deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第13話 スカウト

 コムサイにカラバの陸戦隊や救出した子供達、捕虜にした研究者達を乗せムラサメ研究所を脱出したアムロ達は、今は使われていない種子島宇宙センターに来ていた。そしてカラバによって急ピッチの打ち上げの準備を行っていた。

 

 そこから少し離れた滑走路の空いている場所でアムロ達が宇宙に行く準備を行っていた。

「ほら、ちゃんと宇宙服を着なさいっ」

「いってえな~」

 ルーは事態について来れずボーとしていた子供の背中を叩いて活を入れる。

「口じゃ無くて手を動かす。宇宙服着てないと危ないんだから」

「ふんっどうせ俺達なんて・・、いてっ」

 愚痴ろうとした子供に空手チョップをするルー。

「はいはい、やさぐれていてもいいことないよ。人生これからこれから」

「いいことなんて、いてっ」

「こんな美人のお姉さんに出会えたなんて早速いいことあったでしょうが」

「おねーちゃん、これでいい?」

「おーよしよしちゃんと出来たじゃない」

 恐る恐る話し掛けてきた女の子の頭をルーは撫でる。

「さあさあ急いだ急いだ」

 ルーはパンパン手を叩いて子供達を急き立てる。

 その様子を見ていたアムロは、研究所に売られ人体実験をされ人生を諦めていた子供達にルーの明るさはいい刺激になるだろうと思えた。

 

「アムロ」

「なんだいフォウ」

 そんなアムロにフォウが甘えるように呼び掛ける。

「私にも宇宙服着させて」

「君はお姉さんだろ、自分で着なさい」

 アムロはフォウのおでこを軽く指で押す。

「は~い」

「アムロ」

「ハヤトか」

 今度はハヤトが話し掛けてくる。

「打ち上げの準備はもう直ぐ終わる。早くコムサイにMSを積んでくれ、いつ連邦軍が来るか分からない」

 PRD改はここまで警戒も兼ねてドダイよろしくコムサイの上に乗ってここで来ていた。その後も打ち上げ準備を文字通りの巨人の力を使って行っていた為外に出しっぱなしになっている。

 今頃ムラサメ研究所強襲の報は伝わっているだろう。辺境の日本には碌な基地が無いが近くのグアムから追撃隊が編成されれば時間の猶与はあまりない

「PRD改は地上用MSだ、宇宙に持っていっても使いようがない。いいMSだカラバで役立たせてくれ」

 PRD改は試作機故の性能の低さを宇宙用の装備をバッサリ切り捨て陸戦特化することで一線で使えるようにした機体。それを宇宙に持って帰って宇宙用に戻したところで元のポンコツMSに戻るだけのこと、金と時間の無駄である。

「分かったありがたく使わせて貰う。

 それともう一つ」

 ハヤトは更に深刻な顔でいう。

「何かいい報告じゃなさそうだな」

「エゥーゴによるジャブロー攻撃が開始されることになった」

「なんだってっ!!!

 ああすまない」

 思わずアムロが上げてしまった大声に怯えた子供達にアムロは謝る。

「まだ早い。クワトロ抑えられなかったか」

(いやシャアですら抑えきれないくらい気運が高まっているということか。スペースノイドの地球へのヘイトは俺が思っている以上だったんだな)

 アムロは自分の見積もりの甘さに忸怩たる気分になる。

「それでどうする。宇宙に戻るのは一端中止するか、エゥーゴと地上で合流する手もあるぞ」

「いや、そんなことになれば幾ら平和ぼけの連邦でも警戒が厳しくなる。そうなる前に子供達を宇宙に連れて行くよ」

「そうか、分かった。じゃあそろそろコムサイに搭乗してくれ」

「ルー準備はいいか」

「バッチリですよアムロさん」

 見れば子供達はみんな宇宙服を着込み、ルーはサムズアップしつつ答える。

「私もいいわよ、アムロ」

 フォウは自然とアムロと腕を組んでくる。

(これも刷り込みの影響か。記憶が戻れば自然と解除されるといいんだが。それまでは悪い気はしないし、いいか)

