提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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(๑╹ω╹๑ )おはようございます!

今回も1日で数話投稿します
よろしくお願いします!


3話目です(๑╹ω╹๑ )!


54話 誰が為に鐘は鳴る ③

救は本当の家族の温もりを知らない。

故に与えられることに慣れていない。

 

艦娘を愛するのも…見捨てられたくない…

愛が欲しい… と言うのもある

実際、彼は無意識に行動をしている

例え弾雨の中でも 消えゆく命を前にしても …それが自分だと考えていた

艦娘と共に それが自分の存在意義だと

 

本当は不安で仕方ないのだ

自分に…命をくれた先輩

ひたすらに愛を向けてくれる艦娘達

 

自分にどれ程の価値があるのか?

 

彼はずっとその答えを探していた

誰にも言えないままに

 

信用してない訳ではない

愛してない訳ではない

 

ただ怖いのだ 向き合うのが…

もし必要とされてなかったらと思うと今のままでもいいかなと思うしかないのだから

 

 

 

 

 

 

 

日にちが経つほどに現実は目の前に迫ってくる

俺らを…親父を馬鹿にしたアイツを許せない

 

なのに

なのに

 

俺は決めかねていた… 戦う艦娘を選ぶのを…

 

 

 

 

そして当日の朝

 

やばい…

当日が来てしまった

誰に戦ってもらおう…

誰にこの重責を背負わさなければならないのか

 

 

逃げ出したかった…

消え入りたかった

 

うっ  うええっ

 

思わず吐いてしまった

 

 

…信じてないわけではない

それでも…

 

きっと逃げて生きられたら楽だろう

全てを忘れられる覚悟があるなら

 

でもその覚悟もない

皆の笑顔が頭からきっと離れない

 

なら1人を選ぶ覚悟は?

それもない…

 

 

 

 

歯を磨いてから 外へ出る

皆の顔を観れるだろうか

 

艦娘達もこの数日は何も言わなかった

俺を信じてくれているのだろう

 

 

 

 

「珍しいじゃない…酷い顔よ?…提督」

霞…

 

 

「今までも同じような状況もあったたでしょ?」

陸奥…

 

 

「気にすることないわ」

麻耶…

 

「私達が負けるって思ってる?」

最上…

 

「蒙武をコテンパンにしたからって…」

 

「ねえ…それとも私達じゃ あなた1人も受け止められないと思ってるの?」

 

「負けることより…そう思われてる方が…辛いわ」

 

 

 

 

「あなたは…もう1人じゃないのよ?」

 

 

 

 

 

「私達は提督を知りたいな」

 

 

 

 

なあ…

……己と向き合う…か……

俺は…受け入れられるだろうか…

 

「両親も居小さな時に死んで居なくて孤児院でさ…中学からバイトしてさ… そのお金も親戚に毟り取られてさ… それでも頑張って高校、大学とさ…出てさ 大手に就職出来たんだ…

すげえブラックな会社だったけど…初めて会社から頼られてるって思って必死で何もかも削って働いて…やっと孤児院にも恩返しできるって思ってさ

休みも無くして体も壊して…でもそれでも頑張った

なのに先輩は死んでさ…

全力で生きてきたんだ… なのに…俺も死んでさ…

 

こっちでお前達に出会って… 必要とされる事が嬉しかった、好きになってくれるのが嬉しかった

でも、それ以上に怖かった 失うのが怖かった

 

ゲームで無く現実だから…

 

お前達に嫌われたらどうしようかと

俺が不要になったらどうしようかと

だって代わりなんて幾らでも居るんだから…

 

何でこんな俺を好きになってくれた?

俺は何もできない 夫婦だとか指輪だとか…俺が安心する為でもあるんだ…本当はお前達に俺は何も返せてない

 

毎日が怖い また皆が居なくなるんじゃないかと…

俺が居られなくなるんじゃないかと

 

こんな無価値な人間が…

他にももっと上手くできる奴もいただろうよ なのに…

 

いつもお前達は何で優しくしてくれるんだ

何でなんだ?俺に一体どんな価値があるんだ?

