提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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416話 提督と釣り ④

 

「ゴーヤだけじゃないでち」

 

「助けて……欲しいのです…」

 

「桜綾波ぃぃぃ?!?!」

 

 

 

 

 

 

 

時は遡る事……少し前。

 

『桜綾波達も釣って指揮官に誉められるのです』

 

『でちっ!!』

 

『…ゴーヤちゃん…魚雷はダメなのです』

 

『でちっ!?』

 

『焼き魚には間宮さん達にしてもらうのです。それに、武器を使ったらただの環境破壊なのです』

 

『環境破壊は楽しいZO『ダメなのですッ!!』

 

桜綾波は水上から釣りを、ゴーヤは水中で網を使い漁をしていた。

が!

そこに忍び寄るのは大きな鮫。

 

 

ツンツン

 

『今忙しいでち』

 

 

『………』

 

 

ツンツン

 

『あやなみぃ!やめるでち』

 

 

ツンツン

 

『しつこいでち!』

振り払おうとした手に違和感を覚えた。

ざらりとした感触だった。

 

『??桜綾波?いつの間にこんなにザラザラに–––––––

 

 

振り返ると目の前にはコンニチワする鮫さんが…

 

 

 

 

 

 

 

『……でち?!さ、鮫ぇええええ!!!』

ゴーヤは急浮上し桜綾波に助けを求める。

 

『さ、鮫!鮫でちぃいいいい』

 

 

 

『そりゃサメだって居るのですよ』

 

『ち、ちげーよ!!こんな!こんなクッソでかいのがいたんだって!!』

 

『キャラは海に置いてきたのです?』

 

『んなもんより命のが大事だよおおおお』

 

 

『はいはい、そんなのが居たら桜綾波がこの刀で三枚に……

 

 

フンスと鼻を鳴らした桜綾波。

もう予想がつくだろう。

 

そうだ!

 

 

 

 

 

『コンニチワ』

と言わんばかりに大きく口を開けた鮫が目の前に居ますよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あ』

 

『あ!じゃねえよ!早く3枚でも5枚でもオロシテくれよおおお』

 

 

刀を握る手を脱力させて…サメを一点に見つめて

フッ…と彼女は笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『無理』

 

 

『だろうねえええ!!!』

 

 

 

桜綾波は食われた。

 

 

 

『桜綾波ぃぃ!!』

 

丸呑みだった、ひと呑みだった。

さっきまでの彼女の力無い微笑みが頭から離れない。

 

 

そんな場合ではないッ!!

今必要なのは!?

そう!直ちに人命(自分)を尊重した行動をとること!!

 

 

『くっ!犠牲は無駄にはしないでち!きっと生き延びて助けを呼んでくるでち!だから消化されずに待っ–––––

 

 

 

だが、目の前には口を開けた鮫が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その口の奥からこちらに手を伸ばした桜綾波が見えた。

 

 

『何1人で逃げようとしてるんです…?ゴーヤもたべられるんですよおおお』

 

最早…サメの一部と化した桜綾波が「お前もこっちに来いよぉ♪」と言わんばかりに…というか言いながら寄ってくる。

 

『でちぃぃい!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

 

 

 

 

 

「ちょっ!あなた達!今の内に出るか手伝うかしてちょうだい!」

相変わらず口で踏ん張る蒼エリザベスは口の中の2人へと脱出を促す。

 

「…ひんやりして…きもちいいんでち…」

 

「どーせ誰も助からないのです…」

 

「ほら、意外と快適ですよ?座布団どうぞ」

 

 

 

「諦めんなぁぁぁ!!!てか、どんな胃袋!?」

「てか!お前らも早く助けんかいぃ!!!」

蒼エリザベスは蒼オークランド達に叫ぶ。

 

「え?快適らし…邪魔したらだめかなあ…って」

 

「アホかッ!!!!」

 

 

 

 

「まあでも…助けるよ!」

蒼オークランドが艤装を展開して突っ込んでくる。

 

「砲雷撃戦はダメよ!!」

 

「わかってるって!!」

 

 

 

 

 

 

蒼オークランドは突っ込んできた。

 

そう、突っ込んで来たのだ。

 

 

 

 

 

 

蒼エリザベスの横を通り抜けてサメの口の中に

 

 

「「あ」」

 

 

 

 

 

蒼オークランドも食べられた

 

 

「ちょ…どれだけ馬鹿なのよ!この単細胞ッ!!」

 

「ごめぇえん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奈々!?奈々!?」

こうなれば頼みの綱は奈々しか居ない。戦艦ならパワーもあるだろう、私もそろそろ色々と限界だから!!

