提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜 作:ふかひれ
私は提督が好きだけど好きじゃない。
提督は私達姉妹から金剛お姉様と榛名を取ったから…
でも、霧島も…結構提督の事を好いている。
これは八つ当たりなんだろう…
寂しいから…
私は姉妹の作る料理が…好きだ。
提督のたまに作ってくれる料理も…好きだ。
私も…料理が好きだ。
でも…私は料理が下手だ…。
一生懸命にカレーを作っても…誰も食べてくれない。
食べると…倒れるから。
嫌々でも食べてくれるのは提督だけだったりする。
「何で…提督は食べてくれるんですか…。皆、嫌がるのに」
「ん?一生懸命作ったんだろう?なら食べるさ。それに最近は少しずつ良くなってるぞ?」
提督も最初は胃薬を装備して居たが最近は手ぶらで食べてくれる。
それが少し嬉しい…
間宮さんと金剛お姉様は、
"相手の事を思って作る事が一番の隠し味"
と教えてくれた。
よくわからない…。
好き!って気持ちとか…大切って気持ちで美味しくなるの?
愛情がスパイスの代わりになるの?
って思ってると…
「そのうち比叡にもわかりますよ」
と言われた。
今日も試食をお願いした。
美味しいものに美味しいものを足したら美味しくなる訳ではないと言われた…。
今日も試食をお願いした。
コゲがひどくジャリジャリ言うらしい…
火加減を覚えろとの事。
今日も試食会お願いした。
野菜のえぐみがうまく消えてないらしい…
下処理を覚えなおそうとの事。
今日も試食をお願いした。
少しはマシになったらしい!!
何か足りないらしいけど…。
今日は試食をお願いされた。
2つのカレーを食べ比べて欲しいとのことで…
1つ目…美味しい… うん、美味しい
2つ目…何これ…すごく美味しい…!!
こっちの方が美味しい…です。
「それさ…全く同じ作り方してるんだぞ…使ってるものも同じだしな」
え?
そんなはずはない!この2つ目の皿の方が…遥かに美味い!!
なんで?
どうして?
提督は1つ目の皿を指差して言った。
「コッチは淡々と作った」
そして2つ目の皿を指差して言った。
「こっちはお前に美味しいと言ってもらいたくて作った」
こんなにも…違うのですか?
…
今日も試食をお願いした。
めっちゃ辛いけど具材の大きさはよくなったと褒められた。
あとは余計なものを入れないようにと。
今日も試食をお願いした。
冒険は控えようね?
と、優しく言われた。
提督…提督は何でそれでも食べてくれるのですか?
「お前の料理の腕が少しずつ上がって行くのが…最近の楽しみの一つなんだ。お前の最高のカレーを食べたいんだ」
ドキッとした…
いや!私は…お姉様一筋……のはず。
提督…に美味しいって言って欲しい…。
いや!
コレはお姉様達を喜ばせる為!!
でもその前に提督に…
うーっ!!!
今日も試食を…
「ん? 何かこの前より数段美味しくなってるぞ?」
「え…」
「まだまだ…荒削りな感じはあるが…楽しみもそう遠くなさそうだな」
少し…いや…嬉しかった!
「任せてよ!提督!比叡、頑張ります!」
さて今日も…お願いを…
誰かと話してるのかな?
提督と…金剛お姉様?
「比叡……の レー」
「ダメだな…ありゃ…」
「………ですネー」
「無駄…………やめる……言う」
え?
私の…カレーはダメだったの?
もう…ダメなの?これ以上は…
もう無駄だから…やめろって言うの?
悔しかった。
あんなに少しずつ褒めてくれたクセに…裏では…
提督なんか!お姉様なんか!嫌いだッ
私は走って部屋に戻った。
次の日
提督が話しかけて来た。
「よ!比叡!今日のカレーの出来は?っておい!何で捨ててるんだ!」
「…失敗作です!どうせ私には無理なんです!」
「おいおい!比叡!どうしたんだよ!」
「チッ…放っておいて下さい!どうせ私には無理なんです!!馬鹿にして楽しかったですか!?提督なんか!大嫌いです!!」
言ってしまった
…でも提督が悪いんだ…提督が…
私は部屋に帰りますと言い帰った、
コンコンと部屋に誰かが来た。
お姉様…。
「比叡…ダーリンに聞きました…何故そんな事を?」
「お姉様も…提督の味方なんですね!もういいじゃないですか!
