提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
それは最初から決まっていた。
抱かないはずのない疑問。
–––いや、見ないフリをしていた疑問。
彼は選択せねばならない
何を守るかを––
てな訳でやってきました…どっかの河原、
艦載機飛ばしてロケーションを探すといううまい使い方なのかサボり気味なのかとかいう事をしながら、見つけた良さげな場所を目指す。
大所帯での移動になるので割り勘でバスをチャーター。
ある程度のところからは歩く…という事で決まった。
準備に関しては、皆の姿はもうバカンスmodeなので問題ない。
バーベキューの食糧も問題ないだろう。
というか足りなかったら現地調達するとか言ってたな…。
『肉とかこれで足りる?』
『問題ないだろう。まぁ…足りなかったら現地調達するさ』
『…むぅ……』
『提督?何か心配なのか?安心しろ!猪にも魚にも熊にも負けんさ』
フンス!と胸を張る長門。
『…あぁ…うん…心強いね』
ちゃうねん。
生態系が狂うんじゃないかって方が心配やねん
少数精鋭で食い尽くすからな…奴等は。
間宮達にたらふく用意して……え?何?問題ない?
…まじか
「痛かったあ…大破轟沈数前でしたよ!艦娘が陸で沈むなんて皮肉すぎますよお」
プリプリと青葉が怒っているようだ。その背中や両手には沢山の荷物がある。彼女曰く、輸送作戦のドラム缶や資材獲得遠征の帰りよりはマシ…とのことだが…。
自業自得なんだよなあ…とか思ったりする。
ただ、その時に感じた違和感を尋ねようと思った。
「なあ?青葉?」
「何です?」
「俺お前にはアイアンクローしかしてなかったと思うの」
「はい、バチくそ痛かったですよ」
「女の子がバチくそとか言う言葉を使わない!…ってか、何で
「女の子って…嬉しいですね♪…………よ、
「んなんきゃねーよ!服にダメージなかったろ!」
頭以外にダメージはなかったはずなのに破れた衣服に問題があるのだから。
「精神ダメージじゃないです?」
「何その設定!?アズレンの2人はそんな事なかったんだけどなあ…」
「ヨー◯ターさんエロ大好きだけど…大破イラストの問題じゃないです?ゲームの仕様の問題じゃないですk「おい、やめろ」
「わ、私に荷物を持たせるなんて……しょ、指揮官は…本当に…ッ」
ゼーハーと息を切らしながら桜エリザベスが坂道を登る。
「あぁ…桜エリザベスはハンコとペン以上の重さのものを持った事ないもんなあ…」
「失礼よッ!?てか!アンタ最近扱い酷くない!?」
いやあ…反応が楽しくてさとは言えなかった。
「ご主人様ッ!!陛下へのその言葉は失礼でございます!」
キリッと現れたのは桜ベルファスト。
さすがはメイド、主人のピンチを見逃さないのはできたメイドだ。
まあ…その主人の指揮官が俺なんだけどさ。
「ベル…」
パァッと明るくなる桜エリザベス。
イジリの中に見出した一筋の光…か?
「ティーポットくらいならお持ちになられます!」
ドヤ顔で言い切った桜ベルファスト。
固まる桜エリザベス。
ブフッと吹き出したロイヤルメイド隊。
大爆笑する俺。
顔を真っ赤にして桜エリザベスが怒っていた。
しかし、彼女はメイド隊に持てとは言わない。
そうなのだ。
そう命令すれば楽になれるのだ。
しかし、それを彼女は良しとしない。
真に高貴なるは何たるかを彼女は知っているから。
蒼エリザベスも同じであるが、誇りを胸に張るのは構わない。
しかし、その権威をひけらかすのは愚である…と。
だから俺は彼女が好きだ。
懸命に庶民に近しく在ろうとする彼女g「女王命令よ!持ちなさい!桜シリアス!てか!笑った全員よッ」
「………」
ダメですわ…
さて…着いたわけだが…
「釜戸を作ろうかね」
こう見えて意外とアウトドア好きなんだ。
良いところを見せておきたいな!
「かまど?アレですか?鬼殺しの人ですか?炭作りですか?」
「ちげーよ」
「こうやって石を積み上げてだな?」
と、石を積み上げて行く。大きめな石をコの字に積み上げて行くのがポイントである。
「あぁっ!指揮官様ッ…なんてことでしょう!!」
「指揮官様?悪いことしたなら懺悔効きますよ?……特別割引で」
蒼ベルファストやら蒼エディンバラがカマドを作る俺の目の前で祈り始めた。
「え?何?」
「聞いたことがあります。人は悪行を重ねると地獄で石を積み立て、贖罪するのだとか…」
「しかもどれだけ頑張っても鬼にそれを崩されるのですよね?」
「ん?ん?」
「ですからその鬼を石を積み上げて誘き寄せてぶっ殺すんですね?鬼殺するんですね?」
「んーーー?世界観どうなってるの?」
「私達は指揮官様の味方です!どんな指揮官様でも受け止めて見せますから!!
うーーん…と唸る俺の横で大淀が焦った様子であたふたしていた。
「ど、どうした?大淀」
「え、あ、て、提督…まさか石で釜戸を作るなんて思ってなかったので…」
どうも歯切れの悪い大淀である。
「??」
「ほーーい!明石と夕張特製の野外BBQセットだよー!!」
「……」
「て、提督?手作りのも趣があっていいと思いますよ?」
大淀が必死にフォローを入れてくれる。
「ま、まあ…なら、スイカと飲み物を冷たい川で冷やし「冷蔵庫持ってきましたー!」
「………グスン」
「私は好きですからね?」
文明の利器には勝てそうもない救はいじけるしかなかった。
その肩をポンと叩いて桜エリザベスが「アンタも大変ね」とニタリと笑って言った。
とりあえず頬をつねってやったらやり返された。
「んぎぎぎ!ひゃなひなひゃひよ!」
「おはへほほ、はなひぇひょ」
「………」
桜赤城と大淀が明石達の便利グッズを片っ端から壊し回った。
最初は涙目でやめてと言う2人であったが、色々説明を受けた後は
「あちゃーコワレチャッター!」
「ドーシマショーコノママジャバーベキューデキナーイ」
とお膳立てしてコチラをチラチラ見てきた。
逆にやりにくくなった。
結局皆で石を積み上げた。
「これを壊して回れば良いのか?」
と、現れた長門は磔にされてポコポコ叩かれていた。
「何ひとつ進んでなくない?」
「鈴谷……そうだね」
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ありがとうございます(´;ω;`)