提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
「何よ?ここは…」
景色がよく見える丘だった。
誰も居ない…静かな丘。
「曙…どうしたの?」
「…何もないわよ…」
「…聞きたいな…待つよ」
提督は何十分も待ってくれた。
何よ何よ何よ!!
「何で…」
「何であんたはそんなに優しいのよっ…」
私はっ…アンタに出会った時からクソ提督だとか…
あんたは何も悪くないのに…ずっと悪態をついてたのよ?!
ずっとずっと
あなたも傷付いたでしょ?!嫌だったでしょ?!
秘書艦の時だって…ずっと口悪く言って!
だから秘書艦からも外したでしょう?
嫌いだったでしょ?
なのに何で…私はアンタにこのお願いをしたのかしら?
アンタはなんでOKをしたの
これ以上!優しくしないでよ!!
辛いのよ!
口は悪いわ…愛想はないわ…
皆は料理するのに私は…できないし…
わ…わたしは…私は
アンタと…本当は… 本当はっ!!
「なぁ…曙?」
「何よッ!!」
「俺はお前を嫌いだと思ったことなんかないぞ?」
「…え?……う、嘘よッー!!」
「いや、本当に 」
「確かに口は悪いけど…同じ艦隊のメンバーに対する思いやりを知らないわけではないぞ? それにな?秘書艦になかなか入れないのは…ああいう業務は苦痛だったのかな?と思って…ってのと、大淀に反発して喧嘩になって欲しくなかったからなんだ。
愛想は大切かもなな?でも何で曙が態度が悪いか…わかるぞ」
「やめて」
「辛かったよな… 何もかも押し付けられるのは お前は必死に頑張ってたのにな…」
前世のことなんてやめてよ!
「やめてよッ!!!」
「でも…それでも人を…世界を嫌いにならないでくれて…ありがとうな」
提督はそっと私を抱き締めて…撫で撫でとしてくれた。
「や…やめてよっ…やめてよおおおっ」
「ありがとうな…曙。でも俺は怒ってもいないし…嫌ってもないぞ?」
「何でよおっ!!!!!ううっ」
「嫌う理由がないだろう?」
「うるさい!偽善者!!」
また言ってしまう!こんな自分が嫌いなのに!!
「それじゃ…だめなのか…なら…曙は…俺の為に料理を練習してくれてたんだろ?」
手の傷をみたらわかる。
料理を練習していたが納得のいく所まで上達しなかったのを見ていたから知っている。
悪口を言わないように極力喋らないの知っている。
本当はいつもこっちを見ていたことを知っている。
勇気を出して…私も夫婦を…と、俺に申し込んできたのも知っている。
仲間を気遣う姿を知っている。
人一倍頑張るのを知っている。
それも十分魅力じゃないか。
誰がお前に魅力も、愛想もないと言ったんだ?
なら俺がお前に伝えよう!
君は十分良い女の子だよ!!
俺は大好きだぞ?
だから…それが理由じゃダメか?
「提督…」
嫌われてると思った
こんな嫌な奴
避けられてると思った
もう捨てられると
こんな…
「いいの…?」
絞り出せた言葉がそれだった…
提督のその言葉に縋り付くように…。
「あぁ… 霞も偶には口悪いぞ?態度は丸くなったけどな」
「お前もそんなんで良いんじゃないのか?有り体でいてもさ、不自然に取り繕うよりいいと思うんだ…逆に気を遣わせてごめんな」
「嫌って言っても…離れないわよ?」
「むしろ…離れるなよ」
「たまに口悪くなるわよ」
「酷すぎなければ…」
「この…バカァっ」
バカバカバカバカ!!
アンタは!何で!そんなに優しいのよっ!!
もっと冷たくしてくれたら…私は!!
バカ提督!クソ提督!クズ!クズ!
うわぁぁん…うっ うわぁぁぁあん!!
ごめんなさい提督!ごめんなさい!
ごめんなさい せっかく楽しくしてくれようとしたのに…
ずっと笑顔で接してくれていたのに…ごめんなさい。
私の変な意地のせいでごめんなさい。
嫌わないでくれて…ありがとう…。
ありがとう…本当に本当にありがとう。
提督は何も言わず側にいてくれた。
何十分も…何時間も…
「ううっ…泣いてたら時間が過ぎちゃったじゃない…」
「今からでも一緒に出掛けれるよ」
「えっ?!ちょっ!!」
提督はまた私の手を引っ張ってモールへと戻っていく。
「ちょっ…このバカぁ…! 強引なのよ!」
「どこに連れて行くのよっ!!」
そこは、モールの隅の方にあるアクセサリーショップだった。
提督は待ってて!と言って
…買ってきたよ!
と私に髪留めをつけてくれた。
「何のやつ?」
「帰ってから鏡で見てみてね?似合うと思ってたんだ!ひと目見た時から… ………君が…少しでも寂しくないように」
「何よ…ソレ?まあ、…ありがとう…」
帰り道の船は…
少し勇気を出してひっついてみた。
彼はそっと私を抱き寄せてくれた。
「もう少し強く…しなさいよ」
と言うと少し力を入れて抱き寄せてくれた。
「お帰りなさい…どうだったの?」
朧だった。
「ううん、言わなくてもわかるわ。良かったわね」
「何で?」
「だって…すごい笑顔だもの…それにその髪の…」
え?あ、そう言えば…と鏡を見る。
フジの花の髪留めだった…
提督はフジの花言葉を知ってるの?
ミヤコワスレの花言葉は…別れ
この花はーーー…
「あ…コレ」
と朧が言う
髪留めに指輪がついていた
バァン!と私室の扉が開く
…壊れてないよね?
「このっ!!!クソ提督!!!!!」
「んあっ?!曙!?」
「アンタには…雰囲気とか!そんなのはないの!?」
「来てくれるって思ってたから…」
「…〜っ!なら…ちゃんと渡しなさいよ!クソ提督!」
「はいはい」
「ケッコンカッコカリ…受けてくれる?」
「…仕方がないわね…後悔しても…知らないわよ?」
涙ながらに彼女は返事をする。
彼女に指輪を渡し…キスをした。
「提督…!!バカ… 好きよ…」
「大好きなんだからっ!!」
彼女はずっと俺の側から朝まで離れなかった。
フジの花の花言葉
–––歓迎–––
もう一つ
––決して離れない––
1日夫婦が終わり
お気に入りのアクセサリーのミヤコワスレとフジを見つめながらニヤニヤとする曙が居たとか?
ミヤコワスレの別れの逆を行く花言葉。
シャランとした髪留めをつけた曙は今日も言う。
「このバーカ 」
その表情から取れる言葉はもう罵りではなかった。
(๑╹ω╹๑ )さあ…
次回から…少しシリアスですわ
土日で一気にやろうかしら…