提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
リアル昼ドラおままごとから解放され…逃げ出した救と加賀。
執務室の窓から様子を見てみると…
「……もうアイツら艤装無しでも世界征服できるんじゃね?」
と、彼はつぶやいた。
詳細はアレだけれども…
ハドーケン!とかタツマキッ!とか
ショータイムダ!!とか色々聞こえていた。
「ご主人様…」
「うん?」
目の前に並ぶメイド隊は全員であり、不満気な表情を浮かべていた……と言うより桜シリアスとかは泣いてた。ガチ泣きしてた。
「あの丸いのは何でしょうか?」
桜ベルファストが見る方向には…
ゴン…ゴン…
丸いものが未だにおしゃぶりを咥えて泣く加賀に体当たりを繰り返していた。
「え?お掃除君の事?」
「お掃除君……ですか……はい、あの丸いお掃除ロボットに仕事を取られた…と報告が多数上がってます」
「と言いますか…加賀様はずっとアレなのですか?」
そう、心にある意味深い傷を負う事件があった。
加賀は色んな意味で幼児退行してしまった…かつての一航戦の誇りは消え失せて、今となってはルンバに体当たりを喰らいながら泣く大きな赤ん坊と化していた。
「…泥ミルク………えへへ…」 ゴン…ゴン
「加賀…辛かったな…。今はゆっくり休もう…」
「ぱぁぱ…」
頭を撫でる救に大きな赤ん坊は満面の笑みで答える…が、時折りあの事件を思い出しては泣くのだ。そしてルンバにやられるのだ。
「…………何か色々と違う気もしますが、私達の掃除の仕事が取られてるのです!」
「そ、そうです!誇らしきご主人様!私の仕事が丸っこいロボットに奪われてるのです!!」
「桜シリアスは仕事増やしてるだろぅ!?お仕置きして欲しい為に」
桜シリアスが焦ったように言う姿をジト目で見る桜ベルファスト。
「なっ……あっ!め、メイド長!?ワザとじゃありません!決して!決してお仕置きと称して誇らしきご主人様を独占したい等と考えていたりは………」
「……卑しか女ばい………」
ボソリと桜ベルファストは言った。
お掃除君にゴンゴンされるのが2人になりました。
「全く…言語道断です。我々の目的はご主人様の全面サポートであって、私利私欲の為に行っているものではないのです」
「はい……桜シリアスは…不出来なメイドです」
「お掃除君にゴンゴンされるくらいがちょうどいいですね……加賀様」
「む!」
「隅っこ同盟が出来上がってるんですけど…」
「お掃除君は彼女達を掃除対象認識してるようですが…」
「ジメジメしてるからじゃない?」
「ご主人様…アレは……」
プルプルと指を刺す先にあるのは…
「あぁ…お話ロボット君ね」
速い話が○ッパー君とか○レクサ的な奴。
「お話をするなら私達が居るじゃないですかぁ!!」
「何が不満なんですか!?」
グイッと寄ってくる
「提督ぅぅー!お掃除君とお話ロボット君…2つの機能がひとつになった超画期的な発明が出来ましたぁ!!」
「おおー!明石〜!」
「………で?その資材はどこから出たのかな?」
「ふっふっふー…こまけぇこたぁイインデスヨ」
「見てくださいよコレ!!」
「メイドロボットサンです!!」
「んなっ…!?」
普段はクール(笑)な桜ベルファストが大きく口を開けていた。
「提督の健康管理から食事の配膳、話し相手から動画鑑賞まで何でもこなします!勿論……そっちの趣味にも…うへへ」
「見てくださいよ…こんなところまでリアルに作り込んだのですよお」
「うわっ…すげっ……」
「でも…明石??給料から引いとくな」
メイドロボットは完璧だった。
起床から睡眠までのあらゆる管理をこなした。
メイド隊がこなす内容を同様に行うだけだが、無駄がない。
コンピュータを入れてるからね…天気もすぐ分かるし、ネット通販も即座に行える。
飯も必要ないので適当な時に自分で充電器に行けるし、ソーラーパネルすら付いてる。てか明石なら原子力すらいけるんでね?