 

なんで俺なんだ?どうして?なぜ?

 

 

 

 

でも…

 

 

お前達を失いたくない…

 

 

なあ…

寒いんだ…

寒くてしょうがないんだ……

必要とされたいんだ…温もりが…ほしいんだ 

…1人に…しないでくれ…

 

でも…誰かに俺の人生を決めさせるのも…

そんな重責を背負わせるのなんて…」

 

 

思いの丈を吐いた めちゃくちゃな言葉で

めちゃくちゃな感情を吐いてしまった…

 

 

 

 

 

 

「なぜって…提督からたくさんもらってるからデース」

 

「私達が提督を不要に思ったことなんかないよ?」

 

「例え提督が提督で無くても私達はきっと好きになっているわ」

 

「せやせや、アンタの気苦労や」

 

「でも…私たちも知りたかったのです あなたがどう思っているか」

 

「ここに居る皆…全てがあなたの味方です」

 

「たとえ全てを敵に回しても…私は指揮官様のお側にいますわ」

 

「あ!それ言おうとしたのに!」

 

 

お前達…?

お前達は…

 

でも俺は…

 

 

「このバカァっ!!!!!バカ提督ッ!!」

霞だった

 

「か…霞?」

 

「あんた…そんなに私たちが信じられないの?」

 

そんなことはない

 

 

「なら…アタシらにあんたの人生!!賭けてみろッ!!」

「あんたは私らを背負って命かけてくれてんだ!…私らを信用してるってんなら!…信用してるなら!その命!預けるくらいしてみろよぉ…」

「私は…あんたと…バカ提督と離れるのは辛い」

「あんたは…いつもどんな時も前向いて諦めなかった…私らを絶望の暗闇から救い上げてくれた…。そのあんたが心の底から…バカになって逃げる意気地なしになる方が嫌なのよ」

 

霞は泣いていた。

 

 

……お前…たち

 

 

 

「ダーリン?」

 

「うん?何だ?」

 

 

「愛してまス」

と金剛が俺を抱き締めてくれ…そっとキスをしてくる

その表情は…悲しみでも哀れみでもない

本当に愛おしい者を見る慈愛の表情だった

 

そして金剛は門の方へと歩き始めた

 

お…おい!?と思ってると…

鳳翔がやって来た…同じようにキスして……

 

そして次へ次へと

1人ずつハグをしながら…キスをしながら

頭を撫でてくれながら 俺の胸に拳をトンと当てながら

時に肩をポンと叩きながら

1人ずつ…俺を通り過ぎて行く

誰も嫌な顔一つせず

 

霞は 

「負けんなよ…()()!」

と胸にパンチをしてきた

 

 

皆が俺を通り過ぎた後 俺は振り返った

 

皆が笑顔でそこに居た

 

 

提督ー…

提督1人くらい余裕で背負って歩けます

…いえ、背負わせてください

あなたの小さな背中はいつだって私達を背負ってくれてるのですから…

だから… ありのままで私達の隣に居て下さい

笑って、甘えて、泣いて、頼ってくれるのがこれ以上無く幸せなのです

どんなあなたも…愛しているのですから

 

あなたが不安で霧の中に迷うならならば私達が霧を払ってみせます

あなたが道を踏み外し、間違えたなら私達が引っ張って正してみせます

あなたが幸せと感じるならなら私達も幸せなのです

あなたが悲しいなら夜通しでも一緒に泣きます

 

 

だって それはあなたが私達にしてくれた事だから

 

 

物資がこないなら取りに遠征します

食糧がないなら取って来ます!育てます!