 一年戦争では何処かシャイナボーイだったのに今ではすっかりプレイボーイだ。どこでこうなったんだろう。

「よし行こうかフォウ」

 アムロは極上の笑顔でフォウに答え一緒にコムサイに向かうのであった。

 数分後、数十年ぶりになるがカタパルトは最後の仕事とばかりに耐えきりコムサイは打ち上がっていくのであった。

 それを見届けたハヤトはカラバの仲間に振り返る。

「さあ、撤収だ。連邦は甘くは無いぞ」

「「「はい」」」

 ハヤトもすっかり人を率いるリーダーであった。

 

 種子島宇宙センターから打ち上げられたコムサイ。大気圏を突破し地球の重力を振り切ったところでルーが慌てた。

「アムロさん。レーダー反応あり。前方に戦艦、識別、艦種はムサイです。

 ジオンの残党、それとも海賊?

 どうしますアムロさん」

 コムサイの前方にはまるで待ち構えていたようにムサイがいた。今のコムサイには搭載されたMSはない。ムサイとの一騎討ちなら機動力で勝ち目もあるがMSが搭載されていたら勝ち目は無い。急いでミノフスキー粒子を散布したとしても振りきれるかは微妙なところであった。

 ルーは知らず操縦桿を潰すほどに握り締めアムロに判断を仰いだ。

「大丈夫だ。あれは出迎えだよ」

「えっでもエゥーゴにムサイはないですよ」

 エゥーゴの母体は連邦の一派、ジオン系の艦艇は流石に無い。

「あれはエゥーゴじゃ無い、ニルヴァーナだ」

「ニルヴァーナ?」

「僕が組織した人類の変革を目指す秘密結社だ。このことは黙っていてくれるとありがたいな」

 アムロはウィンクしつつあっけらかんと重いことをルーに言う。

「ははっエゥーゴにチクっちゃったら私どうなっちゃいます?」

 エゥーゴの中核メンバーが何の思惑な別の秘密結社を結成していた。密告すれば確実にエゥーゴは揺れる。そもそもこんな事を知って無事にエゥーゴに帰れるのだろうか?

 ルーは背中に冷や汗が浮かぶのを感じていた。

「別にエゥーゴに理念に反する訳でも敵対する訳でも無い。黙っていても害はないさ。宗教みたいなものでエゥーゴに所属しながらニルヴァーナの理念に賛同して参加してくれている人は大勢いる。

 余計な波風は立てない方がいいだろ」

「お口にチャックします」

 エゥーゴ内にシンパが多数いる。密告しても確実に報告は握り潰されて、ついでに自分も握り潰される奴だとルーは直感した。

「っというか君は是非入って欲しい。そう思って今回の作戦にスカウトしたんだし」

「え~そうなんですか」

 ルーは自分の何処がアムロを惹き付けたのか考え、英雄色を好むやはり美少女って罪よねって結論になった。

「君にはNTの素質がある。その素質を僕の元で開花して欲しい」

「ははっ私大変な人に見込まれちゃった」

 本気で愛人に成れと言われた方が良かったような告白である。

「そういうなよ。後悔はさせないさ」

「悪い男の常套句じゃ無いですか」

 アムロは女を騙す甘い顔で囁き、ルーはやっぱりNTは耐え前で私の美貌目当てと勘ぐる。

 まあルーがこんなに気楽に考えられるのも根本にアムロをNTの直感で信用しているからなのだが、本人はそこまでは気付いていない。

「そうかな」

「そうですよ。

 それでどうすればいいですか?」

「取り敢えずドッキングしてくれ」

「アイアイサー」

 コムサイは謎のムサイとのドッキングコースに入るのであった。

 

 

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