提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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408話 母港での日常

 

「………」

 

 

「………」

 

 

 

「はい…」

 

 

 

スマホ?というものは便利ですね。

別の世界の人にでも連絡を取れるのですね。

提督がスマホを手にぺこぺこ頭を下げています。

相手は…麗ちゃんでしょうか?

 

 

恐らく連絡してなかった事を怒られてるのですね。

フフフ…あの子もあの人が大好きですからね…。

 

私も…すまほとやらを持てばいつでもやりとりができるのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

「……よし」

 

「お電話終わりましたか?ずっと頭を下げてましたね。麗ちゃんも寂しかったんですね」

 

「ん?ほ、鳳翔!?」

ギクッ!と言う音が聞こえそうな程のリアクションを見せてくれるあなた。

 

「あれだけの動きをしてたら目立ちますよ?」

 

「うう…恥ずかしいな」

 

「そんなことありませんよ?……で?麗ちゃんは許してくれましたか?」

 

 

 

「あ〜…いや…えとだな」

私の問いに歯切れの悪い返事をするあなた。

 

「?」

小首を傾げる私に…「シミュレーション…」と呟いたあなた。

 

「…はい?」

 

「麗ちゃんに電話した時のシミュレーション……絶対怒られるから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆笑しました。

腹を抱えて笑いました。

初めてでした、笑い死ぬ!と本気で思ったのは…!!

といいますか…割とそんなこと気にしてるタイプなんですね?

あぁ…でも何日も連絡くれなかったら少し怒っちゃうかも…。

はい、あなたが少しだけ悪いですね。

 

『指揮官様?繋ぎますか?』

いつもより1トーン高めの楽しそうな声で聞いてくるのはTBちゃん。

 

「あぁ…うん、いや、まだ…ええと」

恐らく…というより、確実に怒られるのがわかってるのだろうか?

中々GOサインを出さないあなた。

 

「いいですよ、TBちゃん。かけてください」

 

「ふぁっ!?ほ、鳳翔!?」

 

「怒られるなら少しでも早い方がいいですよ?早く安心させてあげましょう?」

「1人で怒られるのが嫌なら私も一緒に怒られますから」

 

 

 

「え!?いいのぉ?」

縋る子犬のような目で私をみるあなたを始めてみました。

そんなに麗ちゃんは怖いのかしら…?

 

「はい、それがである私の役目ですから」

 

「……火にガソリンをぶち撒ける発言だよぉ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしもし?」

彼が話しかける。

 

 

暫くの間無言が続いているのか何も聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

「……救君?」

か細い声が向こうから聞こえた。

 

 

 

「うん」

 

「……」

 

無言が続く。

彼はえと…あの…と慌てている。

でも私には分かった。

 

 

 

彼女は泣いているのだ。

厳密に言うと泣くのを必死に我慢しているのだ。

 

不安で仕方なかったでしょう。

来たくて仕方なかったでしょう。

顔が見たくて、声が聞きたくて仕方なかったでしょう。

 

彼に背中を任された事を…必ず帰ってくる事を支えとして日々を戦っていただろう彼女。

 

 

 

 

 

 

 

「よがっだ…」

 

その言葉で彼もやっと理解したらしい。

 

 

 

 

「ごめんッ!麗……麗ちゃん!!」

彼は頭を下げる。

例え彼女に見えてなくともしっかりと…。

 

 

「うわぁぁぁん!!」

電話の向こうから大号泣が聞こえた。

 

 

「ずっと繋がらなくて…不安で…不安で…」

「でも…信じて待つって決めてたから…グスっ…」

 

「でも…あんなもの見せられたら……」

 

 

 

「あんなもの?」

 

 

「…救君達が倒れてるとこだよ」

「桜赤城さんも死んだのも見たの…」

 

 

「…ッ!?」

「な、何でそれを!?」

俺も含めて皆が息を呑んだ。

 

 

 

 

 

 

知ってるはずがない事のはずなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

「もう1人のピュリちゃんが来たの」

 

「は?」

 

「もう1人のピュリファイヤーちゃん」

「あなたは…救君はあそこで死ぬって…!私…何もできなくて…」

 

「アイツの居た所を壊すんだって…攻めて来たの」

 

 

「…ッ!麗ちゃんは無事なのか!?猛武の皆は!?」

 

