「お前……それ…本当…なのか?」
「うん……ホントだよっ!皐月君だけには言っておきたくて…」
歩夢の口から出た衝撃の発言、俺は動揺を隠せずにはいられなかった。
だって…その伝えたかった内容というのが……
……ちょっと時を遡って
「私ね…ううん…私もね、留学することになったの!行先はその…皐月君と同じイギリスのロンドンで…」
「え?え……ええぇぇぇえ!?!?!?」
自分で言うのもあれだが、俺は普段基本的に感情を表に出さないし基本的に物事で動揺することは無い。しかし、このような予想とは百八十度違う、事を言われると流石に俺でも隠しきれなかった。
「良かった…それなら一緒にいられるな…」
「うんっ!だから、これで寂しくならないねっ」
歩夢は優しい笑顔でそう言ってくれた。俺としても歩夢と離れるのは嫌だったから、朗報であった。
「そう言えば留学先はわかったが泊まる場所は、どうするんだ?」
「皐月君と同じ場所…って言いたいけど…まだそこは決まってないの…」
「まぁ、決まらなかったら俺の所に来いよ。歩夢ならいつでも歓迎だ」
「ふふっ、ありがとっ。皐月君っ♪」
「あー!ここにいたー!浅霧くーん!!」
突然、離れた場所から俺を呼ぶアホ…じゃなくて高咲の声が聞こえた。
「なんだ、高咲。そんなに慌てて何かあったのか?」
「ゆ、侑ちゃん…どうしたの?そんなに息を切らして…」
高咲はどうやら急ぎで俺の事を探してた見たいで息を切らしていた。
しかしこの顔を見る限り、決していいことでは無いのは察知した。
「高咲、ただ事では無さそうだな…何かまた起きたのか?」
すると高咲は、その通りと言わんばかりに、口を開いた。どうやら俺も関係してることみたいだ。だとしたら非常に面倒だな。
俺は面倒事は嫌いだし、目立つのも嫌だ。なんて日だ
「さっき、私に声掛けてきた金髪のヤンキーが…」
「何…?またあいつが…?」
「さっき、皐月君が言ってた人の事かな…?」
高咲は、辛そうな顔で続けてこういった。どうやら表情から察するに相当大事なのは間違いない。
俺が関係してるのなら、やはりさっきの報復か?だとしたら他の人に危害が及んだら俺のせいになる。
「10人近く人を連れてきて…同好会のメンバーを人質に…」
「えっ…」
「なっ?!……メンバーって1人か?」
高咲は更に重い口を開き、こう言った。
「ううん、1人だけ…でも…しずくちゃんが…」
「生徒会や、教師は何をしているんだ…」
「侑ちゃん…流石に生徒である皐月君を出す訳には…ここは先生達に…」
歩夢もそう言うが、しかし、高咲は首を横に振った。どうやら教師も何とかしようとしてるみたいだが、人質を取られてる以上下手に行動が出来ないらしい。
…そりゃそうか……人質も取られてる上うちの生徒が取られてる以上動けるわけないもんな…
「それで直々に来いと言うわけか…なるほど…」
「皐月君……行くの?」
歩夢が心配そうな顔で聞いてきた。
…ほんとにお前は優しいやつだな…だけど、今回ばっかしは相手は俺を要求している。売られた喧嘩は買う気にはならないが今回は俺が折れるとしよう
「歩夢……悪いな…ちょっとだけ遊んで来るよ。なぁに心配は無用だ、すぐに終わらせるからな」
