提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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411話 どこに行っても変わらない ①

 

救達がアズールレーンの世界へと行きはや数週間以上が経った。

 

母港の機能も飯屋以外にも拡張されつつあった。

艦娘達や戦姫達も割と…というか普通に慣れ始め、三者でうまくやっているようだ。

 

救の仕事もこの世界においては普通の指揮官になるので艦これ世界程の忙殺される仕事量ではない。

…とは言え、多いのは間違いないのだが…。

まぁ比較的時間が取れやすので皆との交流も盛んである、

 

 

 

さて、ここは母港の中の庭…というよりかなり広い広場。

今日は割と涼しめで過ごしやすい天気だ。

 

レジャーシートやらパラソルやらを立ててのんびりしてる者も珍しくない。

 

 

 

 

 

そんな平和な広場の一角にて……

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、あなた?ごはん…できてます」

 

「おう…」

 

スッと出されたのは泥団子。

俺達は加賀、まるゆ、イクに長鯨とおままごとをしていた。

葉っぱをお皿に見立てて出された綺麗な泥団子。

 

 

「あら?召し上がらないのですか?」

 

「お、おう!?食べるぞ!?食べるぞぉ!?」

 

食べるとは言ってもおままごとである…ので救はそれをパクリと食べるフリをする…

 

「うん、美味しいぞ」

 

 

「ぱぱぁ〜。私にも食べさせてぇ?」

娘が引っ付いてくる。

可愛いなと頭をなでながらスッと泥団子を娘に食べさせるふりをしてから置く。

 

その光景をニコニコと見ていた母…彼女はにこりと笑って…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?あなた?食べてませんよ?」と言う。

 

 

 

 

 

「「は?」」

 

 

「いえ、は?じゃなくて…ね?食べてませんよね?ひと口も」

 

「いや…あのね?k「ひと口も食べずに私が丹精込めて作ったお団子(泥)の味がわかるのですか?」

 

「いや…」

 

「あ、娘ちゃんも食べたいって言ってましたね」

 

ちゃんとあなたの分もありますからね…と後ろから取り出した追加の泥団子。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ…加賀ちゃんあーんしてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ。

嫁役はまるゆである。

旦那は俺、娘は加賀(次女3歳)であり、レジャーシートの端の方でガタガタ震えているイク(長女)が居る。

 

「え、あ…お、お母さん?わ、私やっぱりお腹いっぱい…」

3歳の設定を忘れるくらいの流暢な喋りを見せる加賀。

元は赤ちゃんの設定だったが、「無理」との事で3歳になった。

 

 

「あらあら加賀ちゃん?ママでしょ?好き嫌いはだめでちゅよ?」

迫る泥団子…と鬼神の如きまるゆ。

追い込まれる加賀。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私!私、赤ちゃん!!ミルクで良いいいいい!!」

加賀(赤ちゃん)は叫んだ。

むっ…というまるゆの声、加賀は確信する。

プライドを捨てて赤ちゃん設定に帰る事で団子を拒否できる…と!

 

 

(捨てやがった…!加賀がプライドを捨てたッ)

まあ…嫌だろなあ…

仕方ないかあ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい」

ドン!と出されたのはミルク(泥水)

 

「なっ…」

歴戦の一航戦は戦慄した。

 

このまるゆ…用意周到だった!!

 

 

 

「「嘘やん…」」

思わず声が重なる救と加賀。

 

 

 

 

 

加賀ダウン。

一航戦も震え上がる母性だった。

 

まあ元々が赤ちゃん設定だからね…

用意してるよね……

 

轟沈(意味深)した加賀を横目に目の前のボスと対峙する俺。

ガラガラと団子を持ったその艦娘に勝てるヴィジョンがまるで浮かばない。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

ピンポーンとなるチャイム(長鯨の声)

すかさずイクが「きっとお友達の長鯨ちゃんね!で、でてくるのね!」と席を立ちガチャリ(イクの声)とドアを開ける。

 

 

 

 

 

 

え?嘘?って聞こえた気がした…。

 

 

 

 

 

 

 

「ぱ…パパ、ママ…」

 

「あのね…長鯨ちゃんがね」

あからさまに目が泳ぐイク。

ちょうどイクの後ろに長鯨は居るので彼女の表情等は見られないのだが…

 

 

「うん?どうしたの?座ってもらいなさい?」

「ちょうど良かったわ、長鯨ちゃんもご飯食べる?」

 

まるゆは特に気にする様子もなく、役に徹している。

 

 

「…救さん」

 

姿の見えない長鯨から俺の名前が出た。

 

 

 

そんな設定あったか?と、一瞬考えたが…確か娘の友達が来るとか言う設定だった…まあそんなものか?思い出しながら振り返ると…ちょうどイクが横に避けたのか長鯨の姿が見えた。

