ツツジの花は何れ咲く   作:カラスの餌

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あっつ


13話 スクールアイドルフェスティバル前夜

 

 

 

「よし……飾り付けも終わったな……」

 

 

俺達はある大きなイベントの準備をしていた。いよいよ明日だ、虹ヶ咲の皆がいや…この街の人…全国のスクールアイドルが楽しみにしているイベント…

 

 

 

スクールアイドルフェスティバルが!!

 

 

 

「ふぅ……流石にでかい木材だったり、金属類を一人で持つのは流石に疲れるな……」

 

 

俺は一人やることを終えて、のんびり座りながら休憩をしていた。街中で工事をして休んでる人たちもこんな気持ちなのだろうか。

 

 

「にしても…俺が留学…か……」

 

 

俺は、このスクフェスが終わったら、長期に渡る海外留学をすることが決まっている。

 

 

……それに、歩夢も何やら大事な話があるって……

 

 

俺の中では何か少し胸騒ぎがした。誰か欠けてしまう、そんな気がした。せっかく一つになったピースがバラバラになるのが怖い…。

 

 

————-数日前帰宅途中

 

「ねぇ…皐月君……」

 

 

「どうした、歩夢…悩み事か…?」

 

 

歩夢は少し暗い顔をして、俺の名前を呼んだ。この時点で、良い話が降ってくるとは俺は思えなかった。

 

 

「あの……ね……実は……」

 

 

歩夢は言葉を詰まらせた。なにか喋ろうとする度に顔をどんどん下げてしまっていた。そしてその顔には涙が少し浮かんでいた気がした。

 

 

「無理に言わなくていいさ……歩夢……きっと大切な事なんだろうが…言いにくいのだろう…なら、話せる時でいい…その時にまた聞かせてくれ…」

 

 

流石に無理をさせて言わせる訳にもいかないと思い、俺は少し歩夢に気持ちを余裕を与えようと、無理強いはしなかった。

 

しかし、俺の頭の中から、歩夢の事が消える事は決してなかった。

 

 

「何か…悲しいことでもあんのか…?」

 

 

分からない…俺は人の気持ちを感知するのがあまり得意ではない。何故なら幼い頃に感情をほとんど消されたからだ。

 

今は、以前みたいに楽しいとか悲しいとか、そういうのは分かるが、しかしながら俺は人の気持ちを汲み取るのが下手な自信がある。

 

 

「って……せっかくの歩夢や皆のステージを作ってるのに、俺が暗いんじゃ、陰気臭さが残ってしまう。今は楽しいことを考えなきゃな」

 

 

休憩を終えた俺は独り言を言いながら、立ち上がり、すぐさま次のステージ作りへ取り掛かった。

 

 

にしても、この学校は本当にすごい。生徒数もそうだけど、同じ部内同士の部員達の協力プレイで、どんどんそれぞれのステージを完成させていた。

 

 

……これがチームワークか……

 

 

「って……あれは高咲…?と、変な男?か?宣伝もしてる最中に…絡まれたのか…?」

 

 

作業をしてたら、校門付近で突如高咲が誰かと話しをしているのが目に入り俺は一旦手の動きを止めて、高咲達の会話に耳を傾けた。

 

 

「あ、あの……フェスティバルは明日ですし、私今準備中なので…」

 

 

「えぇ〜良いじゃん。ちょっとくらいさぁ」

 

 

見た目は、ただのチンピラって所か、髪は安定の金髪で、いかにもチャラそうな男だった。

 

 

「こんな所でビラなんか配ってるよりも、俺と遊んだ方が絶対楽しいぜ??」

 

「ほ、ほんとに…いいですから…その、先生…呼びますよ…?」

 

 

高咲は震えながら、声を振り絞りそう言った。しかし男はやめようともせず

 

 

「えぇ〜なら、このまま連れてこっかなー。」

 

 

「え?!や、やめてくたさいっ!」

 

「ちっ……流石にまずいな…止めに入るか……」

 

 

そう言うとチンピラは、高咲の腕を掴みその場から連れ去ろうとした。

 

高咲は全力で腕を離そうとしてたが、この男の力には当然敵わず、逆にその行為が仇となった。

 

 

「ほら、抵抗しないでこいよ」

 

「や、やめて!!は、離してください!」

 

 

やばい、本気で連れてかれる。ここは教師を呼ぶよりも俺が出た方が早いだろう…しかし、少々手荒になるかもしれんが…

 

 

 

「まぁいいか」

 

俺はそのまま高咲達の方へ走って向かった

 

 

「やめてっ!ほんとに離して!!」

 

 

「あー!うるせぇな!!少しは黙ってろ!」

 

 

そう言うと、男は高咲の頬に割と強めのビンタをした。そして、それを見た俺はと言うと

 

 

 