「う、うん……怪我は絶対にしないで…ね?」
そう言って俺は高咲と共に野郎の元へ向かった。しかしこの後俺がいなくなったあと…
「くくく…お前も勿論人質だよ!」
「なっ!?そんな…や、やめて!」
「ダメダメ助けを呼んだら更に酷いことをしちゃうよ?」
俺は歩夢が囚われてることに気付くはずもなかった
〜〜〜〜〜〜
「早く浅霧皐月を出せって言ってんだよ!」
「あなたなんかのために…先輩を…皐月なんかを…」
「あぁ?うるせぇアマだな…お前今自分がどんな状況かわかってんのか?」
私、桜坂しずくは現在囚われの身だ。彼らの要件は浅霧皐月である。
理由は不明だけど、どうやら皐月先輩に深い恨みでもあるようだ。
急に校門の前に、Theヤンキーみたいな人達が現れた途端、その場にいた生徒は直ぐに逃げ出した。
先生達も迎え打とうとしたが、相手は角材や鉄パイプ等昭和の喧嘩漫画に出てきそうな武器ばっかを持っていた。
私も逃げたけど、直ぐに掴まってしまい人質となってしまった。
「それに…あなた達は武器を持って戦うんですね…そんなので先輩に勝てると思ってるんですか…?」
「あぁ?お前…4にたいの?」
「そもそも…数で攻め込んでる怖がりさんごときが人を殺せるとは私は思いませんよ…?」
「んだと…?!…おい…!コイツを痛い目に会わせろ!」
男がそういうと横にいたもう一人の男が、角材を持って来た。
間違いないこの人達は本気で私の事を殴るつもりだ。
「あれれ〜?さっきの威勢の割には顔が青くなってるね〜。まぁたしかにこいつで顔面を殴れば、君のその綺麗な顔は崩れるからねぇ」
「っ……?!」
「ひ、卑怯だよ!女の子相手に何人も囲んで!しかも、たった一人おびき出すためだけに使うなんて!」
「か、かすみさん…!だめっ!」
かすみさんは声を震わせながらも、大声を出してそう言った。でもダメ、それ以上言うと…
「あぁ?ならお前も、こいつみたいになるか?」
「な?!かすみさんは、関係ないじゃないですか!」
「あぁ?!うるせぇんだよ!」
男がそう言うと次の瞬間、私の額付近に鈍い痛みが走った。まるで何かに殴られたような痛み。
「っ………っ…くっ…」
そして、ポタポタと赤い鮮血が、私の前に垂れてきた。
「いいねぇ!その顔最高だよなぁ!!」
男は高らかに笑っていた。この男の顔は人間でもなんでもない。ただのケダモノだ。
「しず子!!」
「だ、大丈夫だからっ…!!」
「でも…っ!!」
かすみさんは泣きそうになりながら、私の心配をしてくれた。よく見ると、かすみさん以外にも沢山の人が見ていた。まるで、これから公開死刑を行われるような感じだ。
「ははぁ!感動の友情ごっこは済んだかぁ?じゃあこいつを…「お前の顔面に食らわせてやるよ…!」
次の瞬間、目にもとまらぬ速度で、男に殴り掛かる人が見えた。そして、その姿が見える頃には男は壁に大の字にめり込んでいた。
「ふぅ………」
あの後ろ姿…もしかして…
「中々良い一撃が入ったな……」
まさか…ほんとに単身で…
「さ、皐月……先輩…?」
「ん?…しずく…大丈夫か…ってお前!その傷!!」
先輩は私の傷にすぐに気づき真っ先に心配をしてくれた。そして拘束も解いてくれた。
ホントに…優しい先輩だなぁ…って違う違う!