 

 

「助けてぇ…」

その頼みの綱の声はか細く聞こえた…

 

 

 

 

 

サメの口の中から。

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘みたいな話だが…

突っ込んで来た蒼オークランドに巻き込まれる形で彼女も口の中に飛び込んでいたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

もうあかんやつや…とエリザベスは思った。

だから使いたくはない最終手段を取ることにした。

 

 

西波島鎮守府の守護神を呼び出すのだ。

指笛を吹けば駆けつけてくれるのだ。

何故か駆逐艦なら吹く前に到着するらしい…が、できれば頼りたくないのだ。

だが、そんな事は言ってられない!

 

エリザベスは指笛を吹いた。

そう、片手を離して…。

 

 

 

「女王サマ!?片手離したら……」

 

 

 

「あ…」

 

そう、ギリギリのラインで耐えていたのだ。両の手で。

 

 

 

 

 

 

彼女の笛の音はすぐにサメの口と共に閉じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閉ざされた山の中にすぐに光が差し込んだ。

 

 

 

 

「駆逐艦のピンチと聞いて!!!」

 

えんじぇるがーでぃあん(西波島名物変態仮面軍団)の登場だ。

長門と思しき謎の仮面がサメの首?を掴み上げて海から引き摺り出した。

 

 

 

 

 

「…サメよ……お前の行為は到底許されない」

 

 

「姐御ぉ〜!姐御が出るまでもねぇっすよおおお」

拳を握りしめる長門を2人が止める。

 

 

「おぉん?キサン誰に手ぇ出してんだぁ?オルァ」ゲシゲシ

 

「オラァ!オラァ!!」ゲシゲシ

 

恐らく鮫肌が痛いのかな?

殴る行為から蹴りにシフトしてるぞ。

てか、口の中から早く出してあげて?

 

 

 

「楽には逝かさんぞおおお!?」

 

「フカヒレにして…刺身にして…どうしてくれようかぁぁ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ええから早よ助けろやああ!!……溶けそうなんでごぜーますよおおおおお」

桜綾波の一言で速攻救出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何であんなところに鮫が居るでち?」

 

「……棲家がめちゃくちゃになったらしいよ」

と、奈々が言う。

 

「え?わかんの?」

 

「ん、なんとなく…」

 

曰く

なぜか小魚のような餌が居なかった(赤城の乱獲で魚が居なかった)

普段の棲家が突然割れたり(榛名に海を破られたり)

 

 

 

 

 

 

ちらりと向こうを見る。

 

 

相変わらず赤城は狩り尽くし、その行動範囲を拡大しているし…

榛名は相変わらず海を割っているし…

他のヤベーヤツは提督にまとわり付いてるし…

 

「……悪って奴らじゃないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方には赤城と榛名達が正座させられていたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後…

 

 

「………釣れる?」

 

「ん?ほれ」

 

1人平和に釣りを楽しむ救の所に暁がやって来た。

海に入れている網の中には鯛らしきものが入っていた。

 

「す、凄いわね」

 

「どくしたんだ?一緒にやるか?」

 

「ええ!」

喜ばしげに答える暁だが、何か歯切れが悪い。

 

「どうしたんだ?何かあったか?」

 

「えとね?おにぎり作ってきたの……お腹いっぱいだよね」

そう、彼の下には鳳翔が用意してくれた弁当箱があったのだ。

先程まで彼が食べていたであろうものが…

 

「食べるぞ」

 

その一言にパァッと明るくなる暁。

 

「上手にできてるな」

 

「当たり前よ?!一人前のレディなんだから!」

 

ふんふーん…と鼻歌を歌いながら上機嫌にシートと椅子をだす暁。

 

こういう午後がいいなと思う救であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに暁ぎ砂糖と塩を間違えた事に気付いて落ち込むまであと30秒の事だった。

 

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