deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第36話 可哀想な敵

「凄い」

 アムロ隊にいたカミーユは倉庫に並べられたジュピトリ製MSを見て素直に賞賛する。

「カミーユはメッサーラでいいよな」

「まあいいですけど、アムロさんは」

「俺は此奴の乗ってみたい」

 アムロが子供のような目で見る先にはジ・オが鎮座しているのであった。

 

 ジュピトリスの外ではジュピトリス奪還を目指すサラミスの部隊とジュピトリスに近づけまいとするゲルググマリーネとの激戦が続いていた。

 なんとかジュピトリスに近付こうとするサラミスをゲルググマネーネは巧みに牽制していた。

「α隊、もっと前に出て敵に圧を掛けろ。β隊は引いて引き込め。

 アムロ大尉がいるジュピトリスに敵を近付けるなっ。このラインは絶対死守だ」

「こっわーー」

「うひょーーー、可愛い顔して姐さんに劣らない苛烈ぶりだな」

 マウアー・ガーベラテトラは防衛ラインを突破しようとするハイザック隊に切り込んでいく。

 ゲルググマリーネ隊を指揮しているのはガーベラテトラに乗るマウアー。彼女は自ら前に出て戦うことで荒くれ者共の手綱を握っていた。

「お嬢ちゃんに後れを取ったら海兵隊の名折れだ。野郎共続くぞ」

「おうっ」

 マウアーに刺激されゲルググマリーネ隊も奮戦する。

 

「行くぞっ」

 マウアー・ガーベラテトラは多少強引でもハイザックを潜り抜けサラミスに迫ろうとする。ここでサラミスを沈められれば流れを一気に呼び寄せられると判断しての強攻。彼女もニュータイプの素質ありと言われる元ティターンズエリートパイロット、ハイザックの攻撃を躱しサラミス防空圏内に潜り込んだ。

 サラミスの機銃が容赦なく降り注がれるが、躱す躱す。サラミスの懐に潜り込めると思ったときだった。

「きゃああっ」

 背中から衝撃を受けた。

 躱したと思っていたハイザックが後ろからタックルを仕掛けてきたのだ。ガーベラテトラは無防備な姿をサラミスの前に晒してしまう。

 これでは野犬の群れに投げ込まれたに等しい。次の瞬間にはサラミスの主砲で宇宙の塵となるだろう。

「アムロ」

 マウアーがアムロの名を呟いて覚悟を決めたときだった。

 三連の閃光が走り、サラミスが火球に包まれた。

「呼んだかい、マウアー」

 サラミスの爆発で吹っ飛ばされたガーベラテトラをジ・オが優しく受け止めていた。

「アムロ」

「よくやった。マウアーはジュピトリスに戻って補給を受けろ」

「あなたが戦うのに休むわけには・・・」

「君がいなくなっては俺は困るな。戦いはこれからだ休むのも重要だぞ」

「分かりました」

「いい娘だ」

 マウアー・ガーベラテトラ及び疲弊が激しいゲルググマリーネがジュピトリスに補給を受けに行く。

「さて、シロッコ製のバイオセンサーとやらの性能を試させて貰おう」

 サイコミュの本領はファンネル攻撃では無い。機体がパイロットの思念通りに動くようになることである。今までアムロは超絶テクでMSを動かしていたが、もし自分の思い通りに動いたら?

 今その夢が叶う。

 

 ジ・オが今だ抵抗を続けるハイザック隊とサラミス2隻に吶喊を掛ける。先程のような奇襲じゃ無い。正真正銘真正面からの真っ向勝負。

 ゲルググマリーネ達が引き、カミーユはジュピトリスの護衛に回った。故に残った全戦力がアムロ・ジ・オに挑んでくる。

ピキーン、見える。

 アムロは迫る火線の全てを俯瞰し最適な軌道を見出しジ・オはアムロが思い描いた軌道イメージをほぼ忠実に描き、ズレは操縦テクで修正していく。

「なかなかだが。パーフェクトじゃ無いか」

 初めて乗ったサイコミュに興奮するアムロだがまだ100%とはいかない動きに不満も残る。常人なら分からないズレ。だが神は細部に宿る。アムロは納得しない。だがアムロが納得するものなど、生み出せるのだろうか? そんな未来技術、サイコフレーム。

 

「ばっ馬鹿ななんで当たらないんだよ」

「これだけの味方の面攻撃だぞ」

 アムロは納得しなくても対面する敵は恐慌を起こしていた。まるで実体のある亡霊を相手にしているような恐怖。全ての攻撃がすり抜けていく。

 今のアムロに当てるにはMS大隊による散弾面攻撃でもしなければ不可能であった。

 攻撃をすり抜けたジ・オが迫り来る。

「うわーーーーーーーーーーーーーーーー」

 ハイザックが斬りかかるが、逆に真っ二つになる。隠し腕による居合い切り。抜き手を見せずに切り裂き、反動を利用して素早く元通り隠す。対峙したパイロットはおろか周りで見ていた者も何が起こったのか理解出来なかった。まるでサイコキネシスで真っ二つにされたように思ってしまう。

「にゅっニュータイプは化け物なのか」

 残った敵はもう軍人じゃ無かった。背を向けただ逃げ出す。アムロもその背を討たなかった。

 アムロに刻まれた恐怖。二度と戦場には立てないだろう。

「終わったか」

 戦闘が終わりジュピトリスが予定動き出し通信が入った。

「アムロ」

「シーマかどうした?」

「敵の援軍だ。この船はでかいからな追い付かれる」

「分かった。

 カミーユ、今度は君も戦闘に参加してくれ」

「了解です」

 ジ・オとメッサーラは後方から攻める可哀想な追撃隊に向かうのであった。

 

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