「あと三分でニューギニア基地防空圏に入ります」
「アウドムラ、スードリはミサイル一斉射。固定目標だ外しようがないが、マスドライバーにだけは当てるなよ」
ニューギニア基地を落とす一番の目的がマスドライバーの確保になる。他は兎も角そこだけは破壊しないようにとアムロは念を押す。
アウドムラとスードリから大型ミサイルが目標固定で一斉射された。
「ニューギニア基地より迎撃のミサイルを確認。更にミノフスキー粒子の濃度急速に上がっています」
「デナリに通達。ジェットコアブースター隊を発艦させろ。更にミノフスキー粒子散布此方も開始。
これより状況確認は目視がメインになる観測班気張って行けよ」
「デナリに通達。
ミサイルは半数が迎撃されるも残りはニューギニア基地に着弾、島の各地で火の手が上がったのを目視で確認。
更にニューギニア基地よりセイバーフィッシュ隊が上がってきます」
「デナリのジェットコアブースター隊に任せる。アウドムラ、スードリはジェットコアブースター隊が開けた道を進む」
アムロはMS隊をギリギリまで温存する気のようだ。
MS隊は戦場の切り札、それでいて数は少なく稼働時間はそんなに長くない。ましてやこちらは攻める側、MSを戦場に投入するタイミングが勝敗を決めると言っても過言では無い。
「ジェットコアブースター隊、セイバーフィッシュと交戦に入りました」
「クワトロ隊に発進準備をさせろ。道が開け次第発進させる」
「了解」
「ジェットコアブースター隊、セイバーフィッシュを押してます」
(そういえばベルトーチカはジェットコアブースター隊だったな。無事ならいいが)
「よしクワトロ隊を発進させろ」
「クワトロ隊発進させます」
スードリよりクワトロ大尉率いるMS隊がSFSに乗って発進する。
主力、クワトロ・百式、随伴機は地上に残されたマラサイ。文字通り正規の最新鋭MSで構成された主力部隊。アムロはここで一機に突破するつもりなのか?
「ニューギニア基地よりアッシマー隊が発進したのを確認」
「敵は切り札から切るタイプか。
クワトロ隊をここで消耗させるわけにはいかないな。
カミーユ隊を発進。アッシマー隊を抑えさせろ」
「了解。カミーユ隊を発進させます」
カミーユ隊はカミーユ・ガンダムmkⅡ、ロザミア・ギャプラン、エイガー・ガンキャノン・ディテクター。
精神が不安定なロザミアもカミーユを弟と認識させることで精神の安定性を持たせ、年長者で熱血的エイガーでナイフのハートを持つカミーユのフォローをさせる。
精神安定を第一にした小隊である。
「カミーユ隊、アッシマー隊を引きつけることに成功。しかし後続のハイザック隊に阻まれてクワトロ隊上陸出来ていません」
「流石に抵抗が厚い」
アムロはクワトロを信用しているのか更なる増援は出す様子は無い。
「ニューギニア基地港湾部で火の手が上がるのを確認。
ズゴック、ゴックの混線部隊が上陸に成功した模様です」
「よし。作戦の第一段階は成功したようだな」
アウドムラもスードリも囮だった。ニューギニア基地の戦力を出来るだけ引きつけておいて手薄になった海から水中部隊による強襲が本命。この水中部隊はアムロが説得に行き地球連邦憎しで同盟を結んだシンブ基地のジオン残党である。
彼等は沿岸部の対空設備の破壊を行っていく予定である。
「皆よくやってくれた。これより指揮権をハヤトに委譲する」
「了解するが、クワトロ大尉に怒られるのはお前だけにしてくれよ」
「そういうなよ。仲良く怒られようぜ戦友」
「ちょっと待て、そういう事なら引き受けないぞ・・・」
アムロはアウドムラブリッジとの通信を強引に切った。
「マウアー準備はいいか」
「マウアー、デルタガンダム大丈夫です」
アウドムラの格納庫にはデルタガンダムをSFS代わりに上に乗った陸専用プロトリックディアスから更なる改修を重ね別MSとして生まれ変わったディジェがいた。
今までの指揮はマウアーに補佐をさせて全てここから行っていたのである。つまり最初から後ろに引っ込んでいる気はさらさら無かった。
「アムロ隊発進」
アムロ隊。
アムロ・ディジェ、マウアー・デルタガンダム、ハイザック、ジムⅡ、ジムキヤノン、グフフライトタイプ、ザクキヤノン、ジムカスタム、イフリートとそれぞれが持ち寄ったり鹵獲した種々様々なMSが混じった寄せ集め部隊で、とても正規部隊とは呼べないものだった。
だからこそカリスマのあるリーダーが率いる必要があるとのアムロの弁である。
混線部隊は一斉にアウドムラの格納から吐き出された。
「マウアー、俺達が道を切り開くぞ」
「はい」
ニューギニア基地攻略戦はここからが本番であった。