ツツジの花は何れ咲く   作:カラスの餌

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雨ぇぇえ


9話

ミーンミンミンミン……

 

「・・・・」

 

ミーンミンミンミン…ミーンミンミンミン

 

「・・・・・」

 

ミーンミンミンミンミーンミンミンミンミーンミンミンミン!!

 

「うるせぇ…」

 

季節は夏に入ったということもあり蝉が外で泣いていた。

毎年この時期になるとこいつらのコーラスのせいで、ただでさえ暑いこの季節がさらに暑く感じてしまう。

 

「はぁ…家の窓締めてもこんなに聞こえるのか…外に出たらもっとうるさいのか…」

 

先月俺はあの爆破事件に巻き込まれて俺は足を、負傷した。完治するのにはかなり時間が要すると言われたが、今では大分痛みも引き普通に走れるようにもなった。

 

そんな事件から早1ヶ月…俺達虹学の生徒は夏休みを迎えてそれぞれ自分達のやりたい事をやっていた。

 

「夏休み…やる事ないな…同好会の皆はなんか予定でもあんのかな…」

 

俺はメンバーの予定が気になりスマホを開きLI〇Eを開いた。すると俺が未読のメッセージが100件以上あり俺は少し震えた。

 

「何だこの量は……かすみか…?いや個人からもなんか送られてきてる…」

 

上から順に見ていくと、1番新しいメッセがしずくの1時間前が新しいメッセだった。

 

「とりあえず見てみるか」

 

俺はしずくとのトークルームを開き送られてきたメッセージを見直した。

 

内容は[先輩、夏休み空いてる日ってありますでしょうか?…よかったら一緒に課題を…やりたくて]

 

と送られていた。

 

特に断る理由もないし、今現在俺も暇だ。

俺はすぐさま[俺自身の課題は全て終わって暇だなんなら今日でもいいぞ]と送った。

 

すると秒で既読がつき

 

[本当ですか?!ならあとで来て貰えますでしょうか?待ち合わせは…]

 

と、ここでふと思った。俺がしずくの家に行くのか?と。

別に嫌とかめんどくさいとかでは無い。単純に俺はあいつの家を知らないからどう行けばいいか分からなかったのだ

 

するとしずくは俺の心を読んだのか知らんが、自分の住んでる所を俺にメッセージで送ってきた。

 

「鎌倉…?」

 

俺は突然メッセージの中にあった鎌倉と言う言葉に少し理解するのに時間がかかった。

 

「鎌倉…か…」

 

そして俺はフリーズした

 

 

「はぁ?!?!?!鎌倉だと?!?!」

 

そして現実に戻った。俺が住んでる港区からだとかなりの時間を要する。そして江東区にある学校…

 

「あいつ…どんだけ時間かけて来てんだ…」

 

とりあえずルートを調べて俺は行く事にした。勉強道具などをカバンに入れて俺は支度を始めた。

 

そして追記で1件のメッセージが

 

[あの…帰りかなり遅くなると思うので先輩さえ良ければ…泊まってもいいですよ?両親には伝えてあるので。]と

 

確かに今の時刻は1時あっちに着くのは大体3時くらいと考えてもいいかもしれない。そこで何時間か時間を潰すとなると帰りは夜の8時とかになる。

 

「ここは大人しく泊めさせてもらうか…。」

 

かなり問題点はあるが、俺はしずくに[それ込みでじゃあ準備をさせてもらうと送った]

 

そしてしばらくして準備が整い俺は家を出た…が

 

ミーンミンミンミン!!

 

「・・・・」

 

外に出た途端セミ達がようこそ外の世界へと言わんばかりに盛大にお出迎えをしてくれた。

 

「お前ら…少しは静かにならんのか…」

 

俺はすぐさまイヤフォンを耳につけて音楽を流して蝉の声が気にならないようにした。

 

道中クソ暑かったが俺は無事倒れること無く駅に着いた。俺はそのまま改札を抜けてホームまで行った。

そして数分後にちょうど電車が、来て俺はそれに乗った。

 

「(あいつそういや演劇部と兼部って…言ってたよな…辛くないのか…?)」

 

ふと、何故か俺の頭の中にはさっきからしずくの事ばかり考えていた。

別に気になってるとかそう言うのではない。

 

しかし個人的に引っかかる部分がいくつかあった。

爆破事件の前のあの時の顔…何かを隠してるあの顔…俺はどうもそれが気になっているのと気に入らない部分でもあった。

 

何か悩みでもあるのだろうか。この際だし全部聞いてみるのもありかもしれない。

その代わりと言ってももあれだが俺の昔話でもしてやろうと思う。

 

