格納庫に向かうPRD改を対MS用携帯ミサイルで武装した歩兵が木々に隠れて不意打ちをしようと待ち構えている。宇宙のように高速で動けるわけでも無く、幾らでも隠れる場所がある地上において、歩兵はある意味MSの天敵と言ってもいいのかもしれない。
だがPRD改は陸専用特化MS、当然地上でのもっとも厄介な対歩兵戦も考慮に入れてある。PRD改に搭載された赤外線センサーが木々の影に隠れた歩兵を丸裸にする。
「逃げればいいものを」
アムロは歩兵用のマルチランチャーを容赦なく森の中に打ち込む。
「うわあああああああああああああああ」
半分は殺られ生き残った歩兵達は蜘蛛の子の散らすように逃げだした。
「そのまま基地から出るなら見逃す」
PRD改の外部スピーカーで警告をするとアムロはその背を撃つこと無く格納庫に向かった。
PRD改が格納庫内部を覗き込むと、中ではジムⅡが一機擱座していた。その他隠れ潜んだ歩兵とかはいないようだった。
「よし」
PRD改は格納庫の中に慎重に入っていく。
格納庫には擱座したジムⅡ、砲撃で壊れたMSデッキが散らばっていた。
「これで脅威は排除出来たようだな。後はハヤト達陸戦隊の撤退の援護を・・・」
ピキーン、アムロの脳裏に感が走った。
「誰が僕を呼んでいる。
ララァの亡霊じゃない。誰だ誰が僕を呼んでいる? どこからだ?」
アムロは格納庫内を見渡すが誰もいないし、これといったものも見付けられなかった。
「ならば、超音波スキャン」
アムロはPRD改に搭載されたもう一つの陸戦用センサーの超音波スキャンで格納庫内のスキャンを行った。
「そこか」
アムロは壁際に寄っていき残骸を除け壁の一部をファランクスで破壊すると、中が空洞になっておりMS用のレバーが隠されていた。
「侵入者避けの隠し通路か。下に広い空洞があるようだな、そこにいけるのか?」
PRD改はままよとばかりにレバーを降ろした。
ガクンと大きな振動をした後床の一部が下に降り始めた。どうやら昇降用エレベーターだったようだ。
「この下で誰か泣いている?」
アムロはNT能力で下に誰かいることをハッキリと感じていた。
アムロは滲み出る怒りを抑えつつ襲撃に備えガトリングガンを構えておく。
長方形の暗い通路をゆっくりと降りていくエレベーターはやがて眩しい光に晒され地下空間に入った。その瞬間アムロはPRD改を飛翔させた。
素早くガトリングガンを下方に向け索敵するが、地下に広がる巨大空間はWBくらい余裕で入れそうであったが待ち構えるMSは無く、奥に巨大で黒いMSが鎮座しているのが見えた。
「なんだあのMSは?」
アムロは急ぎPRD改のデータベースで照合するが該当機は無かったが、その巨大MSの顔を見てアムロは驚愕する。
「新型のガンダムだというのか?
ん、傍に誰かいる」
巨大なガンダムの傍にはベッドに1人と白衣の女性が1人いるのが見える。アムロは繊細な姿勢制御を行い巨大ガンダムの傍にいる人間を踏み潰さないように着陸すると同時にうつ伏せの姿勢になった。
バッキューン。
「次は当てる」
アムロはコクピットから出て銃口を白衣の女性が逃げようとした前方に威嚇射撃を行ったのだ。
「まっ待って撃たないで、非戦闘員なのよ」
「こんな研究をしている者を非戦闘員だからと見逃す気はないな」
「好きでこんな研究をしているわけじゃない」
アムロは白衣の女性が叫ぶのを無視して白衣の女性の前に手錠を投げた。
「手錠をしろ、ゆっくりとだ」
アムロは銃口を白衣の女性に向けつつPRD改から降りてベットの傍に寄る。
そこには翡翠色の髪をベリーショートにした少女が寝ていた。
裸の上からシーツが掛けられているようで、胸が上下しているのが見える。
(この娘が僕を呼んだのか?)
「おい、この娘はなぜこんなところで寝ている?」
「おいなんて呼ばないでよ。私はナミカー・コーネル、これでも研究者なのよ」
コーネルは命令通り手錠をしたようだが、そんな格好で言い返せる当たり気は強いのだろう。
「なら、コーネル。彼女は誰だ?」
「彼女はフォウ・ムラサメ」
「うううんん」
声で刺激されたのかフォウは起き出した。
「目が覚めるのか」
アムロは様子を見ようとフォウの顔に近付く。
「待って、今下手に姿を見られたら・・・」
コーネルが止めようとしたが一足遅くフォウは目覚めアムロの顔を見た。
「あなたは誰?」
「白馬の王子です。迎えにあがりましたよ、眠り姫」
アムロの悪い癖が出た。甘いフェイスと女性を蕩けさす甘い声で気取ってしまった。
「私の王子様」
起き上がりシーツがずり落ちフォウは裸でアムロに抱きついた。
「ああインプリンティングしていたのに・・・」
その光景にコーネルが嘆く。
「眠り姫は積極的だな。まずは上を着ないと」
アムロは戦闘だけで無くどれほど女性の経験も積んだのか全く動揺しない。涼しい顔のままに近くに服がないのでシーツをフォウに巻き付ける。
「さあ、魔女の森から脱出だ。付いてきて」
「でっでも、ここに私の記憶が」
フォウはアムロの誘いに暗い顔で拒否する。
「大丈夫。悪い魔法使いの呪いは僕が解くさ」
「ほんと」
「本当さ」
アムロのプレイボーイスマイルが輝く。インプリンティングされていなくても女性なら洗脳されてしまいそうだ。
「嬉しい」
フォウは笑顔で再びアムロに抱きつく。
「じゃあ、行くぞ。
お前も来て貰う。拒否するなら遠慮なく撃つ」
フォウに向けていた甘い顔が一転して鬼のような形相でコーネルを睨む。
「私にどうする気?」
「聞いていただろう。お姫様を元に戻して貰うだけだ」
「分かったわ」
「時間が無い急ぐぞ」
アムロはファウとコーネルを連れてPRD改のコクピットに戻った。
コクピットに戻ると通信が入っていたのでアムロは通信を取る。
『やっと出たか。アムロ、予定通り捕まっていた子供達は救出。サイコミュのデータも手に入れたぞ』
「そうか。此方もお姫様と魔女を確保した」
『お姫様と魔女?』
「長居は無用だ。コムサイを呼んで脱出しよう」
『了解だ』
アムロは通信を切るとPRD改を起き上がらせ、駄賃とばかりに残っていたミサイルを全弾黒ガンダムに撃つと地下格納庫から脱出するのであった。