提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ふかひれ

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馬鹿ンス…?


61話 西波島鎮守府 バカンス ③

俺の肩に手が触れた

 

「アソボ」

 

俺の恐怖メーターはレッドゾーンを遥かに超えた

 

 

 

これは経験上だが 生き物ってのは恐怖のレベルが、ある一定値を振り切ると とんでもない行動に出たりするものだ

 

火事場の何とか…と言うしな

 

何が言いたいかって?

 

 

 

 

「そりゃぁぁあ!!」

俺はその手を掴んで背負い投げをした

「ヴッ」

 

「耳元でアソボアソボうるせえええええ!」

 

 

 

そして

ひたすらにガチャガチャと音を立てる執務室のドアを…

 

 

またまた蹴り破り

「テメェゴルァ  ガチャガチャうっさいんじゃぁぁぁ!!」

「後なァァ 時雨はよおおお そんな声じゃねえええんだよおおおっ」

「どうせだったら 愛してるとか何か言ってみろやぁぁぁあ!!」

 

「……エエ…」

 

我ながら意味がわからない事を言っている

きっと相手もドン引きだろう てか引いていた

 

 

それ以上にその様子を震えながら見ていた艦娘も引いていた

 

しかし知らん

 

「お前ら全員正座しろやぁぁぁあ」

 

 

 

 

と、正座させられる 艦娘と幽霊

 

 

「大体な…時雨…お前が変な事をするからなぁ…」

 

「いや あの  それは僕が悪かったケド…あの」

 

「何だ?!」

 

「いや…あの 幽霊にも説教って」

 

「何言ってんだ? あんなにドアをガチャガチャしたら壊れるだろ?怒られるのは当たり前だ…てか2人でであれだけのことを出来たのがすげえ、」

 

「いやーー…よーく思い出してよお…トイレも執務室もドア壊したのは提督だよ」

 

ウンウンと頷く幽霊さん

 

「……ふむ」

 

 

「で?お前は何なの?」

と幽霊に話かけてみる

 

「えっ…ドアの件は流すの?」

「提督は勢いで流すつもりよ」

 

 

 

 

 

「私達は…この世を彷徨う艦娘の残滓… 」

 

「もう何も覚えていない…どこに行けば良いのかも思い出せない…」

 

「ただ、艦娘で…何故かこの鎮守府に行けば何か思い出せるかと思ったの…ならあなたが居て…」

 

「楽しそうなあなた達か羨ましくて…」

 

「確かにやり過ぎたわ…ごめんなさい…出て行くから…」

 

 

 

 

 

「何言ってんだ?」

 

 

 

 

 

「ここに居るってならお前達2人はウチの艦娘だろう?」

 

 

 

 

 

「「「「「え?」」」」」

なんだ?その理論は

 

 

「だってそーだろ? ここは西波島鎮守府だ そこに居るならウチの艦娘だろ 思い出せないなら思い出を作れば良い な?あきつ丸」

 

「そーでありますな…しかし…幽霊までとは…その…さすが提督殿と申しますか…」

 

 

「な!」

と、笑顔を、こちらに負ける提督らしき人

さっきまでのドアを破壊して この子を背負い投げしたとは思えない

優しそうな人…

 

 

「えっ」

 

提督さんが揺らいで見えた

別の人が見える

 

この人は…

 

あぁ…この感じ…

何故か懐かしい…

 

あの人は元気かしら

 

あの人…が誰かも思い出せないが こんな暖かい人だった気がする

もう少しで…思い出せそうなのに…

不思議な人…

 

思い出したい…

 

「あの…手を握っても…?」

 

「ん?手か? ほい」

と手を差し出してくれる提督さん

私はその手をそっと握った…

 

暖かい…のかな ふふ 感覚なんか無いはずなのに…

 

「…ああ…そうか…」

 

思い出した…

 

 

この人は…

本当に不思議な人…

でもお陰で… 行けるわ…

 

 

「ん?お前……………」

 

 

「ええ…残念だけど…お別れみたい…ふふ 」

 

艦娘はどんどんと透けて黄色い光に変わって行く

 

「……探し物は見たかったのか?」

 

「ええ、ありがとう、ここの提督さん…ほんの少しだったけど本当にありがとう」

 

「生まれ変わったら…また会いに来てくれ」

 

 

ええ…そうするかも…

 

 

 

この人にあの人が見える…

ずっと探していた…私の…大切な人…

 

あぁ………

そこに居たのですね……提督…

 

ずっと…探してました 優しい提督さんのおかげでまたあなたに会えました…提督……あぁ…提督…

とても…暖かいです

 

 

ーーーごめんね…***

 探してくれて…ありがとうーーーーーー

 

 

 

艦娘だった名も無き者は光となって消えて行った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次はお前か?」

 

「…あなたは……一体…」

 

「お前は分かってんだろ?…もうその鎮守府が無いことを…」

 

「ええ…あなた、いつから分かってたの?どこで?」

 

 

「その胸のワッペンかな… 少し前にな…資料で読んだんだ…」

 

独特なマークのワッペンだった

 

 

 

「仲間の為だったんだろ?ワザと忘れたフリをして…ずっと一緒にいたんだろ?…じゃないとアイツはずっと成仏出来ず1人ぼっちだったもんな…優しいなお前は…」

 

「仲間だからね…それにあなたこそよ…こんな奇跡が起こるなんて…本当にありがとう…」

 

「え?どゆこと?」

とウチのメンバーは分かっていない様子だった

それでも俺は話を続けた

 

「みんな待ってんだろ? そろそろ行けよ」

 

「ええ」

 

と名も無き艦娘が言う

 

「提督程じゃないけど…あなたも素敵な人よ…もし生まれ変われたら…あなたと一緒に戦っても良いわ…」

と手を握ってきた

 

「いつでも待ってるよ」

 

 

「ありがとう…私も…ようやく会えたわ… やっと触れられた…提督」

 

 

 

 

彼女達のいた場所には

何も残らなかった

 

 

 

彼女達は…きっと笑えたんだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督…?」

 

「怪談話から…こうなるなんて…何かしんみりしちゃったな!」

「あの子達、提督に会えたかな?」

 

「会えたんじゃないか?…いや会えたさ」

 

「何でわかるの?」

 

「何でダーリンに触って やっと触れられた って言ったノー?」

 

「さあな!」

 

「教えてよ!」

 

「その前にドアの修理だな」

 

 

 「えええーーー」

 

 

 

 

 

 

 

約8年も前の話

ある鎮守府が深海棲艦の大侵攻を受け崩落した

しかし

その鎮守府艦隊は住民や街を守り切った

 

 

提督や艦娘達の命と引き換えに

その街では提督、軍人、艦娘は街の英雄として語られていた

若年ながら街を守り抜いた誇り高き英雄と

 

 

その誇り高い提督は………

 

 

 

 

「ありがとう」

そう聞こえた気がして

心の奥が少し暖かく感じた…

 

 

そんなある日の夜だった

 




救に重なる提督とは?



次回は少しだけ逸れます
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