「先輩!これは罠です!あの男は先輩を袋叩きにしようと…」
「袋叩き?上等じゃないか。いっちょ相手したかったんだよな…」
先輩の目からは今までとは何か違うオーラを感じた。まるでまた誰かを傷付けられて怒りに燃える人のようだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「さてと………お前らは本気で俺を怒らせたな…」
今俺は人生最大級にキレている。これから先新しい生活の話を大事な大事な彼女と話してる時に邪魔が入るし大切な仲間を傷付けられる前に助けられない自分への怒り。
頭がどうかしちまいそうなレベルだ。
「しずくに怪我をさせた野郎……貴様いつまで、壁に大の字で寝ているつもりだ」
「ぐっ………く、くそが……いきなり殴り掛かりやがって……」
男の頭をつかみ俺は無理やりめり込んでる身体を引っ張り出し頭を持ち上げて、問いただした。
すると訳の分からないことを抜かしたので……
「はぁ…?単身で来いと言ったのは貴様だろう?約束は果たしたが…文句でもあんのか?」
そう言うと、男は黙り出した。
「それに……良くもまぁ俺の大切な…大切な後輩を傷つけてくれたな…あー後お前ら…俺が消えた後…歩夢にも手を出すとはな」
「な、何故それを……っ!あいつは貴様がいなくなった後に…」
俺は、先程胸騒ぎがしたので、念押しでカマをかけて言ってみたが、やはりコイツらは歩夢にも手を出していたらしい。
「今ここで死ぬか…歩夢やしずくを解放して自首するか選べ!」
俺は殺意を込めて、男にそう言った…しかし……
「は、はぁ?てめぇ今自分が置かれてる状況わかってんのか?こんな人数相手に勝てるわけねぇだろ!てめぇら!やれぇ!」
すると、掛け声と同時にガラの悪い連中どもが10人ほど俺に飛びかかってきた。なるほど…しずくが言ってたのはそういうことか…
しかし、馬鹿だな…
「しねぇ!」
ゴリラみたいな男が俺の顔目掛けて殴ってきたが…
「おいおい…そんな大振りで当たると思ってんのかよ…あー…後、ちょっと貴様の体借りるぞ」
俺は難なく交わし、男の足を一発で粉砕そして
「そーらよっと!」
男をジャイアントスイングをして飛びかかってくる野郎共目掛けて思いっきり投げ飛ばした。
多分こいつ含めて7人ほどは倒した。
「まだ俺たちが残ってんだよ!
そして残った3人は俺を囲み、1人は後ろから羽交い締めそして2人は殴って来ようとするが…
「貴様らはホントに…戦い方も品がない…」
まず羽交い締めにしてる奴を上半身の力を使い逆に前に宙返りにし…
「ぐふぉ…!!」
ちょうど腹パン決めようとしてくる奴にタイミングを合わせて羽交い締めにしてた奴に殴らせ気絶させた。
そして最後の一人は
「さぁ、こいよ残ったのはお前だけだ」
男はみるみるうちに顔を真っ青にして
「か、勝てない……無理だ…」
と、目に涙を浮かべながらそう言った。
ふむ、戦意喪失か、なら話が早い。聞きたいことが山程あるから、こいつを利用しよう。
「おい……聞きたいことがあるんだが、話してくれれば手は出さん」
俺が先ず聞きたいのは…
「貴様ら…歩夢をどこにやった…」
すると男は泣きそうになりながら…
「あ、歩夢って…あのピンクのか…??そ、それなら、人気の少ない体育倉庫の中だ…!ほ、本当だ!」
「嘘じゃないな…?」
「ほ、本当だよ!」
男は、嘘は言ってないと言わんがごとくそう言った。
「よし、なら倉庫へ行くか……」
俺は急いで倉庫に向かった。
すると中には…
「さつ…き…く…ん?」
そこには変わり果てた歩夢の姿があった。俺は衝撃のあまり立ちすくんでしまった。
「やっぱり…皐月くんだぁ…よかっ…た…」
歩夢は今にも意識が飛びそうな声でそう言った。それを見た俺はすぐに歩夢に駆け寄り
「歩夢っ!何があった…俺がいなくなった途端何が…」
俺は怒りに震えていた…またしても自分の大切な人が守れない悔しさに自分の不甲斐なさに
制服のワイシャツは破かれ、身体には沢山のあざと殴られた後…見るからに暴力を振られた後だった。
「皐月くんを狙ってる人達に…ね…皐月く…んの秘密を教えろって…」
「なっ…!!」
俺のせいだ…俺のせいで歩夢は……
「でも…何故か外が騒ぎだしたら直ぐにいなくなったんだ…」
多分だが俺が10人倒した事が出回って焦ったのだろう。
「歩夢……ごめんな……ホントにっ…ごめんなぁっ……」
俺は悔しくてついに涙を流してしまった。ほんとに辛いのは歩夢やしずく同好会の皆なのに
すると…
「私…信じてたよ…絶対に来てくれるって……ありがとうね、皐月君…っ」
力の入りにくい体で歩夢は俺を抱きしめた。たったそれだけで俺の中の憎しみの感情が消えてくのがわかった。
そして……
「大好き…」
そう言って歩夢の体から力が抜けた。
ねみぃ!