございます…幸せと言って頂いてありがとうございます」

 

「私は…私は……」

 

畳に落ちるパタパタという音が耳障りなほどによく聞こえた。

サァッという雨の音すらも同じように…

 

 

 

 

永遠のような時間が過ぎたように感じた。

皆黙っている。

わかっている、私の自分勝手だって。

でも…でも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭に手が置かれた。

優しい、温かな手。

 

その手は慈しむように私の頭を撫でてゆく。

くしゃくしゃになった顔で見上げる…

滲んでぼやけて見てない。

 

彼の指が私の涙を晴らした。

ニコリと笑うあなたが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

抑えきれなかった。

 

 

「ごめんなさいッ!ごめんなさい」

思わず飛びついてしまった。

 

あなたを騙した事、悲しませた事…

何もかも。

 

あなたが流してくれた涙、こぼしてくれた本音…

全部に。

 

 

 

ぎゅっと抱き寄せられたのも分かった。

その涙を隠してくれているのも…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局皆でワイワイ騒ぎになった。

 

鉄血も重桜もロイヤルも……ユニオンも皆が楽しそうにそれぞれの得意を持ち寄った。

 

 

「まさか…赤城さんの涙が見られるなんてねえ?」

 

「あらあ?ビスマルクの『指揮官が盗られちゃうぅ』もレアモノよお?」

 

「エリザベスの酔っ払い姿もねえ?」

 

 

 

 

「エンタープライズは………」

 

 

 

 

 

 

「高雄殿お〜…その鍛錬…良いと思うよお」

 

「おお〜エンたーぷらいず殿…分かってもらえるかあ」

 

 

「鍛錬討論に花を咲かせてるな……………話しかける相手が柱でなければだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?どの店が1番良かったの?」

と、エリザベスが爆弾を投下した。

 

 

「……」

全員の視線が集まる。

 

「どの店も良かった」

 

「いや!違うくて!」

 

「だってそれぞれの店の出し物のコンセプトが違うじゃん」

 

 

「「「あ」」」

 

そう、重桜では定食、ロイヤルではアフタヌーンティー、鉄血では軽食とお酒…。

ものの見事にバラバラだったのだ。

 

 

「…1日の食事風景ですね」

TBちゃんが的確にツッコミを入れた。

 

 

「なら次はランチバトルね」

 

「望むところです」

 

「……余裕よ」

 

 

新たな戦いの火蓋は切って落とされそうだが、それはまた別の話…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあて…そろそろこっちを見てもらわないと困りますね?皆さん?」

 

「ダーリンの正妻は私なんだから!!」

 

「いえ?改ニ実装されたこの大和ですが?」

 

「あん?」

 

「お?」

 

彼女達もアップを始めました…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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