提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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423話 いつか夜は明けるから ④ 再会

 

目の前で繰り広げられる戦闘は凄まじかった。

吹雪と名乗ったその子はこちらを守りながら敵を追い詰めて行く。

 

その後ろ姿に脳裏に何かが過った。

 

 

《何があってもあなたは守り抜きます》

 

《俺もお前達を守ってみせる》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だ今のは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に目に飛び込んで来たのは、隠れた敵が吹雪に向かって何かを発射する瞬間だった。

体は勝手に動いた。

 

「危ないッ」

助けてもらう側が足を引っ張るなんて馬鹿な…と思う。

でも、体が勝手に動いてしまった。

 

 

 

約束したんだって何故か頭によぎった。

 

「え?!きゃぁあ!?」

 

ガシャンと音を立てて艤装ごと倒れる吹雪…そりゃそうだ、俺が覆い被さるように飛びついたからだ。

ドカァン!と奥の方で砲弾が岩に直撃した音がした。

 

間一髪で回避できたことに安堵しながら冷や汗をかく。

 

「あ、ありがとうございます!というか!危ないですよ!?…あの…えと……お怪我はないで––––––––

 

助ける側に助けられた吹雪は戸惑いながらも感謝を述べるが…

 

 

 

 

 

お兄ちゃん?

 

 

 

 

はぁはぁと肩で息を切らせてコチラに笑顔を向けてくれた吹雪は俺の顔をみて小さくお兄ちゃん?と呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え…嘘…救お兄ちゃん?」

 

「…ッ!?」

 

 

 

 

その姿を、顔を声を俺は知っている。

 

 

「未冬?」

ポツリと俺も呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…救お兄ちゃん!!」

そう呼んだのは孤児院時代の家族の1人の未冬だった。

 

「良かった!良かった!!生きてたんだぁあ」

彼女は手にした艤装を放り出して俺に飛び込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前、その姿は?」

 

「えへへ…私ね?吹雪って艦娘さんの適性があったから艦娘になったんだ!真夏姉さんに小春姉さんもなんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何があったって私達が守りますから』

 

 

 

 

 

 

「ん?何か言ったか?」

 

 

「ううん?何も?」

「よおし!元気出た!!待ってて!あんな奴ら…私がやっつけちゃうんだから」

 

意気込みよく敵陣へと向かおうとする吹雪の背中に何か別の背中が重なった。

 

 

「吹雪ッ!!左へ飛べ!!」

 

「はい!」

 

咄嗟に出た指示だった。

迫り来る砲撃を躱すように出た言葉に吹雪は、さも当然のように反応した。

 

 

 

「左下ッ!!ガラ空きだ!叩き込め!!」

 

「はいっ!」

 

 

彼女は間違いなく、孤児院の時の妹の未冬だ。

そう分かってる。

なのに…なんだろう?

 

彼女の背中を見ながら吹雪という名前を呼ぶのがこれほどに心がざわつくのは?

 

 

「吹雪…行きますッ!!えええええい!!」

 

 

 

 

 

 

 

–––お兄ちゃんが生きていた

 それだけで嬉しいはずなのに、なんだろう?

吹雪と呼ばれるだけで…あなたが後ろにいるだけで、こんなにも力が溢れてくるのは…

まるで戦場を知って、お兄ちゃんと一緒に戦う事を体が知ってるかのように…

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドォン!という音と共に、敵深海棲艦の撃破を確信する。

 

 

 

 

 

 

「…敵、沈黙確認………

の言葉と同時にへたり込む吹雪。

 

「や、やった……やったよぉ」

 

「未冬!大丈夫か!?」

その様子を見て駆け寄る救。

 

「お、お兄ちゃん…い、今になって震えが出てるよ…」

「わ、私ね?初めての実戦だったんだあ…」

 

「何だって!?」

 

「でもね?助けなくっちゃ!て思ったら体が勝手に動いたんだよ。それでね?それでね!?お兄ちゃんに呼ばれたら…こう、ぐわーって力が湧いてね?」

 

 

目の前に居る少女は、記憶を探ればまだ制服に身を包む少女だった。

それが武器を携えて戦場に出る。

自分以外の誰かを守らんとする為に。

震える手足を無理矢理進めて…。

 

「それでね?それで…あ………」

 

目の前で無理矢理作った笑顔でコチラを困惑させないようにする彼女に俺ができることは、家族として抱きしめることだった。それしかなかった。

 

いや

むしろそれで俺が救われようとしたのだろう。

 

残り少ない家族に会えた事で…

孤児院の家族を死なせてしまったという重い事実から少しでも…

 

「…ぅ…うあぁ…うわぁぁぁあ」

未冬は泣き出した。

 

「あのね、私達の家が燃えてたの…皆…皆ね…ううっ…、だから絶対に許さないって思って追いかけてきたら…お兄ちゃんが居て」

 

「…いや、俺のせいなんだ」

 

「…ううん、生きててよかった」

 

 

 

 

 

 

2人で泣いて慰め合いながらこれまでのことを簡潔に説明した。

 

「住む家もないじゃん?!」

 

「そうだなあ……とりあえずはいつもの家に戻ろうと思うよ」

 

「それはあまりおすすめできないよ?危険区域だし、人が居ないから無法地帯みたいで…夜盗とかたくさん居るから…」

 

 

それは事実だろう。

かと言って…ホテル暮らしをするような余裕は…あるけどまあ…

街一つから人が流れるわけだから…うーん…。

 

 

「あの、とりあえず保護という形でうちに来ませんか?」

 

「え?うちって?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「西波島鎮守府というところだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

–––––ところ変わって…

アズールレーン世界に居る西波島のメンバーサイド…

 

 

「司令官?」と吹雪が呼びかける。

先程まで隣に居た指揮官の姿が無い。

瞬きする間に姿を消した。

心がざわつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その異変を感じ取った面々が集まってくる。

 

 

「ダーリンが…ダーリンが!!」

 

彼女達に分かるのは彼がこの世界から消えてしまったと言うことだ。

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたんですか?」

吹雪が尋ねる。

 

「何って…」

加賀が「あなたもさっきまで言ってたじゃないたと言いた気に吹雪を見つめるが、すぐに気付く…吹雪の目は本当に何も知らないのだろうということに。

 

「やっぱり…ダーリンさんが消えたの」

榛名が涙目で答える。

 

「ダーリンさん?」

吹雪がさらに首を傾げる。

 

「も、もう!吹雪ちゃん!冗談はやめてよ!提督ですよ!神崎 救提督ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹雪は答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰ですか?その神崎 救って人は」

 

 

 

 





少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!

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