「自分の帰る所は心配じゃないの?」

 

「そんなものいい!皆が居てくれればそれでいい!」

 

 

「だめだよ」

「私にとっても…沢山の思い出の場所だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたの帰る場所は…ちゃんと守ったよ」

「これからもあなたが帰るまで守り続けるから」

 

「だから」

 

 

「だから安心して戦って」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちの知らないところで麗ちゃんは戦っていた。

大好きな人の帰る場所を守る為に…

不安を振り払って、己を燃やして。

 

生きててよかった

声が聞けてよかった

 

 

 

 

「元気出た」

「大好きだよ、救君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも連絡くれないのは寂しいんだよ!?」

「僕も一緒に戦って待ってるんだよ!?」

 

切ない感じの空気は一変した。

幸の登場である。

 

 

「僕に内緒って酷くない!?遊びに来たら恋敵がまも君の部屋で寝てるしさあ!!」

 

「「え?」」

一瞬で空気が凍りつく。

 

「俺の…」 「提督の…」

「「部屋??」」

 

 

 

「ちょっ…幸ちゃん!!それは言っちゃ…」

 

「何でよ!びっくりだよぉ!?まも君のベッドで幸せそうに寝てるんだよ!?僕泣きそうになったよ!!」

 

「そ、それは幸ちゃんが飛び込んで来たからでしょ!!」

「と言うか救君だと思って部屋に入って来てベッドに入ってきたんじゃない!!」

 

「うっ…そうだけど…でも勝手にベッド使ってたのは麗ちゃんでしょ!?まさかそんなことになってるとは思わないでしょう!?」

 

通信の向こうでは2人がワーキャーと言い争いをしている。

私からしても…旦那様のベッドで寝てるなんて…なんて羨まし…ゲフンゲフン。

 

えと……旦那様は……

あー…、固まってますね。

放心状態ですね。

 

 

 

 

 

「……2人とも…?」

 

 

 

「「……はい」」

 

 

 

 

 

 

「帰ったらお話があります…」

 

 

 

「ヒッ…」

「あ……しんかいせいかんがせめてきたよ!ゆきちゃん」

 

「うん!そうだね!まもくんのたいせつなおうちをまもらなきゃ!だね」

 

「「よぉし!がんばるぞお!!」」

「「というわけでいってくるね!!」」

 

 

「おい」

 

ブツリ…。

 

 

 

 

 

 

「切りやがった…」

その言葉と共にハッとする救。

「…TBちゃん?」

 

「はい?」

 

「俺の部屋…ってさ…?」

 

「はい、皆さん指揮官様の居ない間に………」

デバイスを見る俺から視線を逸らすTBちゃん。

 

 

「………なんなん?」

 

「…程々にしないと…ですよね!」

 

「え?」

 

「あっ…いえ……ゆ、許せませんね!!」

つい本音が…。

 

「……鳳翔?……暫くお部屋出禁ね」

 

「ひゅ!?!?」

「な、ななななななぜ!?」

  

 

 

「暫くは…みーんな出禁にしよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の晩…。

 

「〜♪今日も指揮官様のお隣で寝ますわぁ♡」

と、鼻歌混じりに廊下を歩くのは桜大鳳。

救の部屋の前に立ち胸元から手作りの合鍵(非公式)を取り出す。

 

 

「あら?鍵が合わな………」

桜大鳳の持つ鍵が合わないらしい。

その理由を彼女は2秒で理解する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「指揮官様ぁぁ!?どうしてこんな…鍵が……20個も…!?」

 

 

「…暫く皆さん出禁です」

 

「ふぁっ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで安心だ…」と、一息つく救の部屋のドアがノックされる。

 

 

「……あなた?せっかく作ったお夜食冷めますよ?」

ドアの前にはお夜食を持った間宮が居た。

 

「やべえ!そうだったぁぁあ!!うおおお!!」

総勢25個の鍵を一生懸命に開けて行く救の姿があったとか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…で、出来ました25個分の合鍵…」

3日かけて桜大鳳は合鍵を完成させたが、翌日には鍵を変えられたうえに数が増えていたのを見て膝から崩れ落ちたとか…

 

 

 

 

 

 

 

 




少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!

更新ペースが落ちますが、ご容赦下さい…
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