「おふくろ、無事か」
「カミーユ」
アーガマに戻りカプセルから救出されたヒルダとカミーユは互いに抱き締める。
暫し感動の再会を眺めていたアムロだったが、そろそろいいだろうと話し掛ける。
「ヒルダさん」
「はい。あなたが私達を守ってくれたのね。ありがとう」
「いえ、当然のことです。それでこれからのことを話し合いたいのですがいいですか」
「分かりました」
ヒルダは何か覚悟を決めた顔で答えた。
「アムロさん」
「なんだい」
「ありがとうございました」
カミーユが素直にアムロに頭を下げて礼を言った。
「仲間じゃないか気にするな。それよりもカミーユも同席しろ」
「はい」
アーガマ会議室には、ビダン親子だけで無くブレックスも同席していた。
「それで私はどうなるのでしょうか?」
ヒルダはアムロに尋ねる。
「単刀直入に言いましょう。エゥーゴに参加して貰います。見返りとして月のアナハイムに匿って貰います。新しい名前と身分を名乗ることになるでしょうが、その辺の偽造はアナハイムの方で手抜かり無くやってくれるはずです」
アムロはエゥーゴに参加しなければ守らないと言わんばかりの取引を持ちかける。ティターンズと同様反感を持たれるかも知れないがアムロは言葉を飾ることをしなかった。
「私に反乱軍に入れというのですか?」
案の定ヒルダは反感を持ったようだ。
「あなたを守る為です。ティターンズの手は長く、バスクは執拗です。どこか遠くのコロニーに連れて行って上げてもいいのですが、絶対にバスクは見逃しません。ティターンズを倒さない限りあなたに安全はないのです」
アムロの言っていることは何処までも正論であった。
「わたしが、折角連邦の中尉まで成ったのに反逆者になるなんて・・・」
ヒルダは身の不幸に俯いてしまう。それでも元凶のカミーユに当たらないだけ母親としての愛か。
「アムロさん。エゥーゴには俺が参加します。だからおふくろをただ匿うことは出来ないのですか?」
カミーユも責任を感じたのか初めて見せる弱々しい母を息子らしく守ろうとする。
「可能かも知れないが、正直いつまで戦いが続くか分からない。その場合ヒルダさんはただ無為に過ごす日々に耐えらますか?、あなたほどの人が」
そのアムロの言葉にヒルダは顔を上げた。
「それに後ろ盾になる僕もいつまで無事か分かりません。僕が戦場に散ったとしても、あなたが有能ならアナハイムが独自に守ってくれるでしょう」
アムロは優しく諭すように言うがヒルダはまだ承諾しない。
「アーガマが月に行くまでまだ時間があります。それまでに決断してください。もし何処かに身を寄せる場所があるというなら責任を持って送ります」
そのタイミングを待っていたかのようにクワトロから部屋に内線が来た。
「どうした?」
『アムロお客さんだ。エマ中尉がガンダムmkⅡとフランクリン大尉と共にこちらに
寝返りたいと言っているがどうする?
撃墜は可能だ』
「その必要は無い。彼女は信用できる迎え入れてやってくれ」
『罠かも知れないというのに、その根拠は?』
「彼女は真っ直ぐでチャーミングだからね。腹芸は出来ないよ」
『そうか』
「それに丁度いい。ビタン親子と共にあれを見せる。その時の反応を見れば信頼出来るかわかるだろ」
『分かった』
こうしてアーガマはエマとビタン親子を迎え入れ、進路をサイド1に取るのであった。