「もしかしたら、なにか共通点もある…かも…だしな」

 

そうこう考えてたら気付いたらもう乗り換えの駅にまで来ていた。俺は慌てて電車から降り次の場所へ向かった。

 

「何か買っていくか…。」

 

よく考えたら手持ち何もなしはかなりまずいかもしれない。人の家に上がらせてもらうのに何も無いのはさすがに失礼だ。

 

「ん〜…あいつ何が好きなのかな…。」

 

同じ同好会にいても俺はあいつの好きな食べ物とか全くもって把握していない。かなり問題があると思うがそこは俺に免じて許して欲しい所だ。

 

「食べ物じゃなくても良いか…。ヘアアクセとかでもいいかな」

 

俺は一旦そこから立ち去りヘアアクセとか売ってる場所へ向かった。男子高校生がそういうの買うの的な目で見られるのは少々キツかったため俺は早く決めようと思った。

 

「これ…アイツに似合うかもな…」

 

俺はあいつが普段つけてる赤いリボンに似た青いリボンを見つけた。

俺は直ぐにそれを手に取り会計へ向かった。

幸いにもセルフレジだった為店員に引かれるとかそういうのはなかった。

 

「さて買い物も終えたし次の電車は…げっ…後1分後だと?急ぐか」

 

電車が1分後に来ると知った俺は少し小走りでホームに向かい何とか間に合い乗ることが出来た。

しかも運がいい事に座る席も空いていてなおかつ冷房も効いていて、天国だった。

 

「ふぅ…何とか間に合ってよかった…それにしても眠くなってきたな…あいつの最寄りまでかなり時間あるから…寝よ…」

 

しずくの住んでる場所の最寄りまでかなり距離があるため俺は少し寝る事にした。

 

__________

 

 

夏休みが始まって数日が経った。耳をすませば至る所でセミの鳴き声が聞こえるそんな季節になった。

外を出ればすぐにでも汗が出るくらいの気温になっていた

 

「先輩って…お芝居とか好きなのかな…」

 

そんな中私は1人部屋でそう呟いていた。

海外の映画や小説小学生が読まないようなものを私は昔から好きだった。しかしその話をしても皆は私を変わり者だと思い遠ざかっていった…。

嫌われるのが怖くて自分をずっと隠していた…。

 

「っ・・・・」

 

こんな時に、私は何を考えているのだろう。今日はせっかく先輩が来るんだ。しかも泊まりで嬉しい事なんだからもっと笑顔にならなきゃ

 

「皐月先輩は…本当の私を受け入れてくれるのかな…。」

 

話していくうちにわかったことだけど、皐月先輩は物凄く頭が良い。

色々なことを知ってるし、映画とか舞台の知識の量も人並み以上だった。そしていつも的確なアドバイスをくれるし運動神経も凄く高い…そして優しいし…見た目も…

 

「……って何考えるの?!私は…」

 

はぁ…と一息私はため息をついてしまった。

 

「でも知ってるだけで…好きじゃなかったら…どうしようかな…それにあの事もまだ話せてない…」

 

私は爆破事件の皐月先輩の姿を思い出した。そして言われた言葉も…

 

「自分の…好きなように生きて欲しい…か…」

 

まるで親が言うようなセリフだけど、何故かその時の言葉が私に響いていた。

薄々分かってはいたけど皐月先輩は普通ではない。それを証明してるのがあの右目に残った傷だと思う。

 

「きっと何か…辛い事でも…」

 

流石に聞こうにも抵抗がありすぎて私は先輩の目のことも何があったのかわからなかった。

 

「それに…もし本当に嫌な事だったら…」

 

先輩は私の事を嫌いになるかもしれない。

 

「さすがに喧嘩で…出来る怪我じゃないよね…あれは…」

 

不良って事も考えたこともあったけどとても皐月先輩は争いを好む人には見えないし性格的に暴力的では無い

 

「私…どうしちゃったんだろ…人の詮索なんかして…」

 

皐月先輩が、同好会に来てから私は常に先輩の事が頭の中に置いてある。話もしっかり聞いてくれるし…最近になっては笑ってくれるようになったし…。

 

 

 

<しずくちゃんは皐月さんの事が好きだから…>

 

 

私は璃奈さんに言われた事を思い出した。そうか私…

 

「先輩に…恋しちゃってるんだ…」

 

先輩といると自然と笑えるし…話もしっかり聞いてくれるし…楽しいしとても幸せだ…

 

「はぁ…ダメだなぁ私も…」

 

先輩は多分私にな興味なんかない…でも私は先輩の事が大好き…毎日頭の中から離れない…離れたくない…

 

