バーのカウンターに男が2人並び酒を酌み交わしている。店内には他に客がいないようで、大声で呼ばなければ声が届かない場所でマスターがグラフを磨いている。
「シミュレーションといえ、あなたに勝ったときには、お祭り騒ぎでしたよ」
「なら今度手合わせしてみますか?」
「・・・」
相方の軽い口調い男は無言のままに酒をぐいっと飲み干し闘志を見せる。
これで雑談は終わった。
「機械を通してとはいえあなたもNTを感じた1人として、今の時代に想うところがあるはずだ。
それともあなたはNTを否定する側に立つというのですか?」
「NTに触れた者として答えは出さなければならないのだろう。だがそれとは別として折角戦争が終わったというのに、もう一度あの悲劇を起こすというのか?」
「あなたも映像を見たはずだ。もう起こっている、いや起こり始めている。ティターンズの台頭なんか序章に過ぎません。ここで人類の革新を成し遂げなければ人類は自らその歴史を封印する嵌めになる」
「・・・」
「・・・」
男は黙考し相方の言葉を自分の中で噛み締め、相方も急かすこと無く静かに待つ。
「あなたから嘘は感じない。いいでしょうかつてNTに触れた者として、あなたの言う人類の革新に参加します」
「共に人類の革新を成し遂げましょう」
アムロとユウは固く握手をするのであった。
超高級ホテルの最上階のスィートルーム、庶民の生涯年収が一日で消し飛ぶような部屋で老人と青年が会っていた。
「あなたの政治理念には共感しています。だからこそこうして危険を犯して会いに来ました」
「わざわざ会わなくとも色々手はあっただろうに」
「NTといえど会わなければ分からないことはありますよ。そしてNTだからこそ会えば分かることはあります。
あなたはやはり本物だ。手を結ぶに値する」
「英雄がお世辞を言いおって。
私を煽てて何を期待する」
「財団による資金援助。連邦議員としての権力とコネ、そして連邦議員の切り崩し。そしてあなたが持つ秘密工場も欲しい」
「全てを捧げろというのか強欲だな」
「命まで捧げろと言いませんよ。命は戦士が捧げます」
「ふんっ、釣り合いは取れている言うのか。それで見返りは?」
「あなたが存命のうちにあなたの目指した世界を見ることが出来ます」
「それだけか?」
「それだけで十分でしょう。あなたが理想実現の為色々と準備をしているのは知っています。ですが間に合わないでしょう。計画実行はあなたの息子世代に託すことになる」
「間に合わないか」
「それはあなた自身が一番分かっているはずです」
「お前なら見せてくれるというのか?」
「その為に立ち上がりました」
「連邦は確かに腐っているが、それでも尚巨大だ。ジオンですら敗れた連邦に勝てるというのか?」
「ジオンのような物理的占領が最終目的はありません。人類の革新を為せばいいのです」
「大衆の革新こそ困難なのでは無いのか?」
「その為のニル・ヴァーナです」
「よかろうやってみせろ。例え失敗したとしても連邦の弱体化は我々にとっても喜ばしいことだ」
「その心配はいりませんよ。この世代で人類の愚行は終わらせますよ、シャンホルスト・ブッホ」
アムロとブッホは世代を超え同志として握手をするのであった。