deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第19話 舞い降りる翼

 ジャブロー降下作戦は連邦の卑劣な作戦により失敗したかに思われた。だがエゥーゴは戦略兵器にも等しいガルダ級を二隻鹵獲に成功し、また自分達が捨て駒にされたことに怒りアムロの演説に感銘を受けた連邦兵士が多数同志になるという戦果もあった。特にガルダ級二隻を鹵獲出来た成果は大きく、カラバは地上における移動拠点を手に入れたに等しく、これから様々な作戦展開が可能になった。

 失態を知った連邦はガルダ級二隻を奪還すべく、凄腕のブラウ少佐を差し向けるのであった。

 一度包囲を抜けられてしまえばガルダ級を持たないブラウ少佐達は追撃は困難になる(追撃にガルダ級を使用することは連邦のインフラ上許可されなかった)。一度きりの勝負とブラウ・アッシマーとオーガスタ研の強化人間ロザミア・ギャプラン、それに追随するSFSに乗ったアクトザクやハイザックの大部隊で攻勢を掛けた。

 エゥーゴのパイロット達は宇宙に帰るためにシャトルに搭乗しているため、迎撃に回せたのはクワトロ、カミーユ、ロベルトと連邦からの寝返りパイロット達。

 数で劣りながらもクワトロ、カミーユの奮戦でシャトルの打ち上げには成功したが、ロベルトを失ってしまった。

 そしてケネディ空港での戦闘はまだ続いていた。

 このままなら数に圧倒され殲滅されるだけだ、クワトロとカミーユはなんとかアウドムラ、スードリの脱出路を切り開こうとするが、可変MAアッシマー、ギャプランの空中における機動力の前に苦戦を強いられていた。

「ええい、飛び立てさえすれば何とかなる。

 なんとしても血路を切り開くんだ」

「はい、クワトロ大尉」

 クワトロはカミーユを叱咤しつつ応戦を続けるが、このままだとまずいことも分かっていた。

 ガルダ級が撃墜されていないのは、ひとえにガルダ級を無傷で取り返したいという連邦の事情によるものであった。だがそれもひとえに向こうの司令官の忍耐に掛かっている。何時痺れを切らせて撃墜命令を出すか分からない。

「くそっ早い」

「はっはっは宇宙人共に地球でデカイ面させられるか」

「機動力が違いすぎる」

「空は落とさせない」

 カミーユ・ガンダムmkⅡもまたSFSに乗ってはいるがアッシマーを超えるギャプランの機動力に翻弄されていた。

「いいぞ、ロザミア。スードリのブリッジを潰すことを許可する」

「了解です、少佐」

 ブリッジだけなら修理も出来るというブラウの判断だ。ロザミアのギャプランがカミーユ・ガンダムmkⅡのディフェンスを一気に抜けてスードリに迫る。

 スードリの対空砲火が火を噴くが強化人間が操るギャプランは軽々と躱しブリッジの前に迫った。

「終わりだ」

 余計な破壊をしたくないロザミアはビームで無くMS形態に変形し腕を振り上げブリッジを潰そうとする。

「ん!?」

 ギャプランは紙一重でバックダッシュをし元いた位置を上空よりのビームが切り裂いた。察知して躱した強化人間の察知能力も凄いがスードリに当てないギリギリの狙撃も人間離れしていた。

「誰だっ」

 誰もが上を見上げれば天空より黄金に輝くウェイブライダーが降下してきた。

「あれは、デルタガンダム!? 実機は無かったはずだが」

 百式の乗ったクワトロが自分の愛機の原形となった機体の搭乗に驚く。

「邪魔をしてくれて」

 ロザミアはギャプランをMAに変形させデルタガンダムを迎撃すべく一気に上昇する。ギャプランは元々高高度迎撃MA、大気圏外に飛び出せそうな加速で上昇していく。

 急降下するデルタガンダム、急上昇するギャプラン、互いの間は瞬き一つで無くなりSFSに乗ったMSでは不可能の空中での高速格闘戦が展開される。互いに必殺のビームを撃ち合い、ぶつかるほどに機体がすれ違う。

「お前が空を落とすものか」

「違う、僕は空を守る者だ」

 ロザミアにアムロが答える。デルタガンダムに乗っていたのはアムロだったのだ。彼はクワトロの帰還が失敗したと知るや援護するため手配していたデルタガンダム降下試験機で地上に降下してきたのだ。

 デルタガンダム降下試験機は、宇宙から地上への強襲用に開発が進められる可変MSのウェブライダー形態の空戦能力と大気圏降下の実機データ取り用に作られた機体で、重量バランスを見るためにフレーム構造などはデルタガンダムを踏襲している非可変の戦闘機と言っていい機体だった。それでも密かに地球に降下し極秘活動するには打って付けの機体だとアムロが手配していたのだ。

 可変こそ出来ないが戦闘機としては優秀なようで空中戦だけならギャプランに劣らない機動戦を見せ付けるデルタガンダム。

「なんだと」

「感じるんだ。君なら僕が敵じゃないと分かるはずだ」

 もはや2人は通信が繋がっているのか思念波で話しているのか区別が付かない。デルタガンダムとギャプランは互いの思いをぶつけ合うように空中戦を繰り広げていく。

 

(アムロめ何をやっているんだ。お前が援軍に来てどうするんだ。お前はもはやパイロットをやっていて良い人間では無いんだぞ)

 クワトロもアムロが来たことを感じ、嬉しいと言うより自分の不甲斐なさがアムロを呼んでしまったのかと歯軋りしする。

「カミーユ君、あの戦いには残念だがMSでは付いていけない。我々はアッシマーを2人で叩くぞ。」

「了解です」

 クワトロは気持ちを切り替え現場のトップとして血路を切り開くため、残る可変MAアッシマーを叩くことにしたようだ。

 

「目を覚ませ、誰が空を落とす者か見極めるんだ。君なら出来る」

「戯言を」

 アムロの呼びかけをロザミアは拒絶する。

「やはり荒療治が必要か」

 アムロは格闘戦の最中隙を見てデルタガンダムを一気に上昇させた、強引とも思えるが決着を付けるため空戦の王道まずはギャプランの上を抑えようというのか。そうはさせじとギャプランが追撃する。デルタガンダムの推力ではギャプランは振り切れないのか、上を取るどころか後ろを捕られた格好になった。

「貰ったぞ」

「今だっ」

 デルタガンダムの胸のハッチが開き急制動が掛かった。可変機構も一部実験用に仕込まれているのをアムロは空中ブレーキとして使用したのだ。

「なに!?」

 デルタガンダムは垂直から水平に姿勢が変わり、その前を止まれないギャプランが通過する。

「やられる!?」

 ロザミアはコクピットがビームに貫かれ自分が蒸発するのを感じたのであった。

 

 

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