それでもないなら共に耐えます

 

私達は食べられない事より

あなたと離れてしまう方が嫌なのです

 

 

あなたの進む道が私達の進む道なのですから…

 

この世界で、私達に出会ってくれて…ありがとう

あなたが提督で、本当によかったーーー

 

だから…

 

「あなたはどっかりと座って…胸張って…ただ一言、こう言えば良いんだ」

ニヤリと笑って長門が言った

 

 

「勝ってこい…とね」

 

 

 

 

そうだ…艦娘は

誰1人だって 諦めましょう?なんて言ってない

誰1人だって勝つことを諦めてない

1番…格好悪いのは…俺じゃないか

 

そして…

 

ここにあったんだ…

俺の求めていた…温もりは

ここにあったんだ

必要とされることは命を削る事じゃないんだ

愛されるってこんなに暖かいものなんだ… 

この世界に…あったのか

いや…初めから俺の手元(すぐ近く)にあったんだ…

 

涙を拭う…

 

俺はここに居ていいんだな?

 

 

 

 

ーーもう寒くない

震えも止まった…

覚悟も何もかも決まった

 

 

 

「なあ…皆…俺と一緒に地獄に行ってくれ」

 

 

「「「「「喜んで行きましょう」」」」」

 

 

もう迷わない…

 

俺は…俺達は出発した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呉鎮守府

さすが…デカいな…

ウチとは大違いだ……

 

 

 

「来ました…」

と時成に挨拶をした

 

「来たか!」

クソジジイとの邂逅1発目に腹にボディーブローをもらった

痛え

 

「んー?チトは良い面構えになったか?      

というか…勢揃いとは…まったく暇なもんなのか?僻地は」

と皮肉るクソジジイ

 

 

「まあいい…とっとと始めようか」

クククと笑う巌

 

 

「おい、大和…」

と巌は大和を呼んだ

 

「はい」

呉大和が前に出てくる

 

「この国最強とさえ言われる大和の力見せてやろう…」

 

 

「そちらは誰が?」

と呉大和が問うてくる

 

「それは…」

 

西波島も恐らく大和か武蔵だろうと予想していた呉側の奴ら

 

しかし、こちらの大和と武蔵は首を横に振る

 

「私ではないわ…とっておきの娘がいるもの」

 

「ここは譲ります…悔しいけど」

 

「…そうですね…まだ負けてませんけど」

 

「いっけーーー!お姉様!!!」

 

「ね 金剛」

 

皆の視線の先には彼女が居た

 

「私デース!!!!」

 

そうーーー金剛だ

 

 

 

あからさまに何故?と思っているだろうな

 

 

「御託は良いから始めまショー」

 

さあ始めましょうか…と

金剛と大和がフィールドに立つ

今回は海の上じゃない

 

 

俺達は観戦席へと移動した

しかし…俺が居るべきはここでない

 

そして俺は行ってくる…と皆を残して動いた

 

 

時成 巌  アンタのおかげで自分を見つめ直せた

自分ってのを知れたんだ…

悩めた…もう 迷わずに済みそうだ…

 

お礼しなくちゃな

やられっぱなしじゃないってこと、示さないとな

 

 

と巌の目の前に立った

 

「あん?何だ?ルール変更か?それとも今から降参…」

と巌が立った時に

 

 

ドスッと俺は無言てクソジジイにボディーブローを返した

 

「なっ お前…」

と巌と全ての者が驚いた

 

 

「提督…やりやがった!それでこそだ!!」

 

 

「…」

 

そのまま俺は金剛の隣まで歩いて行った

 

「だ…ダーリン?」

「ええ…あなた…一体何を?」

 

そして時成 巌を睨みつけ

 

「おいクソガキ…まさか」

 

騒つく観衆

 

 

 

そうだよ… その通りだ!!

「…来いよ」

と手招きをした

 

 

前代未聞だろう

提督同士が戦うなんて

 

 

 

面白えじゃねえか!どれだけコイツは俺の期待を超えて行くのか…

 

目の前にクソジジイが来た

でけえ ゴツい!改めて…デカい

 

 

だからなんだ

失う怖さや辛さに比べたら…

 

 

お前なんか怖くない…!!

 

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