……この男には手加減は不要…制裁を与えるべし……

 

 

 

「へへ、少しは静かになったな…ほら、さっさと…「さっさと高咲を離しやがれ、このクズが!!」

 

 

そう言うと俺は男の後ろから思いっきり、蹴りを入れた。当然俺の蹴りは普通の人とは比にならん威力だし、何より不意打ちだ。相当きいただろうあ

 

 

「あ、浅霧…君…来てくれたの?」

 

 

「ったく………当たり前だろ…寧ろ放って置く訳にはいかんだろ…」

 

 

高咲は涙目になりながら、俺に抱きついた。うん、この現場を歩夢に見られたら色々誤解を生みそうだったから、ほんとに別の場所でよかった。

 

 

「ってー…このやろぉ!!てめぇ、いきなり何しやがる!」

 

 

「猿が喚くな。耳障りだし目障りだ…早く消えろ」

 

 

「あぁ?![

 

そう言うとチンピラは更に頭に来たみたいで、俺たちの方を思いっきり睨みつけてこういった。

 

「クソが……さっきはピンクの髪の子にも声をかけたが振られるしよぉ…そして、次はコイツと来たらてめぇに邪魔されるしで最悪だ」

 

 

「………そのピンクの髪の毛って…片方団子結びにしてる子か…?」

 

 

「あぁ?だったらなんだって言うんだ?」

 

 

コレはもう手遅れだ…こいつは完全に俺を怒らせてしまったようだ。

 

 

「歩夢に……人の彼女に手を出すとはな……」

 

 

「浅霧……君?」

 

俺を見た高咲は何かを察知したみたいで、すぐに俺の後ろへ下がった。

 

 

「おいガキ…てめぇは何も分かってねぇようだから、言ってやるよカッコつけてると痛い目にあうぜ?」

 

チンピラは笑いながらそう言ってくるが。俺はそれを聞いて笑いそうになってしまった。

 

「はっ…何も分かってないのは貴様の方だ…さぁ、やるんだろ?とっととかかってきな…」

 

「じゃあそうさせてもらうかぁ!!!」

 

 

そう言うと、男は大きく振りかぶり俺に殴りかかろうとしてきた。しかしそんな大振りが当然俺に当たるはずもなく

 

 

「どこを狙っている、俺はこっちだぞ」

 

 

俺はその攻撃を難なく避け、一瞬で後ろへ回り

 

 

「いいもんくれてやるよ……そらよっ!!」

 

 

振り向かれると同時に、顔面に加減をした重い蹴りを一発プレゼントをしてやった。

命中して直ぐに、男は顔を抑えそのまま膝まづいた

 

「選べ……ここで俺に殺されかけるか…今すぐにここから消えるか…を」

 

 

「ひっ…!!き、きえます!!も、もう二度としないので…」

 

 

そう言って、男は一目散に逃げていった。

 

 

「高咲……大丈夫か?」

 

俺は、そう言って高咲の叩かれた方の頬に手を伸ばし腫れてないか見たが……

 

 

「えっ…あ、浅霧君っ…その…」

 

 

突然顔を赤くしだしたので、正直分からなかったが多分大丈夫だろう。

 

 

「うん、顔は赤いが、多分問題は無いだろう。それより歩夢の所へ行かなければな…」

 

「か、顔が赤いのは浅霧君が…ってそうだね歩夢のところへ」

 

 

さっきの男に声をかけていられてるのなら、もしかしたら…と嫌な感じが胸の辺りを支配した

 

そして歩夢を見つけた俺は

 

 

「歩夢!大丈夫か?!」

 

 

「え、さ、皐月君っ?!ど、どうしたの?」

 

歩夢を見つけ声をかけたが、歩夢は特になんもなくいつも通りの歩夢で明日の準備をしていた。

 

 

「変な男に絡まれなかったか?金髪の…」

 

 

「?なんのこと……私ずっとここにいたから……」

 

「え?」

 

歩夢はどうやら、ほんとに知らないみたいだ。横で一緒に作業してた人も歩夢ちゃんはずっとここにいたって言ってるし

 

そして、一応高咲の身に起きた事を話した。

 

 

「なるほど…それでその人が私と同じ髪の色の子にもって…そして私を心配した皐月君が、全速力で私のところに来たと…」

 

多分これは、あれだ、俺の早とちりだったみたいだ。

 

 

「まぁ……無事なら、それは何よりだ…よかった…」

 

 

「ふふっ…でも嬉しいな、そうやって想ってくれてるんだから」

 

 

歩夢は優しい笑顔でそう言った。そして次の瞬間

 

 

「皐月君…皐月君だけには言うね……この間言いかけてたこと…」

 

 

歩夢は少し暗い顔になった。そして次の瞬間俺は驚く事を耳にするのだった。

 

 

 

 




ねんむ
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