deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第44話 人類の興亡この一戦にあり

 潜り込んだスパイの報告により、時間は掛かっていたティターンズ主導の連邦艦隊の陣容が明らかになり出した。

 前軍大将 ジャマイカン/ハリオ。

 右軍大将 シロッコ/アル・ギザ。

 左軍大将 ガディ/アレキサンドリア。

 後軍 総大将 バスク/ドゴス・ギア。

 主力艦 サラミス。

 主力MS ハイザック ネモ ジムⅡ(各コロニー駐留部隊)更にはティターンズが次世代量産機として開発していたバーザムも投入されるとの情報もある。

 特機MS ガブスレイ バウンドドッグ サイコガンダムmkⅡ ギャプラン

 総数は自由宇宙同盟軍の四倍に及び一年戦争の激戦ルウム戦役を彷彿させる。だがルウムと決定的に違うのはザクのような数をひっくり返せる兵器が自由宇宙同盟軍に今のところ見当たらないことだった。

 アムロ1人の力で覆せる戦力比ではなかった。40対10という小規模戦においてならアムロ個人の力で四倍差をひっくり返せるかも知れないが、桁が違う総力戦においてアムロ独りでひっくり返すのは至難の業であった。

 

 現状の自由宇宙同盟軍の陣容は以下である。

 総大将 アムロ・レイ

 旗艦 ジュピトリス

 主力艦 サラミス レパント級ミサイルフリゲート

 主力MS ジムⅡ アークマラサイ マラサイ 

 特機MS ガンダムmkⅢ Zガンダム デンドロビウム メッサーラ ジオング

      フルアーマーガンダムmkⅡ 百式

 その他機動兵器 トマホーク Gファイター パブリク レイヴン・ソード ボール セイバーフィッシュ

 特機MSこそティターンズに匹敵するが、数の差を補う為にMS以外の機動兵器も多数導入されているところに苦しい台所事情が覗える。

 

 正直数でも質でも自由宇宙同盟軍は劣っていた。蜂起したのが自殺行為だと断じられても反論は出来なかった。

「うわっこりゃ自殺行為でしたね」

 敵陣容のデータを見ていた士官が遠慮無く言う。

 何処か軍服を着崩し体格は中肉中背、容姿は実年齢より2 - 3歳若く見え、軍人というよりは学者のような印象を受ける頭髪はおさまりの悪い青年である。

「それでも勝ち筋を見付けるのが君の仕事だろ フアン参謀」

「へいへい、勝てといわれれば勝つ為の頭を捻るのが仕事ですからね。ですが総大将代理は一介の中尉には荷が勝ちすぎませんかね」

「俺なんか大尉で総大将だぞ」

「でも一年戦争の英雄じゃないですか、みんな喜んであなたの命令に従いますよ」

 正直才能だけでは人は従わない。特に最前線に立つ現場の人間からすれば実績のない上官などには従わない。

「しょうがないだろ。本来ならブライトの役目だったんだがいないんだ」

 本来ならアムロは最前線に出撃。総指揮はブライトに据えて参謀としてフアンを付ける予定であった。だがブライトが不在の為フアンが総指揮を直接取ることになる。フアンは連邦きっての奇才ではあるが総大将を務められる実績・人望が無かった。もっとも宇宙自由同盟軍はアムロ、ブライト、クワトロ、ブレックスの4人を除いてしまえば総大将が勤まる重鎮が枯渇する人材不足。どうせ誰も代わりが居ないなら作戦をアムロと共に立案した参謀を総大将代理に据えてしまおうというやけくそに近い荒技である。

「ならあなたが大人しく大将席に座っていればいい。喜んで諫言しますよ」

「君が立案した作戦では俺は前線に出ることが組み込まれているはずだが」

 数質共に劣る自由宇宙同盟軍としてはアムロが高難易度のミッションを成功させることが絶対必要条件になっていて、アムロの失敗が直自由宇宙同盟軍の敗北に繋がる綱渡りの戦術である。ここまでくれば戦略のミスとも言える。

「それは臨機応変ですよ」

「だからこそ君だ。なんといってもこの作戦を君より熟知している者はいないだろ」

「そりゃそうですがね」

 自信がなさそうな態度で自信ある台詞を言う。

「何より君が逃げ出していない。勝てるんだろ」

「増加した負荷の分愚痴ぐらい言わせて下さいよ」

「今なら幾らでも聞いてやるから、部下の前では言うなよ」

「分かってますよ。終わったらいい酒驕って下さいよ」

「分かった。

 では行くぞ」

「はい」

 フアンは制服をきちんと着直すとアムロに続いていくのであった。

 

 ジュピトリス内に設置された会場には自由宇宙同盟軍の将校が勢揃いし、その様子はここに集まれなかった同志の為に全部隊に配信されていた。

 並び立つ将兵の前にはアムロ、そして今回の決戦の為選出された幕僚が整列している。

 第一軍艦隊司令 マスターpレイヤー

 第二軍艦隊司令 コンスタンティン

 第一MS隊隊長 ユウ

 第二MS隊隊長 ケネス

 第三MS隊隊長 コウ

 遊撃艦隊司令 フレデリカ・エルメ

 遊撃MS隊隊長 クリス

「よく集まってくれた。

 この一戦に逃げずに集まってくれた同志諸君に感謝する」

 アムロは静かに将兵に向かって一礼する。

「一年戦において人類はザビ家の独裁に立ち向かい打ち破った。だがその結果人類はどうなった」

 アムロはここで同志に考える間を与える。

「有能な独裁者がいなくなり、敵対者がいなくなったことで地球連邦の腐敗が加速するというブラックジョークにもほどがある事態になった。

 彼等は権力の欲しいがままにスペースノイドに重税を掛け、地球を自分のものとでもいうように汚染させていく。

 我々はこんな未来の為に命を懸けて戦ったのでは無いっ」

「「「「「そうだっ」」」」」

 アムロが断言し集まった将兵が床を踏みならし拳を突き上げ答える。

「誰もが未来に羽ばたく人類を夢見たはずだ。

 人類は今穏やかに滅亡に向かっている。我々がここで地球の重力に魂を囚われ腐敗した人々を打倒しなければ人類に待っているのは絶望の未来しかない。

 人類の興亡はこの一戦にあり。同志諸君の奮闘を期待する」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーー」」」

 将兵の雄叫びはジュピトリス、いや空気がないはずの宇宙空間を震わせた。

 宇宙自由同盟軍の兵士は仕方なく招集された地球連邦兵士と違い誰もが使命感を抱いて参加している。兵器の質数共に劣る自由宇宙同盟軍だが士気においてはティターンズに率いられた連邦軍を凌駕していた。

 この宇宙を震わせるほどの魂の雄叫びにアムロは勝てると確信したのであった。

 

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