deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第11話 計画

 予知能力でもあるかのようにアムロが指示したコースを進んだコムサイは途中連邦&ティターンズのランダムパトロールの艦隊に出くわすことは無かった。こうなればステルス処理が施され必要最低限の数回の噴射をしただけのコムサイを捕捉することは至難の業で一度の戦闘をすることも無く地球の防空圏内に入り込んだ。

「進路良好。敵影無し。大気圏突入のコースに入ります」

 ルーが慎重に降下ポイントからの突入コースを算出し機体をコースに乗せていく。若輩ながらも危なげな様子は全くない。

(優秀だな。流石彼女もニルヴァーナが見出したニュータイプ候補。彼女もまたARe計画に必要な人材だな)

 表向きはエゥーゴ参謀本部がアムロの要請を受けて回せる人材を廻したことになっているが、実は裏ではアムロが手を回していた。頼まれたエゥーゴ上層部のお偉いさんは英雄色を好むかとニヤニヤしていたが、その真意に気付くことはなかった。

 エゥーゴに所属しブレックス等に表向き協力するアムロ。ニルヴァーナ、ARe計画、アムロは何を企むのか? 物語が進んで明かされる日は来るのだろうか。それとも志半ばで倒れるのだろうか、それはまだ誰にも分からない。

 アムロはルーの潜在能力を確認するとルーに声を掛ける。

「了解。ここからは君に任せて僕は後ろに行ってMSでスタンバイする」

「まっかされました」

 ルーの元気な返事にアムロはコムサイの操縦席から後部の格納庫のプロトリックディアス改(PRD改)に向かった。

 コムサイはそのまま大気圏に突入を開始し漆黒から赤く染まっていくのであった。

 

「大気圏突入成功。減速します」

 灼熱に染まっていたコムサイの外壁が元の黒色に戻っていく。

 ルーは直ぐさま回復した計器類を確認して位置を割り出す。

「コース誤差許容範囲。目標地点上空です」

(ハヤト来てるよな。まっ今更後戻りも出来ないがな)

 アムロはルーからの連絡を受け作戦を開始する。

「出来るだけ減速はするな。PRD改を射出後は上空で待機。此方の援護をする必要は無い」

「少しくらいなら手伝いますよ」

「いや駄目だ。この作戦の要はコムサイだ。君はコムサイの安全のみに注力してくれ」

「防空隊が来たらどうします?」

 幾ら連邦辺境で平時で緩みきっているとはいえ、上空に侵入されたことを察知した地球連邦軍空軍が戦闘機を派遣してくる可能性は高い。

「出来るだけ交戦は避けて地上に誘導してくれ、此方が援護する」

「了解です。

 では射出カウント始めます。

 3、2、1、ゼロ」

「アムロ出る」

 コムサイからPRD改が射出された。

 PRD改。両足と両腰にウェストーミサイルポッド、左肩にミサイルポット、右肩にキャノン砲、主武装はガトリングガンとハリネズミのような姿は後付けオプションで出来るだけの実弾火器を満載している明らかに機動性を捨てた重量過多な機体であった。

 射出され弾丸の如く地上に降下していくPRD改は空気抵抗で機体が振動を起こす出し下手すれば空中分解を引き起こしかねなかった。

 だがそれでもアムロは減速せず、眼下に山々が連なる日本列島中国地方が迫ってくる。

 アムロは直ぐさま地図データを照会。山に囲まれた盆地にぽつんとある小学校くらいの小さな建物があるムラサメ研究所の周りの山々がマーキングされていく。

(あれがムラサメ研究所か。カイ、信じているぞ)

 アムロは心で念じつつPRD改の火器の安全装置を外し手動でミサイルの攻撃ポイントをロックしていく。

「ファイヤー」

 肩と腰に備え付けられていたミサイルが全弾発射された。幾らアムロといえども振動する機体では正確な狙いが付けられないが今回ばかりは心配無用であった。あまりにも早い大気圏外からの侵入にミノフスキー粒子の散布が間に合わなかった。ミサイルはレーダーが有効とばかりに正確に進み、応戦しようと山々に隠された対空砲がノコノコと迫り上がってきた端から撃破していく。

 全弾命中、ムラサメ研究所の防空網は沈黙した。カイの事前調査の結果あればこその成果だった。

 ムラサメ研究所は山間にある小学校くらいの小さな基地に見えるが、見える部分はダミーで実際にはジャブローのように周りの山や地下に施設が広がっていた。

「よし。脱出するときのためにも対空砲は一つとして残せないからな。後は護衛のMSを片付けるだけだ」

 アムロはカイが事前に調べていたムラサメ研究所のデータからMSの格納庫の位置を降下ポイントに定める。

 PRD改の打ち切った腰と肩のミサイルポッドがパージ、逆噴射を掛け落下スピードを落とす。

 この頃にはミノフスキー粒子の濃度も高まり山に偽造したハッチが開き、中からハイザックが顔を出してくる。

「悪いが容赦はしない」

 降下しつつPRD改のガトリングガンが唸り出撃しようとしていたハイザックを蜂の巣にして地面に転がす。今回アムロが実弾壁主体にしたのは下手にビーム兵器でMSを爆発させたり貫通して研究施設を破壊したくなかったからだ。

 PRD改着地、同時に仲間の屍を飛び越えハイザック二機が僚機の轍を踏むまいと高速で格納庫から飛び出してきた。

「ハイザック二機ならPRD改で抑えられる」

 アムロはPRD改をドムばりのホバー移動をさせて飛び上がったハイザックを無視してキャノン砲でハイザックが出てきた格納庫内に砲撃する。

 ドンドンドン、重い爆発音と共に砲弾が格納庫内に撃ち込まれて、炸裂音が響いてくる。これで格納庫内にまだMSが隠れていたとしても無事では済むまい。

「よし」

 PRD改はくるっとハイザックの方に向くと最後のおまけと牽制のキャノン砲を打ち込みパージ。身軽になったPRD改が攻撃を避けて体勢を崩して着地したハイザックに対して加速して間合いを詰めると左手にナックルガードを展開、間合いに飛び込むと同時にコクピットにナックルパンチを叩き込んだ。

 打ち込まれたハイザックは気絶したかのように倒れた。中のパイロットは見れば肉が食べられなくなる状態になったのだろう。

「こんな悪魔の研究所に力を貸すからこうなる」

 アムロに同情はない、吐き捨てるように言い切ると同時に振り向きガトリングガンを後方から迫っていたハイザックに打ち込む。

「よし片付いたな」

 アムロが一息入れたタイミングで後方からの爆発音をPRD改の集音マイクが拾った。

「ハヤト達も突撃を始めたようだな。なら俺も負けてられないな」

 アムロは破壊された格納庫に向かうのであった。

 

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