deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第50話 右軍

「急ぐぞお前等」

「しかし隊長相手は一年戦争の英雄ですよ」

「恐れるな。そんなもの噂に尾ひれが付いただけだ。

 この新型MSバーザム 12機に敵うわけがない」

 右軍から発艦したMS部隊は艦隊をスナイプするアムロを仕留めるべく、シロッコが指定したポイントに急行していた。

「でも噂だとリック・・・うわあああああああああああああああああああ」

 隊長と話をしていたバーザムの一機が爆散した。

「敵機だと。各機散開」

 奇襲を受けバーザム部隊は散開し、その散開したバーザムに高速で迫り来る機影が二機。 Zとメッサーラだ。

「さーて天才美少女パイロットの私の腕の見せ所ね」

「あんまり調子に乗るなよ」

 自分が乗るはずだったZに乗るルーに少し複雑な気持ちのカミーユだったが、すっかり成長したカミーユは切れやすい過去を忘れたようにどこか危なかっしいルーを諫める。

「大丈夫だって。見てなさいよ、カミーユ」

「あっこら」

 同学年と言うこともあり何処か気安いルーはカミーユの諫めなんか何処吹く風でMS形態に変形しバーザム隊に斬りかかっていく。

 

「敵はどこだ? あの狙撃、アムロ自ら来たというのか?」

 バーザム隊隊長は必死に全天周囲モニターに目を凝らし自らに迫るバーニアの輝きを捕らえた。

「んっそこだっ。ガンダムタイプ間違いないアムロだ」

 バーザム隊長機は逃げるどころか逆にアムロが乗っていると思っているZにビームサーベルを抜き放ち自ら加速して迫る。

「一年戦争の英雄だか知らないが。俺に会ったのが運の尽きよ。

 アムロを討ち取れば俺がこの戦争の英雄だ」

 バーザム隊長機はZに牽制のビームライフル斉射。躱して斬りかかってくるZのビームサーベルをビームサーベルで受け止めた。

「どうだっ。俺はアムロの攻撃を受け止めたぞ」

 得意気に叫ぶ隊長機にZは左手を突き出しグレネードランチャーを放つ。この流れるような一連の動作に隊長機は対応出来ずグレネードの直撃を喰らう。

「流石アムロだ」

 最後までルーをアムロだと思いバーザム隊長機は爆散するのであった。

「たっ隊長が殺られた」

「うろたえ・・・」

 隊長機があっさりとやられ動揺した隙を突きルーのフォローをしていたメッサーラが高加速を生かした一撃離脱殺法でバーザムを次々と撃墜していく。

 アムロを仕留めようとするMS部隊だがそれを阻止すべく動くユニコーン部隊によりその殆どがアムロの姿を見ること無く消えていくのであった。

 

「第7MS中隊通信途絶」

「第3MS中隊敵と交戦。目標まで辿り着けないようです」

「メガ・バズーカの閃光ですサラミスの轟沈を確認」

「おのれっアムロ」

 次々と上がる芳しくないオペレーターからの報告にシロッコの苛立ちは頂点に達した。

「こうなったら私自らガブスレイで出撃して決着を付けてやる」

 シロッコの怒りにブリッジクルーがビクッとし、副官が慌てて諫めようとするがシロッコの方が早かった。

「っと私が怒ってアムロに執着すればするほどアムロの思う壺よ。

 私は戦術に固執して戦略を見失うような凡人ではない。私はアムロが一番嫌がることをする。

 MS部隊が時間を稼いでいる内に全艦全速でザーンに侵攻する」

「はっ」

「ふはっはっはははは、どうだアムロ、私はお前を越えたぞ」

 シロッコの高笑いがブリッジに響き渡り、右軍はアムロを無視してザーン侵攻のルートを取るのであった。

 

 アムロを無視して進撃を決めたシロッコ右軍。

「シロッコ様、前方ザーンへの進撃ルート上に暗礁宙域があります」

「なんだと」

 シロッコが言われてスクリーンを見ると進行方向に多数の岩石が漂っているのが分かった。

「データにはなかったぞ」

 シロッコの頭脳にはザーン宙域のマップデータが鮮明に記憶されている。

「シロッコ様。暗礁宙域にサラミス十数隻が潜んでいるのが索敵班が見付けました」

「ふんっ。なるほど小細工だな。暗礁宙域に紛れ奇襲を掛けるつもりだったな。数で劣る弱者の常套手段だが露見してしまえば何のことも無い。

 我が右軍の敵ではない。蹴散らせ」

 

「っと天才は思っているだろうな。だが弱者には弱者の戦い方がある。ましてやこっちは防衛側、細工は流々。

 殺られる前に殺るぞ」

 コンスタンティンはニヤリと笑った。

「どうやら見つかったようだ。全艦ステルスモード解除」

「了解、全艦ステルスモード解除」

 コンスタンティンの命令をオペレーターが伝え、今まで敵に発見されないようにエンジンを切りじっと身を隠していたサラミス達のメインエンジンに火が灯る。

「狙いは各艦に任せる、射程に入り次第ぶっ放せ。

 天才の鼻を明かしてやれ」

 そう言うとコンスタンティンは双眼鏡で右軍との間合いを自ら測る。そして意気揚々と進軍する右軍が間合いに入ったと見切った瞬間だった。

「衛星ミサイル発射」

 コンスタンティンは攻撃命令を発した。

「衛星ミサイル点火します」

 この暗礁宙域はシロッコの通り前はなく直前に作られた暗礁宙域だった。そして浮かんでいる岩石は全て衛星ミサイルなのであった。

 サラミスの回りに漂っていた岩石に取り付けられたロケットエンジンが次々に点火し加速を始め右軍に向かって一直線に向かって行く。

 

「シロッコ様、衛星ミサイルです。衛星ミサイルが多数接近してきます」

「ええい、そんな古典的な武器まで持ち出すか。

 全艦砲撃始め、衛星ミサイルを打ち落とせ」

 岩石にロケットエンジンを付けて飛ばすだけの単純な兵器だが、当たればマゼランでさえ一撃で沈む威力がある。誘導などという気の利いたことは出来ない直線番長だが、それを補って余りある数による面攻撃は群れを成す艦隊にとって脅威であった。

 足を止め必死に応戦する右軍。

 次々と破壊される衛星ミサイル。

 それでも数が多かった。

 そして的も多かった。

 艦砲射撃を飽和攻撃ですり抜けた衛星ミサイルが逃げる暇を与えず艦艇を沈めていく。

 前門の衛星ミサイル、後門のメガ・バズーカランチャー。

 右軍は完全に進退窮まったと錯覚しパニックになった。如何にシロッコといえどここから立て直すには時間が掛かるだろう。

 前軍に続き、右軍も沈黙した。

 

 

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