deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第34話 本業

「凄まじいものだな。やはりこの百式ではアムロの力に成れないのか?」

 クワトロはジオングの前に蜘蛛の子を散らすように逃げていく敵に忸怩たる思いに駆られていたが、ジオングは逃げていく敵を追撃していくのを見て慌てて動く。

「待てっ深追いはするな。ジオングとはいえ推進剤が切れたら的になるだけだぞ」

「グラサンの怖い人。

 でもアムロを虐めた奴だよ」

 フォウは直感的にクワトロの本質を見抜き、強化人間の幼さ故か率直に口に出してしまう。

「君が怪我をした方がアムロは悲しむし、君が笑顔を見せた方が喜ぶんじゃ無いのかな」

 クワトロは聞き流し子供を諭すように優しく言う。こういう芸当が直ぐさまできてしまうのも怖い人と呼ばれる由縁か。

「そうか。分かった」

「よしいい子だ。私と一緒に周囲を警戒しながらシャトルに合流するぞ」

 強化人間は優秀でもこういう部隊をまとめられるのは人材もまた戦いには必要なのであった。

 

「前方にザンジバル確認」

 ジオングの圧倒的戦闘力に誰もが呆然とする中マウアーが警告するように言う。

 ブリッジ内に緊張が走る。地球圏に残る旧ジオン残党軍といえば海賊が真っ先に連想されてしまう。

「安心しろ、あれは味方だ。マウアー、ザンジバルの誘導に従いドッキングしてくれ」

「了解しました」

 アムロの言葉に疑うこと無くマウアーは従う。

 ジオングとザンジバルの応援が駆けつけてくれたことでアムロは危機を脱したようである。

 しかし本当に今回は際どかった。敵が味方の損害に構わず小細工無しで一斉攻撃されていたらこんな輸送シャトルでは撃沈されていた可能性が高い。そして人類を革新させなくてはならないアムロの使命も終わっていた。

 アムロは味方が増えて気が緩んでいたと反省するのであった。

 

 輸送シャトルはザンジバルとドッキングを行い、アムロ達はドッキング通路を使い安全なザンジバルの方に移動した。

 アムロがザンジバルに移動するとシーマが出迎えてくれた。

「危なかったな若大将」

「ああ、フォウが俺の思念波を捕まえてくれなかったら危なかった」

 アムロはいつものプレイボーイな態度で無く反省したようにしみじみと言う。そんなアムロにシーマはちょっと母性本能が擽られつつ、弟を叱りつける姉のように言う。

「感謝するんだね。フォウはあんたの危険を察知してから気が気でないようだったからね。折角マイルドに再調整したってのに気が狂うんじゃ無いかと心配したよ」

「申し訳ないことをしたな。

 それで再調整は上手くいったのか」

「フラガナンのオッサンは太鼓判を押していたよ。能力的には7割ってところだが格段に精神は安定した。時間を掛ければ記憶も戻るそうだ」

「良かった。フラガナンの名は伊達じゃ無いな」

 ニュータイプ研究の始祖とも言えるフラガナン。ジオンが負け表舞台から姿を消したように思えた彼もまたアムロの思想に共感しニルヴァーナの同志になっていたのだ。

 彼もアムロの提唱する人類の革新の為、あるものを秘密裏に建造しているのであった。

「普通の少女に戻すことも出来るんだぞ」

 シーマは確認するように聞く。

「地獄に墜ちる覚悟はあるさ。

 フォウだけじゃ無い、俺に賛同してくれたみんなの命遠慮無く使わせて貰う。俺独りじゃ連邦は強大すぎる」

「リーダーの顔じゃ無いか。

 私も助けて貰った身だ。最後まで付き合うよ」

「後悔はさせないさ」

「そう願うよ。もう裏切られるのはこりごりだ。

 フォウは格納庫に戻っている頃だろ労ってやりな。そしたらブリッジで今後のことを話し合おう」

「了解。君にも心配掛けたねシーマ」

 調子を戻したアムロは軽くシーマをハグする。

「ふんっさっさとお行き、このタラシ」

 シーマはちょっと赤らめた顔をアムロに見られないようにさっとブリッジに向かって行ってしまった。

「すまないが、他のメンバーを部屋に案内してくれるか。彼等も長期間の緊張に晒されて疲れている」

「了解です、若大将」

 シーマの副官のガラは言い案内を始めた。

 

「よく集まってくれた」

 ザンジバルの会議室にはシーマ、クワトロ、マウアー、サラミス艦長などが集まっていた。

「それでどうするんだい?

 送れって言うなら月まで送ってやるよ」

 シーマが口火を切る。

「そうだ。ジオングの力があればティターンズの背後を十分脅せる」

 サラミスの艦長が言う。エゥーゴのメンバーとしては当然の発言だろう。

「アムロそうなの? なら私頑張るよ」

 アムロの左側に位置取っているフォウが言う。

「むーーーお兄ちゃん、ロザミアも頑張るよ。あのジオングって言うの頂戴」

 ロザミアはおもちゃをねだるように言う。

「モテモテだなアムロ、しかし今は会議中だぞ」

「妬いてもその男には無駄だぞ、天性のプレイボーイだからな。

 飲み込めるくらいの器になれないならここで諦めた方がいい」

 ムッとしているマウアーにシーマが助言する。

「私は綱紀の話をしているだけだ」

「ごほんっ。

 それでどうするアムロ。行くなら早いほうがいい。私としてはアムロを遊撃に使うので無くエゥーゴ本体に合流させたいが」

 クワトロが1人気を張って会議を引き締めようとする。

「俺も賛成です。アムロさんは失うわけにはいかない人です。アーガマに合流すべきです」

 カミーユもクワトロに賛成する。

「みんなの意見は分かった。

 だが間に合うか分からない月はブライトに任せようと思う。

 それよりもシロッコが前線にいるこの機会を逃したくない」

「何をさせる気だい?」

「シーマ、君には本業をやって貰う」

 

 

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