deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第54話 カッコつけの男と冷ややかな女

 まさに一瞬の判断が生死を分けた。

 気付いて直ぐ退避行動をしたドゴス・ギアはトライデントの一撃を紙一重で躱すことが出来たのであった。

「味方の半数の信号Lost」

 オペレーターの絶叫にも近い声が上がる。

「閣下、戦闘はもう続行不可能です。退避命令を」

 副官が顔を真っ青にしてバスクに進言する。

「愚か者が」

 至極まっとうな進言だったがバスクは一喝して却下する。

「しっしかし・・・」

「くどいぞ」

 バスクは副官を蹴り飛ばしモニターに映るジュピトリスを指差す。

「あんなものを無傷で残して後退などできるか、後ろから撃たれて終わりだぞ。

 全軍に告ぐ、生きて帰りたければジュピトリスを破壊しろ。それしか我らが生きて帰れる道はない」

 味方は総崩れ恐怖に取り憑かれ普通なら戦闘続行など不可能である。だがバスクはその恐怖を逆手に取り全軍を戦いに向かわせる。バスク、色々と人格に問題はあるが現場での能力は一級であった。

 それに幸いにしてジュピトリスの護衛部隊は最初の三分間で大打撃を受けジュピトリスは無防備に近い。そして第一軍は左軍と交戦中、切り札のニュータイプ部隊は右軍を足止めしていて救援には来れない。あながち無謀な命令とも言えなかった。

 

「敵後退しません。こちらに対して戦闘を継続する模様」

「まっそう都合よく行かないか。

 トライデントは?」

「トライデント、各エネルギー伝達回路に不具合発生。二撃目の斉射は絶望的です」

 秘匿するためここまで一度もテスト行っていないハイパーメガ粒子砲三門の同時斉射は無理があったようである。寧ろぶっつけ本番で成功しただけ奇跡である。

「エネルギー充填開始」

「えっでも斉射は」

「光るだけで脅しにはなる。敵が躊躇した隙きに総員退艦初め。以降の操艦は私が行う」

「そっそれは」

「この巨大艦では護衛もなしに逃げ切ることは不可能だよ。なに時間稼ぎくらいは私一人でもできる。

 たとえジュピトリスが轟沈してもこの戦いの勝利は揺るがない。今まで逃げずによくやってくれた、これ以上付き合って命を無駄にする必要はない。

 退艦後は第一軍と合流、後はアムロ総帥が何とかしてくれるだろ」

「了解です。

 総員退艦始め」

(アムロさん、後は任せましたよ)

 とカッコつけたフアンであったが誰一人として退艦を始めなかった。

「カレンだ、銃座に付く」

「トライデントの回路変更、一門だけならなんとかなりそうだ」

「えっあの~皆さん」

 忙しく働き続けるブリッジクルーにフアンが問いかける。

「なんですか、忙しいですから後にしてください」

 ノエルが冷たくあしらう。

「退艦命令出したよ?」

「ええ聞こえましたし出しました。全員命令無視しているだけです」

「あのそれって」

「あなたに人望がないんじゃないですか?」

 どこまでも冷たいノエルであった。

 

「クリス隊長、退避命令が出ていますがどうしますか?」

「どうするって、味方が退避するまで私達がこの宙域を守護するのよ」

「了解です」

 アスナからの問いにクリスは当然のように答えアスナも躊躇いなく了解する。

「エル、あなたは逃げなさい」

「えっでも」

「ここはお姉さん達に任せなさい」

 クリスは元々軍人でもない民間人だった十代の少女を戦場に投入するのには反対であったが、アムロに頼み込まれ参加を了承していたのである。

「たった2機でどうするつもりよ」

 半数を撃破されたとはいえ迫りくるMSの数はとても対処できるような数ではない。しかも全員が恐怖に駆られたバーサーカー、生半可は覚悟では飲み込まれる。

「3機でも変わらないわ」

「4機よ」

「クスコ!」

「休んだからだいぶ良くなったわ。後一戦くらいできる。

 NTの私がいれば烏合の衆なんて蹴散らしてやるわ」

「そうよ。女の意地見せてやるんだから」

 エルも力強く同調する。

「そうね。あなたを侮っていたわ。ごめんね。

 あの3分を生き残った私達の力見せてやりましょう」

「「「おーーっ」」」

 今四人はなんとなく心が繋がっている気がしていた。

 NTであるアスナとクスコ、NTの素質を持つエル、彼女達に触発されクリスもNTに目覚めつつあるのか?

 これこそがアムロの狙いなのか?

(アムロが言っていた人類の革新てこういうのかしら。だったら悪くないかも)

 クスコ、クリス、アスナ、エルが決死の覚悟を決め迫りくる敵軍を睨みつける。

 その敵軍を閃光が切り裂いた。

「えっ?」

 閃光の元を見れば、メガランチャーを乗り捨てたガンダムmkⅢがいた。ガンダムmkⅢは颯爽と敵とワルキューレ隊の間に割って入る。

 アムロは気配を消しスナイパー攻撃をしていたことを逆手に取り、後事をカミーユ達に任せシロッコの目を誤魔化しワルキューレ達の応援に駆けつけたのだ。

「待たせたなレディー達。

 後は任せろ」

 ガンダムmkⅢは一瞬も怯むことなく敵MSの大軍に切り込んでいくのであった。

「ちょっっちょっと、総大将が先陣を切って敵に突っ込むなんて馬鹿でしょ。

 馬鹿なんでしょ」

 アムロは助けに来たつもりだったがクリスはアムロの行動に切れた、本気で切れた。

「ああもうっ、マウアーは何やってるのよ。ちゃんと馬鹿の手綱握っておきなさいよ。

 予定変更、不本意だけどあのバカを守るわよ」

「「「了解」」」

 先程までの恐怖は霧散し、今はクリスの怒りに同調しワルキュレー達も敵陣に突っ込むのであった。

 

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