提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
孤児院から独立後は一人暮らしで孤児院には仕送りの時に電話をして、年に数回顔を出すだけだった。
小春、夏海、秋穂、未冬は4人で季節姉妹と呼ばれていた。
ほんわかした小春、元気いっぱい夏海、大人しめな秋穂、幼げな未冬…
俺にとっては誰も大切な…大好きな人だったけど…
まさかこんな形で再会するなんて思ってもなかった。
と、再開を喜ぶのは良いが当面の生活を考えなければならない。
会社も無ければ住む家も無い。
金は…まあそれなりにあるけれどもいつかは尽きる。
「ねえ!聞いてる?」
頭を抱える救に話しかける者が居る。
「ん?あ、あぁ、すまん!考え事をしてた」
「とにかくさ!お兄ちゃんは住むところ…無いんだよね?」
ずいっ…と西吹雪が前へ出てくる。
「うん」
「働くところも…ないのよね?」
すずいっ…と西鳳翔が西吹雪を押し退けて出てくる。
「う、うん」
「それは困るよね!?」
ずずずいっ…と西金剛が以下略
この3人が何を言わんとするかは…火を見るより明らかだろうなあ…
この鎮守府で働かn「「「この鎮守府で働かない!?」」」
……思考よりも早い…だと!?
「よし行こう!!」
答えなんか答える暇もなく俺は引き摺られて行く。
ゴッ!ゴッ!!と床やら階段やら曲がり角で俺がどこに何をぶつけようとお構い無し、3名の悪魔は談笑しながら俺を引き摺って行く。
この時点で俺の中でのヤベーヤツランキングの順位が入れ替わった。
4位 勧誘 ←ランクダウン
3位 上司
2位 艦娘 ←New!!
1位 深海棲艦
同率1位 給料日前の飲み会の幹事
え?今の状態も勧誘じゃないか!って?
これは誘拐拉致と言うんじゃないかな?
しかし、それを良しとは言えない。
たまたま生き残ったからここで働ける
たまたま艦娘の家族だったからここに置いてもらえる
俺だけそんな特別は許されていいはずがない
何より…
また彼女達に危険な目にあって欲しくない。
「ふむ…君か?此度の侵略で生き残ったという青年は」
連れて来られた…半ば拉致されて連行された執務室で俺はおじいさんに会った。
「ワシは…あー……御蔵と言う、海軍で元帥をやっておる……って大丈夫か?」
御蔵と名乗ったそのおじいさんに何処か懐かしさを感じながら向かいの椅子に腰掛ける。
「尻が摩擦で燃えそうなんです…」
「よく生き残ってくれた」
おじいさんはニコリと笑って言った、ポンポンと肩を叩きながら。
まるで再会を喜ぶように、優しい…優しい表情で言った。
「え…あ、えと、生き残ったと言うより、生かされたんです」
「俺の代わりに死んだ人も居て…」
「ふむ、そこら辺は西吹雪から報告を受けている」
「……」
「……」
沈黙が続く。
「深海棲艦」
「深海棲艦がこの世に現れた原因か…」
「え?」
「何も知らんようじゃな」
「はい、すみません…」
「…まぁ、実のところワシらにも……分かってはおらんのだがな」
「…」
「さて、西吹雪達から君をここに置いて欲しいとな」
「俺もそう聞きました」
「………」
以下、御蔵元帥と艦娘の会話の回想。
『…来たか、奴を守………え?!ここで住まわせたい!?!?』
『やっぱりここで私達が守るのが1番だと思うんです』
『いや、とは言え…のぅ』
『げ・ん・す・い閣下?分かってますよね?』ガチャ
『いや、しかしな…?』
『………ね?お願い!!』ズイッ
『ね?じゃないわい、どこに上官に砲身向けてお願いする奴がおるか』
『世間一般ではそれを脅しと言うんじゃが!?』
回想終了〜
どうも奴の周りに集まる艦娘は頑固なのが多いのう…
「…しかし、俺がここに居る訳には…」
「お前さんはこう思ってるんじゃないのか?"また彼女達を危険に晒してしまうのではないか?足手まといで命を落としてしまうんじゃあないか?"と」
図星だった。何も答えられなかった。
守ろうとしても…強大な力の前には人は無力だ。
どれだけ足掻こうと、立ち上がろうと踏み潰される…
「無力ではない」
「…ッ!?」
一言、たった一言だが…年齢を全く感じない鋭い視線とオーラが彼から感じられた。
「人は奴等を前に無力ではない」
「確かに個々人の力では何も出来ん」
「しかし、艦娘達の協力があれば…決して敵わない相手では無いのだ」
「だからこそ力を貸して欲しい」
「力を…?俺が?」
「うむ」
その理由…それはお前が1番知っている筈だ。
何故ならお前は…※※なのだから…
「……」
あの後は嵐のようだった。
「「「決定!就職!!!」」」
春夏冬がパーンとクラッカー…え?砲身?を鳴らして乱入してくる。
御蔵さんも「え、うん、ヨカッタネ…」という感じである。
「もうね!部屋も用意してあるからね!」
「早くない?」
「ご飯もあるからね!」
「まだ14時だよ?」
「着替えもあるからね!」
「え…えぇ…」
ズルズルと引き摺られる俺。
心なしか御蔵さんの表情が引き攣ってるように見える…気がする訳ない。だって引き攣ってるから。
「
引き摺られながら俺は敬礼とお礼を述べた。
「………うむ」
御蔵さんは寂しそうに返事をした。
「ここはお前さんの家だ」
『……やるんですね』
『……』
『彼が真実を知ったら挫けますよ』
『あぁ、挫けるだろう』
『この鎮守府も奴も彼女達も本来ならこの世に居ない存在…』
『でも救は私達が守るよ』
『…西金剛さん…』
『私達はその為にこの西波島鎮守府に居るのだから…』
『ワシも…そのつもりだ』
『あ奴が全てを思い出して、この根源と戦う準備ができるまで…な』
神崎よ…
お前は自分と言う存在を思い出した時、自分を責めるだろう。
周りの艦娘達の意味を知った時、道を見失うだろう。
周りは皆敵となり、居場所を感じられなくなり…絶望するだろう。
でも敵は待ってくれない。
ワシらに出来ることをワシらはやろう。
じゃから…ワシらが全力でお前を守ろう。
お気に入りが820!ありがとうございます(´;ω;`)
少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!
感想やメッセージ等お待ちしてます!