突然私は先輩が他の同好会のメンバーと関わるのが許せなくなった。

私以外の人と仲良くするのが許せなかった。

 

私から遠ざかっていくのが怖くなった…。

 

「嫌だ…先輩が私から離れるなんて…嫌……」

 

なら……

 

 

 

 

 

 

「ずっと2人だけの部屋に……」

 

 

 

 

その瞬間から私は一気に黒い歪んだ感情に呑まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________

 

「…んっ……」

 

一体どんくらい時間が過ぎたのだろうか。現在位置を見ると最寄りまであと少しの所まで来ていた。我ながら調整が上手く出来たものだと少し感心してしまった。

 

「さて…なんかしら送っておくか…」

 

俺はメッセージアプリを開きしずくにもう少しで着くと伝えた。しかしこれも直ぐに既読が付き了解です!とスタンプと一緒に送られてきた。

 

俺はやることが無くしばらくぼーっと音楽を聴いていたが、気付いたらもう最寄りまで来ていた。

 

「ん〜〜やっと着いたぁ」

 

俺は到着した瞬間すぐにしずくにメッセージを送った。するとこれも秒で既読がつき[直ぐに向かいに行きます!]と送られて来た。

 

「………暑いな……」

 

流石に駅の外は暑いので俺は駅の中でしずくを待つことにした。一体どんな服装で来るのか少し想像もしてみたりもしたが、ちょっと俺の想像力では何も浮かばないので直ぐにやめた。

 

「ファ〜……」

 

ぼーっとする事10分後しずくらしき人と1匹の何かがこっちへ手を振ってるのが見えた。

 

俺は走って直ぐにしずくの方へ向かった。

 

「皐月先輩!遠い所からよく来てくれました!」

 

「別に大したことじゃないさ。俺も暇だったしな」

 

俺はあえてその1匹をスルーする事にした。

 

ハッ!ハッ!

 

「」

 

「ふんふふん♪♪」

 

楽しそうな顔で横を歩いてるしずくだが、俺は横の生き物が気になって仕方がない。あえてスルーしようとしたがさっきからこちらを見つめてハッ!ハッ!と息を吐いてるので気になって仕方がない。

 

「なぁしずく」

 

「はい!なんですか?」

 

「お前の連れてる…それは…」

 

「オフィーリアの事ですか?」

 

「オフィーリアと言うのか…」

 

そう呼ばれてる生き物は名前を呼ばれるとしっぽをブンブン振っていた。

 

「私の親友でもあり家族なんですよこの子は。」

 

「なるほどな…。この子も幸せだろうな。しずくのような優しい人が飼い主だと…。」

 

「そ、そ、…そんな事は…」

 

「そんな事あるぞ。名前を呼ぶと嬉しそうに尻尾を振ってるじゃないか」

 

「その…聞き分けが凄くいいんですよ…この子…」

 

「へぇ〜いい子に育ててやったんだな。それと少し触ってみても良いか?」

 

「はい!全然平気ですよ!むしろ触ってみてください!

 

俺は恐る恐るオフィーリアを触ってみたが、決して嫌がる素振りはせずに思いの外大人しかった。

 

「毛並み綺麗だな…」

 

「ブラッシングは欠かさずにやってますからね」

 

「良かったな、オフィーリアこんな優しい飼い主で。」

 

最初はどんな性格か知らなかったが、思いの外しっかり躾をされてるみたいで凄くふれあいやすかった。

 

そしてしばらく歩いた後にとある家の前でしずくは足を止めて、中に入った。

 

そして

 

「どうぞ、入って下さい。先輩」

 

「お、お邪魔します…」

 

初めて人の家に上がらせて貰ったので俺は少々緊張していた。

 

「ヨウヤク…フタリキリニ…フフ」

 

家に入ってからというもののしずくは何故か独り言が多く少し不気味だった。

 

「お前…さっきから…何言ってんだ…?」

 

「はい?私何か言ってましたでしょうか?」

 

笑顔で答えるが、その後ろにはなにか隠れている気がした。

 

「・・・・・」

 

そしてしずくは更に歩を進めてとある一室の前で止まり。

 

「ここが私の部屋です♪」

 

と言って中へ一緒に入ったが……

 

「暗いな…」

 

辺りは電気も着いていなくて暗くて俺は少し困惑をした。さっきのしずくの様子と言い…何か俺の中で不安が過った。

 

そして

 

「先輩♪少し痛いけど…我慢して下さいね?」

 

「っ?!がっ?!」

 

突然首あたりに電流が走り俺は意識を手放した。

 

「先輩は……私だけの…先輩になってもらいますから…」

 

暗い部屋の中で一言少女はそう言った。

 




ねむい
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