なにより
「さて、そろそろ休憩…「ダメです」
「いや…もうティータイm「まだ進捗状況が68%です。定時までに終わる見込みがありません」
鉄の心の厳しさでサボらせなかった。
次第に母港の業務効率は上がって行った。
いい事ではあるが納得いかないのがメイド隊。
お株を奪われてしまった彼女達は悲しみに暮れている。
「誇らしきご主人様は…あのロボットの方がいいのでしょうか」
無論、彼女達も対抗意識を燃やしていた………が
コップを落としてしまった桜シリアスのフォローをしようとした桜ベルファストがお皿を落として割ってしまう事があった。
蒼カールスルーエ達がフォローに入る前にロボットに先を越されてしまったのだ。
「うぐっ…ううううっ!!」
あの桜ベルファストが泣いていたのだ。
しかし彼女達には怒る事ができない。
というのも…この母港…とにかく資金難に等しい状況だった。
上層部からは睨まれ、最低限の資金や物資しか入ってこない状態であり、桜明石や明石、蒼朝日達の尽力で何とかやりくりしているのだ。
無論、支給物資の横流しは御法度になるので遠征等で入手した資材の加工や卸売を行っている。
街への人材の派遣も検討されたが有事の時への対応や……女の子と言うこともあり救が許可を出さない。
故に工廠部は作った。
ロボットを。
実験的に機能を認められれば街への卸しが可能になるからである。
だから耐えるしか…ないはずなのだが…
「……いいので…か」
「うん?」
ある日の事だった。
メイド達は彼の前にズラッと並んで言った。
「ご主人様はそんな可愛くて失敗しない気遣いのできるロボットが良いのですか!?」
「褒めてる…のね?」
業務に差し障りが…と言うロボットを「やかましい!」の一言で黙らせてから彼女達は言った。
「そりゃ完璧だろう」
それに対して彼は言った。
「だってベースはお前達なんだから」
「「……ッ!!」」
そうだ
このメイドロボットのベースは桜ベルファスト達である。
主人への気配り、最適解の算出…
それは彼女達をよく観察している明石達だからこそ再現できた「世話に特化」したロボットである。
だから速く、正確で完璧なのだ。
「でもこのロボットには足らないものがある」
彼は言う。
「な、何ですか?」
桜ベルファスト達は涙ぐみながら尋ねる。
「ここに二つのおにぎりがある」
「一つは暁が握ったおにぎりで、もう一つはロボットが握ったおにぎりだ」
「……」
食べなくても分かる。
何故なら、見た目が違う。
完璧なまでの綺麗な三角おにぎりと…歪な三角おにぎり。
料理は…いや、料理に限らず見た目程に物を言う。
掃除も何もかも完成された物だからこそできる領域なのだろう。
これで劣るものがあるのだろうか?と思う。
私達は完璧を目指すメイドである。
その私達をベースとしたのなら……
ひと口食べて彼女達は知る…
いや、思い出す。
私達が絶対に負けないものを。
明石達はそれが何かを分かっているようで、えへへ…と笑っていた。
「……分かるか?桜シリアス」
「誇らしきご主人様への……愛でしょうか」
「そうですね」
「ロボットはあくまでロボットです」
思い浮かんだのだ。
暁が一生懸命に慣れない手で「提督の為に!」と握る光景が。
淡々と無機質ではない、その人の事を想う姿が…。
「家事ロボとしては優秀なんだろうけど…やっぱりお前達には敵わないだろうよ」
「ご主人様……」
桜ベルファスト達は涙を浮かべて…
「まあ…メイドが嫉妬するほど仕事ができるなら…量産体制も考えるか」
「でも、ロボットとは言え…浮気は浮気ですよね」
「!?!?」
「え…ええ!?い、今いい感じにまとまりそうな雰囲気だったよね!?」
「…危うく騙されるところでしたね」
「そのロボット…ムフフ機能がついてますよね」
「え、あ、うん」
「試しましたか?」
「え、いや…まだ」
「あれ?おかしいですね…『気持ち良かった』と仰ってましたよね?」
「あれはマッサージ機能で…」
「ま、マッサージならこの桜シリアスにもできますよ!ううっ…グスッ…誇らしきご主人様にならいつでも……襲われてもいいのに…」
「あ、明石………って!!居ねえ!!!」
「まだ…と言うことは試す予定もあったと言う事ですね?」
「いや!これは言葉のあや的な……ね?ね?」
「ご主人様?私達の方が優れている事を教えて差し上げます」
「は?」
泣き腫らしたメイド隊がハイライトをオフにしてにじり寄る。
「ご主人様?私の泣き顔見ましたよね?」
「…この胸に空いた穴…埋めてもらいますからね」
彼は思った。
やっぱり生きた奴の方が恐ろしい……と。
その後…
「…もう3時か…でもキリのいいところm「ご主人様♡?ティータイム♡しましょう」
「いや…これがもう少しで終わるかr「ね?根を詰めすぎてもダメですからね?ね?」
甘やかすメイド?
いえいえ、彼女達の目はマジです。圧力です。
見てくださいよ、由良がメイドになりましたけど…ほら
「ね?きゅーけいしましょ?ね?ね?」
俺の肩を持つ手がメキメキ言ってるでしょ?
ロボットに対抗して甘やかすのよ。
「は、はい」
「はい、今日のクッキーは由良と霞ちゃんで焼きました」
「はぁい、ご主人様…あなた?あーん」
霞がクッキーを差し出してくる。
「あ、あーん」
クッキーを食べさせてもらう俺……の肩を持つ手の力が少し強まった、もはや痛みも感じない。
「ゆ、由良?お前にもあーんされたいなあ?」
「由良の提督さん…私から食べさせてほしいんてますね?ううん!ご主人様♡はい、あーん!」
と、やりとりしてみたら霞が半泣きでこちらを見る。
まったくさいこうだぜ……
おや?他のメイド隊も……うわ!おいやめ………
あ、お気に入りが800
ありがとうございます(´;ω;`)ありがとうございます
こんなご時世ですが少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです。