提督の鎮守府生活 〜最果てと呼ばれた西波島鎮守府での日々〜   作:ものかき

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全3話程?


81話 鎮守府 料理対決 ⑧ 決着〜提督のプチ旅行 ①

想定外なんですよ!!!!!

まさか提督選ぶ人が多いなんて!

 

 

 

 

さて…

結果発見の時間です

 

 

青葉から渡された紙に優勝チームの名前が書かれていて

俺が発表するようだ

 

 

 

「では…発表します

 

優勝は…

 

 

 

 

え?

 

 

俺…??」

 

 

 

 

 

「俺エエエエエエエエ!?!?」

 

 

「はい! 3度も凄い料理を食べながら…死ななかったあなたです」

まあそうだわな…と拍手が送られる…

 

納得がいかない…と言う顔をするが

…これ以上の抵抗は意味がないことを悟る

 

 

賞状とトロフィーを受け取り

拍手で見送られ

 

それを…執務室に飾る

 

ちなみに料理もしていないのでメニュー化は無し

秘書艦もそもそも俺ができるものではないので

 

副賞として

3日間の完全休暇をもらった

 

ぶらりと…旅行でも行ってみては?

との事だ

 

ただし 1人だけ護衛を兼ねて艦娘を連れて行ってください

ということで最近の活躍が素晴らしい

金剛が選ばれた

 

「ooh ハネムーンですネー!」

の一言で皆が修羅に入りかけたがな!

 

 

 

 

「何処に行くデース?」

 

「あぁ…1日は決めてるんだ…」

 

 

実は行きたかった場所がある

 

 

 

 

 

 

俺の故郷だ

と言ってもこちら側の世界の…が前に来るが…

 

俺は孤児院の出だ

両親は幼い時に死んだらしい

 

教会の孤児院だった

質素で…細々とやっているところだった

 

院長先生は寡黙で厳しいおばあさんだった

シスターは少し優しい綺麗な人だった

 

 

社会人になってからは給料から少しずつお金を送ったっけなあ…

…そーいや俺の保険金…孤児院に入るようになってるから

少しは恩返しできたかな…?

 

今までとは違い

船だけでなく、珍しく電車やバスを乗り継いで目的地へと向かう為

結構な長旅になる

 

「すまんな…暇だろう?」

 

「ダーリンと一緒ならどこでも楽しいネー」

 

「鎮守府並みに田舎へ行くんだぞー?」

 

と笑いながら道中を行く

 

「コレが…駅弁ってやつデスカー?」

「そーそー ごめんなあ弁当で…」

 

「ノー! てダーリンと一緒なら何でも美味しいネー」

 

「金剛…ありがとうな」

 

 

「さあ…ここからは歩きだぞー」

 

「ハーイ!」

 

金剛と手を繋ぎ歩く

「Oh … えへへ 幸せデース」

金剛は手を繋いだまま腕を組んできた

 

 

 

景色はやはり向こうの世界とほぼ同じらしい

店の名前とかは少し違うが… 何となく慣れた場所に感じる

 

そーそー

高校生の時かな… 良くここにバイトに来たなとか

思い出すと何だか懐かしい

 

 

 

程なくして

それらしき場所に到着する

 

あった…

やはり、少しほどの違いがあるが 

ここがそうなのだろう…

 

 

 

 

「ココは教会デース?」

 

「あぁ…向こうの世界とは名前は違うが…な」

 

 

 

「おや? お祈りですか?」

 

どこかデジャブを覚える人が俺に話しかける

どうやらシスターらしい

 

「いえ…何というか 何だか懐かしくて」

 

「そうなんですか?」

 

その後ろから…

 

 

「お兄ちゃんはだあれ?」

「お客さんだーー」

 

わらわらとちびっ子達が集まる

「こらこら」

と追いかけてきた女の人にもデジャブを感じる

 

 

 

「あら?お客さんですか?」

 

 

「あーーいえ 何と言いますか…」

 

 

「ふふ 何もありませんが…ゆっくりしていってくださいね?」

 

子供達は仲良く遊んでいる

それを微笑ましそうに見守るシスター達

 

 

 

「ふふっ…」

思わず吹き出してしまった

 

「泣いているのかい?」

 

笑ったはずなのに泣いて居たらしい

 

「いや…何だか懐かしくて…」

 

「???」

 

「俺もね孤児院の出なんですよ。丁度ココみたいな感じのね」

 

「まあ!そうなのですね?」

 

「その事を思い出して…ね」

 

 

 

 

俺は昔は孤児院での暮らしが嫌だった

周りには親が居るのに…

この人達も親じゃないのにって

 

お祈りが嫌だった

 

どれだけ祈っても……待ち望んだ人は来ないから

 

 

小さい子のお世話が嫌だった

 

甘える人が欲しかった

 

クリスマスも嫌いだった

俺は皆みたいに願ったものは届かなかったから

 

夜になる度にそう思った

 

明日はお父さん、お母さんがきっと迎えに来てくれるって

結局そんなことはなかったけど

 

 

ずっと嫌だった

 

 

 

 

 

 

でも、今ならわかる

今の俺が居るのは…あの人達のおかげなんだって

 

そして

ごめんね …もう恩返し出来なくて…

と思っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また来てくださいね」

 

「次は遊んでね!お兄ちゃん!お姉ちゃん!」

 

 

 

 

孤児院を後にし バス停まで歩く

 

 

 

 

 

「ダーリンは元の世界に帰りたい?」

唐突に金剛が言った

 

「どうした?何で今そんなことを」

 

「無理してないデス?皆…思ってマス。本当は帰りたい…戦いたくないって、思ってるんじゃないかって」

 

「金剛…」

 

「ごめんなさい…ダーリン」

 

「確かに戦いたくないさ」

 

「…っ」

 

「お前達が傷付くのを見たくないからな」

「だから早くこの世界を平和にしたい……それで皆とのんびり暮らしたいな…って思う 一応な?俺は人生をお前達にあげたつもりなんだぞ?」

 

 

「ダーリン…」

 

「だからお前達のそばに…死ぬまで居るさ」

 

「死なせまセン…守りマース… 私達も死にまセン!ダーリンを1人にしないデーース」

 

金剛が飛びついてくる

不安だったのか?

大丈夫…大丈夫と、頭を撫でる

 

 

 

 

俺達はあの子達を…皆を守るために戦っている…

俺は… あの子達に自分を重ねてしまう

 

せっかく出会ったのに…

何か出来ないのか…

寂しそうなあの顔が頭から離れない

 

 

「なあ…金剛」

 

「わかってマース!ダーリン…!行きまショー!ダーリンのやりたい事は私のやりたい事デース!!」

 

 

俺達は街でありったけの物を買って 教会へと帰った

おもちゃにぬいぐるみ

お菓子に…ごはんに…服に…

 

軽トラも借りたぜ!

 

 

「あら?忘れ物…ですか?  って!コレは」

 

「わぁあ!!すごおい!」

 

「いいのかい?こんなに…」

 

 

「ええ!    さあ!皆!遊ぼうぜ!!!」

 

「「やったぁぁあ!」」

 

「お姉ちゃんも…?」

 

「ハーイ!遊びまショー!!」

 

喜ぶ皆

 

 

思いっきり遊んだ

 

一緒にご飯も食べた

普段はないプレゼントも!お菓子も!今日くらいは!

 

 

 

 

俺のやってることは

偽善だ

気持ちの押し付けだ

 

でも…俺は……

 

 

「ありがとうございます!こんな笑顔を見たのは…久しぶりです」

「あの…どうして初対面の私達にここまで?」

シスターが聞く…当たり前の事だ

 

 

「俺ね 変なこと言うけどね 別の世界からやってきたんですよ

別の世界のココから…この孤児院から 」

 

「…」

 

「恩返しもまだ満足に出来ないまま死んでこっちに来ちゃったから……偽善なんですけど…ここに恩返ししたかったんですよ」

 

 

「信じますよ」

 

 

「え?」

 

「だって…あんなに楽しそうにする皆を見てたら嘘だなんて思えないんです」

「偽善だなんて仰らないでください 私達はとても幸せですよ?」

 

ありがとうございましたと

シスターは頭を下げた

その笑顔にドキッとしたのは…内緒……

ごめん金剛 睨まないで…

 

 

 

 

 

 

あんなに仕事の時は時間がなかなか過ぎないのに

楽しい事はあっという間に過ぎ去ってくれる

 

別れの時は

早くやってくるもので…

 

 

「帰らないでよー!」

「もっと遊んでよー!お兄ちゃん!」

 

寂しがる子供達

泣く子も居る

 

こっちも少し寂しい

 

「ごめんなー!また来るからなあ…」

「また遊びまショー!」

 

「また来てねええ!!」

 

 

またね!と歩き始める

 

 

 

 

 

「軍人さん!貴方の今日に幸あらんことを…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダーリンは寂しそうに車へと歩みを進めた

私はその寂しそうな腕にしがみついた

私が居るヨー

 

 

ダーリンは

ニコッと笑いかけてくれた

あぁ 金剛がいるからな

 

 

 

さあ!金剛…帰るよ!宿へ

 

 

 

 

俺のやったことは気持ちの押し付けだ

偽善だ 自己満足だ

それでも…少しは恩返し…出来たかなあ

 

 

 

まるで大丈夫だよと言ってるかのように

ヒュウと優しい風が一つ 運転席の俺の頬を撫でたような気がした

 

 

 

 

 

 

なあ…金剛

レンタカー返さなきゃな…

 

…デース

 

…延長料金…かかるなあ

 

…デース…

 




救の少しの過去編?

次回はほんのり回(๑╹ω╹๑ )

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