deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第22話 君の名は?

「カイの奴遅いな」

 アムロは1人バーのカウンターでロックのブランデーを嗜んでいた。

 ここ数日アムロはスカウトに精を出していたが、その段取りを整えてくれたのがカイである。今日でそのヘッドハンティングも一段落付いたので、その祝いと今後の打ち合わせをしようとここのバーで待ち合わせをしていた。アムロも人の子たまには息を抜きたく成る、まして旧知の戦友とあれば気取ること無く語り合えとあって内心楽しみにしている。

 待ち人来たる。そんな情緒とは正反対にバーのドアが乱暴に開けられカイが入ってきた。

「アムロ、情報が漏れた。ティターンズ憲兵隊が来るぞ」

「無粋な奴らめ」

 アムロは舌打ちをする。

「少し動きすぎたな」

「連邦もマヌケじゃ無いと言うことか。

 済まないなマスター、これで失礼する」

 アムロはカウンターの上に紙幣を置くと何も言わないマスターの横を抜けバーの裏口から外に出た。

 

 据えた匂いが漂うが薄暗い路地裏、表に出る道と更に奥に進む道の二手に分かれている。

「二手に分かれよう。俺が囮になる」

「おいおい、逆だろ。俺が囮になる」

 表通りに出ようとするアムロをカイが止めた。アムロは改革のリーダー失うわけにはいかない、カイとしては当然の選択だった。

「友との情に流されたわけじゃ無い。これが一番合理的だからだ。

 こういのには俺の方が慣れている」

 先程までのどこか飲み会を楽しみにしている学生のようなアムロは消えていた。それなりに修羅場を潜っているカイですら一瞬尻込みするほどの凄みがアムロから滲み出ていた。

 連邦に暗殺されそうになってから地下に潜みMSを使わない死闘を繰り広げた歴史がアムロをMSパイロットに留まらない一流の戦士にしていた。

「分かったぜ。殺られるなよ」

「こんなところで終わるつもりは無い。早く行けっ」

 言うと同時にアムロは一瞬で銃を抜きだしたかと思うと引き金を引き、ちょうど路地裏に入る角から顔を出した憲兵を撃ち抜いた。見て撃ってない、完全に角から顔を出すのを予測した動きであった。

 カイは更に奥に逃げていきアムロは一瞬目を瞑ると表通りに向かって走り出した。

 左に1,2、右に3人、戸惑っているな。

 アムロは恐れることなく表通りに飛び出し、いきなり仲間が撃たれ動揺していたティターンズ憲兵隊が動く前に撃つ。

「これで三つ」

 銃声が三つ轟きアムロは止まること無く走り抜けていく。

「くっくそ化け物め」

 残ったティターンズ憲兵隊はアムロに銃撃をするがアムロは背中に目でもあるかのように躱しながら逃走していく。

「目標は中心街方面に逃走。応援を要する」

 

「はあはあ、港から遠ざかってしまったな。カイは無事逃げられたかな」

 ティターンズは執拗であった。アムロ1人捕まえる為に中隊規模の人員を動かしていた。幾らアムロがNT能力で先読みが出来るとはいえ、物理法則に縛られた身やはり物量には勝てない。何か手を打たなければならないが、その手をさせる暇をティターンズ憲兵隊が与えなかった。

「ここいら辺に知るはずだ。虱潰しに行くぞ」

 アムロを探す声が響いてくる。

「仕事熱心だ事だ」

 アムロは敵意から遠ざかるように走り出したが、敵意は確実にアムロを包囲し出し蟻が抜ける隙間すら無い。なまじ分かるだけにプレッシャーが滲み出てくる。

「何処まで逃げられるか」

「居たぞ」

「ちっ」

「アムロさん、こっちです」

「!?」

 ティターンズ憲兵隊に見つかり走り出そうとしたアムロに声が掛かる。

 敵意を感じなかった方から声を掛けられアムロは驚愕しながらも咄嗟に銃口を向け、咄嗟に引き金を引くのを止められた。

「私は敵じゃないです。あなたの力に成りたくてきました」

 両手を上げた女性がいた。

 理知的な風貌の女性だった。銃を向けられ恐れもなくアムロを見詰める。

「美人は信じるよ」

 敵意は感じないとアムロは己のNTの直感を信じて銃を降ろした。

「ありがとう。でも能力も見てくれると嬉しいな」

「それはこれからの君のお手並み次第だな」

「ならこっちに来て下さい」

「分かった」

 

 アムロが付いていくと車が一台止められていた。

「乗って下さい。これで包囲を突破します」

「蜂の巣に成るだけだぞ」

「大丈夫、防弾です」

「抜け目ないな」

 女性は運転的、アムロは助手席に座る。そこがアムロは少し不満でもあったがエスコートに任せることにする。

「私もあなたの放送で感銘を受けたました。ティターンズがあなたを捕捉したと聞いていても立っても居られずに駆けつけました」

「そうか、助かったら一杯奢らせて貰おう」

「それは楽しみですね」

「忘れていたが、君の名は?」

「マウアー・ファラオ」

「いい響きだ」

「お上手ですね。行きます」

 車はマウアーの理知的な顔と裏腹に暴れ馬の如く発進するであった。

 

 

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