deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第55話 甘さ

 MSの群れの中に切り込んでいくガンダムmkⅢ。

 立ち塞がるMSを止まること無くすれ違いざまに切り裂いていく。

 止められない。

 誰も白い悪魔の歩みを止められない。

「ガンダム!?」

「アムロなのか」

 突然現れた白いMSに恐慌に駆られていた者達の心に冷や水が浴びせられ、我に返ってしまった。

「狼狽えるな。幾ら白い悪魔でも敵はたかが・・・。

 うわーーーーーーーーーーーーーー」

「悪魔だ。あれがNT」

「NTでもこの数の一斉攻撃。面の・・・。

 ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 弾数を節約する為か基本ビームサーベルで戦っているガンダムmkⅢだが、ここぞとばかりにビームライフルで的確に撃ち抜いていく。

 

 大軍に少数で挑む鉄則頭潰し。

 リーダーシップを取ろうとする者を感知端から消していく。

 幾ら先読みするアムロとはいえ立ち直り組織だった避けようのない面攻撃されればどうしようもない。

 だからリーダーを潰していくやる気を出した者から消していく。

「クソがーーーーーーーーーー。

 ぎゃっ」

 白い悪魔の前に立ち塞がった勇者がまた一人切り捨てられる。

「もっもう駄目だ~」

「勝てる訳ねえよ」

 アムロのあまりの恐ろしさに目の前で背を向けて逃げ出す者が表れる。本来なら背を向けた者から狩られていくのが戦場だが、アムロは敢えて見逃す。見逃した事実が群れに伝播していく。

 死にたくない一心でトライデントの恐怖に立ち向かっていった者達だが、助かることが分かればもう恐怖を抑え込む箍が外れる。

 アムロは群れの心をNT能力で察知すると、止めを刺す。

『ティターンズに加担する全ての者達に次ぐ。

 武器を捨てろ。捨てれば命は助ける。

 だがあくまで歯向かうなら容赦はしない』

 テレパシーの能力を叩き込んだのだ。

 

「なっ何だこの声は?」

「これがNT」

「なあ武器を捨てれば助かるのか?」

「ああこの声に嘘はない」

 1年戦争時の連邦とは違う。あの時は肉親を殺された憎しみが、目の前の恐怖を塗り潰した。

 だからこそパブリクで弾幕の中にツッコミ。ソーラーレイで艦隊が吹き飛ばされても立ち向かった。

 普通の人間は殺したくないし殺されたくない。だからこそその心を塗り潰す大義が戦争には必要なのだ。

 だが今の彼等にそんな憎しみも大義もない。

 彼等の大半はあっけなくMSの起動を停止しハッチを開け降伏の意を示した。

 

「閣下、MS隊戦意喪失続々と降伏していってます」

「おのれっ。

 180°回頭全速で離脱する。今なら降伏した者達が楯となってあの攻撃は出来ないはずだ」

 バスクもこの状況で攻撃を指示するほど愚かではない。直ぐさま退却を決断した。だがそんなバスクの決断より早く白い悪魔とワルキューレが迫ってきた。

 

「ワルキューレ隊。ここでバスクは確実に潰すぞ」

「ハイ」

 アムロを中心にV字になり、ドゴス・ギアの艦砲射撃を潜り抜けていく。

 有効射程に入り次第一斉射でドゴス・ギアが撃沈する未来が見えたときだった。

「全機散開」

 瞬間ビームが襲い掛かってくる。指示がもう少し遅かったら何機が被弾していただろう。それくらい強力な攻撃だった。

「NT? いや強化人間か」

 アムロがビームの出所を見ると青い炎を纏ったガブスレイ数機が迫ってきた。

 ガンダムmkⅢはビームキャノンで牽制。ガブスレイ隊はなんなく躱すとアムロ達にクロスレンジを仕掛けてくる。

「できるな。だがこの感覚は妙だな」

 アムロビームサーベルの一振りを受け止めるガブスレイの一機。

「だがまだ甘い」

 ガンダムmkⅢが流れるように蹴りを叩き込み、離れた所をビームライフルで仕留める。

「まずは一機」

「きゃああああああああああ」

 エルの百式の腕が切り落とされていた。クリスとアスナもガブスレイ達に押されている。技量的に敵部隊の方がやや上のようだ。

 アムロ一機ならこのままドゴス・ギアに迫って撃沈も不可能ではない。

 ここでバスクを討てばティターンズ実行部隊は暫く混乱し時を稼げるだろう。その間に各サイドと交渉して自由宇宙同盟に加入させることだって出来る。

 だがアムロは甘いと分かっていてもワルキューレ隊の援護を選択してしまうのであった。

 

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