ジュピトリスの奪取という華々しい戦果も大局から見れば小さな戦果にすぎなかった。
艦隊が組めるまで成長したエゥーゴ艦隊も月衛星軌道上でのティターンズとの決戦で半壊、多くのメインメンバーの生死は不明。一番の痛手は最終防衛ラインとも言える決戦に敗れエゥーゴはメインスポンサーというだけでなく生産拠点とも言えるアナハイムを失ったことである。これでエゥーゴは新型MS開発はおろか軍としての機能を失ったと言える。
対してティターンズはグリプスに次ぐ宇宙での拠点を手に入れたことに成り、その宇宙での支配は時が経つごとに盤石となるだろう。ジュピトリスの損失などバスクとシロッコの権力争いに影響を与える程度であった。
フォンブラウン、グラナダなの制圧を完了し、エゥーゴの残党狩りを始めようというときだった。
地球圏に激震が走った。
サイド1 ザーンでクーデターが起こったのであった。
地球連邦より派遣された政府高官達は瞬く間に排除された。それというのも本来コロニーの反乱を鎮めるはずだった地球連邦軍駐留艦隊が全面的に裏切ったからだ。これもアムロの長年の根回しの賜。だがそれも当然のこと駐留艦隊の者達の殆どはスペースノイド、地球から偉そうに指示するだけの者と同じ視点で語ってくれるアムロどちらに心情が傾くかは火を見るより明らかであった。
駐留軍の裏切り本来コロニー反乱に対して先陣を切るべきティターンズの主力が月に集結していることもあり殆ど無血開城に近くサイド1は陥落、他のサイドから援軍を派遣する暇さえなかった。
月に居るティターンズが状況を把握したときには全てが終わっていた。
「我等ザーンは人類が宇宙に初めて作った居住地である。その歴史は長く、我等の先人達は初期型コロニーの失敗などの苦難を重ね宇宙に自立する道筋を作った。もはや我等は立派に成長し、スペースノイドの先駆けとしてその責務を果たした。
そんな立派に成長した子である我等に対してたして親である地球連邦は何をした。
搾取である。
重税を課し、選挙権を奪われ自分達のことを決める権利すら与えず、ただ従えと怒鳴り散らす。
一部の地球に住む特権階級共をぶくぶく太らす為に我等は生きているのではない。
よって我等は立った。
悪政を強いた政府高官は排除し、私エンゲイスト・ロナは、本日をもってサイド1 ザーンの初代大統領に就任する。
そして初代大統領としての初の仕事をしよう。
我等ザーンは地球連邦政府に対して独立を宣言する」
クーデター成功後速やかに全地球圏に対して流された独立宣言に地球圏に激震が走った。だがこの放送を聞いた地球連邦政府高官はまだ危機感を覚えてなかった。それというのもエンゲイスト・ロナの知名度が今一だったからである。有能だが親の七光り。金にものを言わせて反乱を起こしても人民が付いていくことはなく、程なく鎮圧できるだろうと目算があった。
「この放送にジオンの悪夢を思いだした者もいるだろう。だがここで断言する。これはギレン・ザビのように膨れ上がった自己顕示欲からの暴走でない。
これが私の闘争で無くスペースノイドの自由と平和の為の戦いである事を示す為にザーンの独立に続くスペースノイドによる連合組織、自由宇宙同盟軍の結成を宣言する。
そして自由宇宙同盟軍初代総帥には一年戦争の英雄でありNTであるアムロ・レイに就任して貰う」
エンゲイストが一歩退くとスポットライトが後ろに控えた人物を映し出す。
アムロ・レイである。
「私は一年戦争時NTと呼ばれたアムロ・レイである。
宇宙に進出した人類は皆ニュータイプの可能性を秘めている。だが地球の重力に縛られた愚かな人類はその可能性を恐れ封印しようとした。
今こそ圧政に対して立ち上がるときである。そうでなければ我等スペースノイドは子々孫々までアースノイドの奴隷にされてしまう。
奴隷からの解放。
未来に旅立つ人類ニュータイプ時代幕開けの為、自由宇宙同盟軍は地球連邦政府に対して宣戦布告する」
今度こそ地球連邦政府高官は腰を抜かすのであった。
一年戦争の英雄にしてニュータイプ、これ以上の旗印は行方不明のキャスバル・ダイクンくらいしかない大物である。
だから女漬けにして腑抜けにして飼い慣らしておけば良かったんだ。
先走って暗殺などしようとするから。
と醜い内輪揉めが発生する始末。
そんな醜態を横目に笑いつつジャミトフもまた己の野望を一歩進めるときが来たと確信するのであった。