謎の放送は全世界に衝撃を与えた。
(やったなアムロ。だがまだ素顔は晒すときでは無いというのか)
(アムロ君。まだ完全に表に出る気には成れないのか。その時のために私が道を作っておかないとな)
(アムロさん、凄い。僕も力にならないと)
(やったなアムロさん。早く俺も暴れたいぜ。学校に通わせて貰った恩は返さないとな)
(若大将いよいよ、本腰を入れていくのか。こりゃあたしも忙しくなるねえ~)
(アムロ大尉、支えます)
(あたしも気合い入れないとね)
(アムロ。うふふ、流石私の王子様。もう少し待っててね)
(スペースノイドが調子に乗りおって、叩き潰してやる)
(アムロ、彼こそが私が望んだ対極なのか?)
(クルスト博士は正しかった。やはりニュータイプは危険だ。早くシステムを完成させなければ)
(アムロ・レイ。貴様が時代を築いていくというのか)
(・・・)
(アムロ・レイ。俗物とは違うというのか。シャアが気にしていたな。面白い、地球圏に戻る楽しみが増えた)
(アムロ・レイだと。ロートルが出しゃばってくるんじゃねえぜ。時代を作るのは俺だ)
(こりゃ世界は荒れるな。出世のチャンスって訳だ)
(彼になら私を託せるというの?)
(俺もそろそろ前を向くときなのか? あの時言われた士官の責任を自覚しないとな)
(やったなアムロ。世論は俺が盛り上げてやるぜ)
(アムロさん、やっる~。誘って貰えて私ってラッキー)
(あれがシロッコ様の敵?)
(君はやはり違うんだな。だが凡人は凡人なりに君を支える)
(アムロ。生きていたの私にさえ黙っていたのね)
(ナイーブな人。もっと奮い立たせないと)
(あれがNT。空を落とす怖い人)
(あれがニュータイプか。噂通りの腕か戦場で会うのが楽しみだぜ)
(ティターンズの理念は間違ってないはずだ)
(理念には惹かれる。だが俺は連邦の軍人なんだ)
(やはり時代はニュータイプなのだ)
(彼こそが宇宙世紀を託すべき者なのか。見定めさせないと)
(厄介者が。今の人類に一年戦争は耐えられないのだぞ)
(目覚めろか。何かが俺の頭の中で疼く)
(ふん反乱軍如きが偉そうに)
(彼が民衆の不感症を正すというのか)
(ぷるぷるぷるぷる~)
「急に済まなかったなブライト」
「いやこれくらいなんてことない」
アーガマ内に急遽設置された放送室から出てくるアムロをブライトが迎える。
「しかしなぜ素顔を晒さなかったんだ?」
「まだ俺が素顔を晒すのは早い。今回は種蒔きさ」
アムロは自分が素顔を晒すのはもっと大きな機会、ティターンズなんて一部隊じゃない連邦との全面戦争の火蓋が機って降ろされるときだと決めていた。
「そうか。これで同志が増えるといいんだが」
「この放送で地球連邦も本腰を入れてくるだろう」
アムロはあまり日々を生きる大衆にはあまり期待してなかった。一部の心ある者が今の連邦に疑問を抱いてくれる切っ掛けになってくれれば御の字だと思っていた。
アムロはそういった者達の最後の一押しは自分でするつもりだった。
「ああ、そうだな。一度月に戻って体勢を整えよう」
今回の放送でティターンズだけで無く地球連邦政府そのものにも喧嘩を売ったと言っていいだろうし、ティターンズも部隊の存在意義のため必死になってくるだろう。戦いは激化していくだろう。
「ああ頼むよ」
「人ごとだな」
「俺はクワトロ大尉が宇宙に戻ってきたら入れ違いで地上に降りる」
入れ違いがポイントでシャアに止められる前に降りてしまう気だ。
「本気かアムロ。正直賛成は出来ない。地上は連邦政府の庭だ、今度の件で本気でお前を殺しに来るぞ」
「分かっている」
「分かってない。
お前はエゥーゴの三本柱なんだぞ。もっと自重しろ」
「それが分かっているからこそだ。
三人に何かあったら動かなくなる組織では駄目なんだ、今のエゥーゴでは人材不足過ぎる。それを解消するためにも幹部が動かないといけないのさ」
エゥーゴはブレックスを神輿としてアムロとクワトロが政治的サポートだけで無く戦闘面においても代わりがいないほどの活躍している。今のティターンズ相手の小規模な戦いならいいが、連邦との戦いが全面化すれば明晩立ちゆかなくなるのは明白であった。
アムロは最低でも自分が抜けても戦線を支えられるパイロットをスカウトする必要があると考えていた。
「だがどうやって降りるつもりだ? コムサイはメンテをしないと大気圏突入は出来ないぞ」
大気圏突入と離脱をした上に戦闘を重ねたコムサイはここでメンテをしなければ次の大気圏突入で分解する恐れがある。
「ああルーはメンテをさせるために一度帰らせた」
流石にコムサイのメンテはアーガマでは出来ない。何処か本格的なドッグに入る必要がある。
「お前のマラサイ改もお前が振り回しすぎてフルメンテをしないといけないとアストナージがぼやいていたぞ。
それに、そもそもだ。MSで降下したところでノタノタ地上を移動しているところを連邦に捕捉されて終わりだ」
地上では宇宙ほど無双は出来ない。移動力が落ちたところを面で攻撃されれば幾らアムロでも終わりだ。
「分かっているよ」
「言っておくがアーガマを地上に降ろすわけにはいかないぞ」
「それこそ冗談だ」
アーガマはエゥーゴの中心、今地上に降ろすわけにはいかない。降ろしたらエゥーゴの戦線は連邦との戦いの前に崩壊する。これも問題ではあったが、これはもうじき解消される予定ではあった。
「まさか正規ルートで地上に降りるつもりか、空港に降りた瞬間捕まるだけだぞ」
先程の放送で顔を隠しはしたが、あの程度では本気を出した連邦の目は誤魔化せないだろう。
「そこまで度胸は無いよ」
「なら諦めろ」
ブライトは全ての手段を論破したとばかりに上から言う。
「地上降下用の小型シャトルを手配をした。もう直ぐ届くはずだ」
「いつの間に、それにしたって危険だぞ。連邦空軍に捕捉されたらシャトルじゃ逃げ切れない」
「そこはうまくやるさ」
「おまえ」
「連邦に勝つためには今やるしか無いんだ。協力してくれ」
アムロも一歩も退かない強い意思を瞳に込めてブライトを見返す。思えば自分が殴った奴が立派になったなとブライトは一瞬感慨に耽けた。同時に自分も老けていられないと思い返す。
「分かった。だが陽動はやらせて貰うぞ」
「ああ弩派手に頼むぜ」
「任せろ昔から陽動は得意だ」
ホワイトベース時代は一貫して陽動をやらされていたブライトは笑って言うのであった。