どうせ私なんか料理も上手くならないですよ!みんなして…陰で悪口言って…皆!大嫌いです!!アイツも陰で言うも!馬鹿にしてさぞ!楽しかったんでしょう!!」
パァン…
一瞬何が起こったかわからなかった。
少しして頬に痛みがやってきた。
え?なんで?と思っていると…
目の前には、
涙を流しながら怒るお姉様が居た。
「お、お姉様…?」
「っ!結局は暴力ですか!?お姉様!結局お姉様も同じじゃないですか!!!!!」
「何ですカ!比叡…提督は…提督は!」
「誰もアナタの事を悪くいってまセーン…」
「…知りません!陰で私は無理だとか!料理するのが無駄だとか!!!!お姉様も嫌いです!!!」
「比叡…」
私は逃げ出した…
「比叡お姉様?入りますね?」
榛名…
「聞きましたよ…」
「榛名も馬鹿にしにきたの?」
「いいえ?私はお姉様が頑張ってるのを知ってます…それは提督や金剛お姉様も同じですよ?」
「嘘よ!だって!もう比叡のカレーはダメだから!無駄だからやめるように言うって提督と!お姉様は話してたじゃない!!」
「……?比叡お姉様??」
「何よ!!!」
「お姉様は…その勘違いなさってますよ?」
「は??何よそれ!」
「聞いてください…私、その場に居ましたから…」
「お姉様とダーリンは…
「ダーリン、比叡の作るカレーの野菜なのですが…」
「傷んでるな…ありゃ ダメだな使うのは」
「もったいないから無駄にしたくないが コレを使うのはやめるように言うかー…」
「デスね」
と言う話をしてたのですよ?」
「え?」
野菜の話?
なら私は… 勘違いで?
金剛お姉様が扉を開けて入ってくる
「勘違いさせてごめんなさいデース…」
「お姉様!?…ごめんなさい…お姉様…ごめんなさい!!!!」
「…いいんデース ごめんね比叡…提督は……比叡の料理の成長を1番楽しみにしてマース…比叡のどんな料理も…ちゃんと食べてマース」
提督が残したことはなかった。
どれだけ倒れようと…美味しくなかろうと絶対に食べきるのだ。
下手すりゃ鍋の残りまで…
そうだ…提督さんは!?
部屋に来た霧島に提督の居場所を聞く。
「お姉様!提督なら…その……」
「言いなさい!!」
「比叡…お姉様の作ったカレーを食べてます…」
は?
有り得ない!だって…カレーは
捨てたのだから!!!!
走った。
提督のところへ。
「て!提督さん!」
「んお? 比叡…どうした?」
提督は…カレーを食べていた!私が…捨てたカレーを!!!!
「なんで?捨てたのを食べてるんですか!!!」
「だって…お前が一生懸命作ったカレーじゃないか」
あろうことか…提督は
捨てたカレーをよそって食べていたのだ。
「バカじゃないんですか!!!」
「バカはお前だッ!!」
「お前が一生懸命作ったんだろう!?いかなる理由が有るとはいえ、それを捨てるなぞ……その方がバカだ!!例え出来が悪かろうと…お前が一生懸命作ったものに変わりはない!!お前の頑張りを!お前が否定してどうするッ!!」
初めて提督に怒られた…
そして彼は真顔で言った。
さも当たり前だと言わんばかりに…
この人だけだった…。
いつも多く作るカレーを食べきってくれるのも、周りに食べよう!と勧めるのも…。
私に寄り添って、味付けとか…下処理とか…教えてくれたのは提督さんだ?
お姉様以上に…この人が…。
あぁ…ああああああ!!!
「ごめんなさい!提督さん!ごめんなさい!うわぁぁぁん」
「…よしよし」
「わだしの…がんちがいで…ひどい事をいっでごめんなざいーでいどぐうううううう!」
「あー…嫌いかあ… 大丈夫だ!気にしてないぞ?」
訳を話した。ひたすらに謝った…
提督はただ、良いよと、慰めてくれた。
「また…カレー…食べてくれますか?」
「何いってんだ…当たり前だろう?」
提督の笑顔の返事が…嬉しかった。
今日こそは…絶対に!!
色々と思いを巡らせながら作る。
日頃の感謝と…………少しだけ…の愛の気持ち…込めて…
美味しいって言って欲しい。
私のカレーで元気に頑張って欲しい。
認めたくないけど…好きなんだろなあ…。
もちろん…お姉様や榛名、霧島の次にだけど!
お姉様を…妹達を泣かしたら許さないってのは変わらないけど!
ううん。
やっぱり誤魔化すのはやめよう…。
私は…提督さんが好きだ!
毒づく私を笑顔で支えてくれて。
捨てた料理まで…食べてくれるような人を…嫌えるはずが…ないじゃない…。
あの人の笑顔を見たい!
あの人と笑う姉妹が見たい!
皆の隣で私も笑いたい!
