提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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424話 いつか夜は明けるから ⑤ 忘却と邂逅と

 

「あなた…何言ってるの!?冗談もほどほどにしなさいッ!」

 

激昂した加賀が吹雪に掴みかかる

 

「ヘイ!加賀!やめて!」

 

「やめましょう!加賀さん」

金剛や赤城が加賀を止めに入るが、吹雪の方を見てもイマイチ状況が理解出来ていないように感じる。

 

 

 

「司令官は大石さんじゃないですか」

 

「〜〜ッ!?!?」

 

カタカタと少し震えて怯えた表情を見せる吹雪。

本当に怯えきった様子にに嘘を言ってるようには思えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん?何してるのですか?早く業務に戻らないと…提督に折檻されますよ」

暗い表情で鳳翔がやって来た。

 

「ダーリンは折檻なんかしないよ…?」

 

「??この前も金剛さんは叩かれたでしょう?」

 

 

「「「!?!?!?」」」

 

「ま、まて!鳳翔!お前は何を…」

「…ッ!!明石!明石を呼べぇえ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…うーん…診察の感じでは異常はないかな」

腕組みをしながら明石が答える。

「とは言え、2人に提督に関する記憶の喪失が見られるのは問題だよねえ」

吹雪、鳳翔は不安そうな顔で周りを見つめる。

 

彼女達のバイタルには何の問題もない。

…神崎 救に関する記憶以外には…。

 

問診する中で分かったことは、今までの神崎 救との記憶が全て以前の提督に塗り替えられているという点である。

しかも悪い方向に。

 

「うーん…過度なストレス…の防衛本能だとしても2人同時に同じ症状…ってのは朝日でもわからないわあ」

蒼朝日も頭を抱える。

 

 

 

「そうだな、神崎 救に関する記憶だけなくなると言うのも………」

 

「ん?長門?どしたの?」

 

「……神崎?誰だ?神崎と言うのは?」

 

長門の発言に鹿島や明石も凍りついた。

 

…時だった。

バタン!!と大きな音を立ててドアを開けて榛名が入ってきた。その表情は青ざめており…彼女が何を言わんとするかが分かってしまう。

 

 

 

「た、大変ですッ!!金剛お姉様もダーリンさんを忘れてしまいました!!」

 

 

榛名は明石達の予想通りの言葉を発した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって現実世界での救。

 

(2つの世界の艦娘が登場しますので、現実世界での艦娘は西◯◯と表記させていただきます)

 

 

 

 

 

 

「ここが…鎮守府?」

 

「うん!私達の基地みたいなものだよ!」

 

 

 

オモイダシテ

微かにそう聞こえた。

 

「え?何を?」

 

「え…未冬、今何か言っただろう?思い出して…とか」

 

「何も言ってないよ?変なお兄ちゃん…」

クスクスと笑う未冬はこっちだよ!と俺の手を引いてゆく。

「会わせたい人も居るんだ」

 

 

 

 

「西吹雪!ただ今帰投しました!!」

ビシッと敬礼をする吹雪を迎える2人の艦娘。

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさい西吹雪!そちらが今回襲撃から––––って…え?」

笑顔で西吹雪を迎えた彼女達が俺を見た瞬間に固まる。

 

「…ね?驚いたでしょ?」

 

 

 

「……救?救なの?」

 

 

––アナタ…

 ズットソバニイマスカラネ–

 

頭にノイズが走る。

何だ?と思いながら着物姿の彼女を見る。

 

 

 

「…こ、小春姉さん?」

 

「…ッ!………ッ!!」

両の手を口元にあてて感極まったようにこちらを見る彼女。

「生きてたの!!良かった!!」

小春と呼ばれた艦娘は救に近付いて彼を抱き締めた。

 

「良かった…良かった」

彼女は涙を浮かべて彼を強く強く抱き締めている。

 

 

「こ、小春姉!?お兄ちゃんが…艦娘の力だと………」

 

「…く、苦しい………小春姉さん」

 

「やだ!もう少しだけこうさせて……」

 

 

西鳳翔の胸の中で悶える救。

だが、そのすぐ後にだらん…と動かなくなったところで解放される。

「窒息してません??」

 

「あっ……」

 

 

 

後に彼は、『お花畑が見えたよ』と語っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…む?どうした?西鳳翔……そこの人は?」

 

「ぐすっ……西長門さん、私の家族が生きてたんです」

 

 

 

––ワタシニナグリカカッテクルバカハ

 ヒトリシカイナイー

 

 

 

「……はじめまして、戦艦の西長門だ。よろしく」

一瞬目を見開いたような表情をした彼女ではあるが、すぐにクールな感じに戻った。そして自己紹介を軽くして右手を差し出す。

 

「あ…あぁ、神崎 救です。こちらこそ」

呆気に取られながらもすぐに右手を差し出し、握手を交わす。

 

「…懐かしいな」

ボソリと彼女が呟いた。

 

「ん?何か言った?」

 

「?どうした?」

 

確かに西長門は何かを呟いた。

消え入りそうなその声の意味は分からなかったが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダーリン…?

 

え?ダーリンて誰?

 

え?救?

嘘?

 

でも感じる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バァン!!と正面ドアを乱暴に開いて走ってくる娘がいた。

 

「むっ!西金剛!あれほどドアは優しく開けろと言っt「救!?救なの!?」

長門の声を遮って彼女はその名前を呼んだ。

 

 

 

––ダーリン

 メヲハナシチャノーナンダカラネ––

 

何故だろう?

さっきから艦娘を見る度に…頭の中にノイズが走るんだ…

 

「…金剛……夏海…?」

 

 

 

「救ッ!!!」

 

彼は本日2度目の気絶を味わうこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そう、シスターが…」

小春、夏海、未冬は孤児院が襲撃にあった顛末を救から聞く。

近頃襲撃は多くなった。

しかし、誰が自分の家を襲われると予想するだろうか?

続く平和がこうも簡単に崩れ去ると思うだろうか。

 

「ごめん、俺のせいだ」

そういう彼の肩に手を寄せて「そんなことない、生きててくれて良かった」と言うしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君が神崎 救君かね」

 

執務室というところに通された俺を迎えたのは…御蔵と名乗るおじいさんだった。

 

「………」

2人の間に微妙な空気が流れる。

 

「…………」

 

「……」

 

 

 

「…」

 

 

「……この世界に深海棲艦をもたらした原因か」

 

「…え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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