長鯨はまるゆの方を見て…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……この泥棒猫」

「私の愛する人を返してよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

包丁(段ボール)を持った長鯨がハイライトをオフにして立っていた。

 

 

 

「おうふ……」

目の前がクラッとすると同時に寒気がする。

アレか?娘の友達と××な関係になった!的なやつか?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ!救さん!私の事…愛してるって…!その女と別れてくれるって言ったじゃない!!」

 

「んなっ!」

 

 

まるゆはクルリと首をこちらに向けて「…誰ですか?あなたのお知り合い?」と言うので…

 

 

「えぇ……初耳だょぉ…」と答えてみたら

 

「酷い!!このお腹の子も…一緒に育てようねって言ったじゃない!……うっ」

口元を押さえてよろける長鯨。

 

「子供まで作ったの…?」

またもや、まるゆが首だけをギギギギっとこちらに向ける。

どうやらこちらもハイライトをオフにしたようだ。

 

 

「パパ…酷い…」

ここぞとばかりに乗るイク。

 

「いや、イク!違うんだ!これはきっと…」

 

 

「パパ!酷い!!」

 

 

 

 

 

 

「救さん………うっ」

またも口元を押さえる長鯨。つわりか?

 

 

「あなた!?他の子に…!?3人目もできたばかりなのよ!?」

 

「初耳ですが?」

 

「タイミングを見計らってたの!」

 

神崎家、3人目を懐妊という喜ばしい出来事が起こる……家庭崩壊の危機も起こってるけど。

 

 

てか、くっそリアルな演技やめてくんない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?加賀?

 

 

 

聞かない方がいい…。

 

え?知りたい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おしゃぶり咥えて泣きながらゆりかごに入ってるよ。

 

「提督…私は今空気なのでこちらを巻き込まないで下さいね」

 

「いや…う、うん、そうするよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?てか、俺どんな設定?ヤベーヤツじゃね?娘にも手出して…」

 

「働かずにギャンブルと女遊び三昧」

 

「圧倒的にクズじゃねーか…」

 

「私の友達も毒牙にかかったのね」

 

「救いようもないな」

 

 

 

 

 

「ねえ!!別れてよ!こんな女ッ!泥団子を無理矢理食わせるような女より私の方がいいですよね!!!?」

 

「ん?設定はどこに行った?」

 

「はぁぁあ!?こちとら初登場は赤ちゃんですよ!?やっとまともな出番なんですけどぉ!?」

 

「まともでは…ないわな」

 

「赤ちゃんよりマシですぅぅ!!!」

 

「やめようねぇ…加賀がさらに泣いちゃうからねぇ…あ、ほら、こっちに背を向けて震えてるヨォ…泣いてるよお」

 

 

「今は一航戦(笑)はどうでもいいの!!」

「イクちゃん!どっちの味方なの!?」

 

「イク!?ママの味方よね!?」

 

2人はイクを見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パパ…私が一番だって言ってくれたのね…!…うっ」

イクも口を手で押さえる。

 

「「「は?」」」

 

イクはにこりとして言う。

「パパ?出来ちゃったみたい…」

 

 

 

 

「「「なにぃぃぃぃいいいいい!?!?」」」

 

ここに来てまさかの爆弾発言…by娘

 

「え?俺の子?!」

 

「え?そうだよ?イクとパパ…この前愛しあったでしょ?」

 

「えええ!?」

「え……ええええ…って!まるゆ!その(段ボール)包丁をしまいなさい!それは危ないし教育上よろしくない!って!!おおい!!長鯨!?さっきまで段ボールだったよね!?何で本物に変わってるのかな!?てかそれ包丁じゃないよね!?斬魄刀じゃね?やめよ?色々アウトだから」

 

 

「滲み出す混濁の紋「ダメだからぁぁあ!!」

破道はダメだから、それ強いやつだから。

 

 

 

 

「なに?2人とも…私の邪魔をするの?」

イクが鎌を構えている。

 

「どっからそんなの持ってきたの?」

俺の冷静なツッコミにイクは…「命を刈り取r……」とか言ってたが俺は聞こえないフリをした。

 

 

 

「…あまり強い言葉を使いすぎるな…弱く見えr……「まるゆ?やめておこうね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はん!生き残ったのが神崎の嫁だァァ!!」

 

「臨むところだぜぇぇえ」

 

「ブッコロせぇええええええええ!!」

 

 

 

 

 

いつの間にか黒い和装に着替えた3人が激突するのを見た俺は…

そっと加賀をお姫様抱っこしてその場を去った。

ここに神崎家は崩壊を宣言して…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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