だから…その想いを込めて作ろう。
「提督さん!カレー…食べます?」
「おお!へへ…待ってたぜ!」
「おっ!?いつもと違う感じだな?」
「よくわかりますね!?」
「お前の表情か…なんか違うからな……いただきます!」
パクッ…
もぐもぐ…
「比叡…」
何だろう…
ドキドキする…
提督の手は止まったままだった。
「よく…頑張ったな!とっても…美味しい!幸せな味だ」
「………」
その言葉が…こんなに嬉しいものだとは思わなかった。
自然と涙が溢れてきた。
「おい!?比叡!?」
違うの…嬉しくて…嬉しくて…。
うわぁぁん…!
「おおい!泣くなよ…」
喜びの涙を少し流した。
提督はちゃんと食べきってくれた。
そして…よし!と提督は立ち上がった。
そして…。
「おおおおおい!皆ァァ!!!!比叡のカレーが!!めちゃくちゃ美味いぞおおおおおお!!!!」
と鎮守府内を走り回った。
「美味いぞ!食べてくれえええ!」
ひえええええ!
「恥ずかしいですって…ていと…」
提督さんは泣いていた。
泣きながら皆にカレーを勧めてくれていた!
「恥ずかしい!?違う!胸を張れ!お前はやりきったんだ!」
その姿と言葉にまた泣いた。
2人で泣きながら皆にカレーを勧めた。
しかし、皆…なかなか前に出てくれない…戸惑っているのだ。
そんな時
「頂こうかしら」
赤城だった。
「勧めといてですが…ぐすっ…いいんですか?」
「ええ…だって 凄く幸せそうな匂いがするもの」
どうぞと、よそって渡す。
赤城は無言でカレーを一口食べた
「うっ…どうですか?」
「とっても…美味しいわ…凄く幸せな味です」
「……!!」
全て食べきり
頑張ったのね…と頭を撫でてくれた
「おかわりは…あるかしら?」
「……!!」
余計に涙が出た。
「ばい…ありばずぅ!!」
「よかったな!ひええええ!!」
「よがっだでずううう」
「ハーイ!」
「私達もー!」
「頂きます!」
………
「比叡…!やっぱりアナタは自慢の妹デース…」
「美味しいです!お姉様!」
「……」(無言で泣いている)
「お姉様…!皆…」
姉妹で抱き合う。
そして。赤城さんと姉妹と私達を見たからなのか…
「…私も!」
「ウチも!」
と沢山の人が食べてくれた。
赤城さんがこちらを見てニコッと笑いかけてくれた。
皆は口々に美味しい!すごい!
また食べたいと言ってくれた。
こんなにも嬉しいのか…?
「提督、間宮さん!金剛お姉様!ありがとうございました」
「料理に大切なもの…分かった気がします…食べてくれる人への愛情ですね!」
「よくわかったネー」
「はい!私も…気付きました!私…提督さんに食べて欲しくて頑張りました! 私……提督さんが好きです」
「!?!?!-」
あのお姉様ファーストの比叡…が!?
と、皆は驚いた。
しかし、
「ライバル…ね 私達も負けないわ」
「ヘーイ!ダーリンは渡さないネー!!」
誰も比叡を笑う人なぞ居なかった。
皆笑顔だった。
「むっ!負けません!!私、恋も、戦いも!気合い!入れて!頑張ります!」
それから…月に一回、月曜日と金曜日に食堂メニューに
私のカレーが追加された作るのは大変だけど… 凄く嬉しい。
幾度となく研鑽され続けたカレー。
その時出されるカレーは諦めずに直向きに頑張った彼女の努力の結果の結晶であると…皆は知っている。
「ご馳走様でした」
「提督さん!ありがとうございました!」
「比叡の頑張りの成果だろ?」
いいえ…アナタのおかげなんですよ?
あなたはきっと否定するでしょうけど…
「提督!!」
「んー? ーーーっ!!!??」
「えへへ… 言ったでしょ?恋も、気合い、入れて!頑張ります!って」
「提督さん…大好きです」
提督は 口に手を当て、ポカンとしたまま動かなかった
記念すべき?80話目は、比叡…のデレ回
ドラマCDやらアニメやら見た時から描きたかったネタ
努力は決して裏切らない…訳ではないが
報われる時はやってくる
ってのと
料理は愛情!がテーマでした
お楽しみ頂けたでしょうか?
比叡は四姉妹の中で最後に来たので、ある意味思い入れがあったりします(๑╹ω╹๑ )
まさかもう80話越したとは…
色々好き放題書きましたが…皆さんのお好きなエピソードありますか?
あったら嬉しいです 是非聞きたいです
いつも通りです!
お気軽にコメントや評価等お待ちしています(๑╹ω╹๑ )よろしくお願いします!